以前、台馬之星の欠航体験を書いた記事で、冬の台湾海峡の厳しさについて触れた。
荒天で欠航が相次ぐ台馬之星に対して「飛行機を並行して押さえておくべき」という結論で終わったわけだが、2026年の夏シーズンに向けて、馬祖へのアクセスに新たな選択肢が加わることになった。
高速フェリー「南北之星2号」の復活だ。
今回はそのニュースを受け、今後の馬祖アクセスのさらなる可能性について探っていきたい。
南北之星2号とは

南北之星2号は、台湾本島と馬祖・南竿を結ぶ高速フェリーだ。台北港(新北市)と馬祖・南竿の福澳港を結び、所要時間は約3時間。定員298名と大型で、旅客機に換算すると約4機分の輸送力に相当する。
今回の運航再開は実に3年ぶりで、連江県政府交通旅遊局が航運会社の南北海運と旅行会社の易飛旅遊と連携して実現した。
なぜ今このタイミングか
馬祖は毎年春から夏にかけてが観光のピークシーズンだ。夜光虫(ヤコウチュウ)による「藍眼淚(ブルーティアーズ)」現象が見られる時期と重なり、島全体が観光客で賑わう。
ところがこの時期は同時に霧が発生しやすく、航空便の欠航が頻発する。飛行機の座席数も限られているため、需要と供給のミスマッチが毎年繰り返されてきた。南北之星2号の投入はこの問題への対応策として位置づけられている。
基隆港を拠点とする台馬之星と異なり、台北港を発着するため桃園や新北方面からのアクセスがしやすい点も特徴だ。また霧は航空便には致命的だが、海上交通への影響は飛行機ほどではない。海況が許す限り運航できるという点で、霧シーズンの馬祖旅行における安定性という意味では台馬之星より有利な面もある。
2026年6月の運航スケジュール
気になる運航スケジュールについてだが、毎週月曜・木曜の週2便体制で、6月に5往復が計画されている。
時間帯は、台北港発が午後出発・夕方福澳港着、福澳港発が午前出発・正午ごろ台北港着という設定だ。夕方に到着してその夜からすぐに藍眼淚を探しに行ける、という旅程の組み方を意識したスケジュールになっている。
料金は大人片道1,750台湾ドル(約8,750円)からで、半額券や県民向け割引もある。予約は台馬之星等のフェリーと同様、「馬祖海上交通訂位購票系統」で受け付けている。
台馬之星との比較

馬祖へのフェリーとしては台馬之星が既存の選択肢として存在するが、両者はかなり性格が異なる。
台馬之星は基隆港発で、夜間に出港して翌朝到着する夜行船だ。料金は1,050台湾ドル程度と安く、船内で横になって移動できる。ただし冬季の欠航率が高く、運航可否の発表が当日11時という点が使いづらい。
また、基隆・南竿・東引を繋ぐ三角運行形式のため、日によって、目的地への到着時間が変動するのが特徴的だ。南竿・東引方面から基隆へは日中運航となるのだが、8時間前後の船旅は、時間の限られる旅行者にとっては中々手が出づらく、専ら地元民のためのインフラとして活用されている傾向だ。
対して、南北之星2号は台北港発で日中に移動する高速フェリー、所要3時間で日帰りも不可能ではない。料金は台馬之星より高いが、霧の影響を受けにくく安定性は高い。ただし現時点では6月のみの期間限定運航で、毎日便があるわけではない点は注意が必要だ。
今後の展望
連江県政府によると、今年は契約上の制約もあり6月のみの運航にとどまるが、順調であれば来年は4〜6月の定期運航を目指すとしている。観光インフラとして定着するかどうかは今シーズンの乗船率次第という面もあり、試金石となる夏になりそうだ。
藍眼淚シーズンに馬祖を訪れる予定がある人は、選択肢のひとつとして頭に入れておく価値はある。飛行機が取れない、あるいは霧で欠航が続いているという状況での代替手段として機能してくれれば、冬の台馬之星問題とはまた異なる形で馬祖旅行の安定性が上がる。
まずは今年6月の運航がどう機能するか、注目したいところだ。
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【参考情報】
南北之星2号予約:馬祖海上交通訂位購票系統(https://www.matsu-ship.com.tw/)
運航スケジュール:2026年6月、毎週月・木曜
料金:大人片道1,750台湾ドル〜
所要時間:約3時間
定員:298名
※本記事は2026年5月1日時点の情報をもとに作成しています。最新情報は公式サイトでご確認ください。