
台湾の離島へ飛ぶ飛行機、と聞いてピンとくる人はそう多くないかもしれない。でも台湾には、澎湖・金門・馬祖といった離島への国内線が日常的に飛んでいて、それを担う航空会社が2社ある。ユニエア(立榮航空)と、マンダリン航空(華信航空)だ。
どちらも日本ではほぼ無名に近い。成田や羽田に乗り入れているわけでも、LCCとして話題になったわけでもない。ただ、台湾の離島を旅しようとすれば、必ずどちらかにお世話になることになる。
今回乗ったのはマンダリン航空のAE-7901便、台北松山発・馬祖南竿行きだ。日本人にはあまり馴染みのない松山空港の国内線ターミナルから、プロペラ機で1時間弱のフライト。小さな航空会社の、小さな路線の話だが、知っておくと旅の選択肢が広がるはずだ。
マンダリンエアとは
マンダリンエア(華信航空)は、中華航空(チャイナエアライン)グループ傘下の地域航空会社だ。台湾の国内離島路線を中心に運航しており、澎湖、金門、馬祖、台東などへの便を持つ。もう一方のユニエア(立榮航空)はエバー航空グループ傘下で、同じく離島路線を担う。この2社が台湾の国内線をほぼ二分している形だ。
当日朝に直前購入
今回の搭乗は、もともとの計画ではなかった。馬祖南竿島への渡航にあたり当初乗るつもりだったのは台湾本島と馬祖を結ぶ定期船「台馬之星」だったが、当日早朝の気象データを確認した時点で欠航をほぼ確信し、急遽プランを切り替えた。
その場でマンダリン航空のサイトを開き、空席を確認。AE-7901便、松山発10:30の南竿行きにまだ空きがあった。出発まで1時間半ほどしかない。そのままクレジットカードで即購入した。
料金は片道約2,500台湾ドル。事前予約との価格差はほとんどなかった。「直前だから高い」という感覚がまったくなかったのは想定外のよい驚きだった。台湾の離島路線は公共交通としての性格が強く、ダイナミックプライシングの振れ幅が小さい。急な予定変更でも財布へのダメージが限定的なのは、本当にありがたい。
松山空港「第二航廈(国内線)」へ

急いでYouBikeを拾い、全速力で松山空港へ向かった。余談だが、台北駅あたりの都心から松山空港を目指す場合、地下鉄を乗り継ぐよりも自転車を漕いだほうが早く着く。
松山空港は日本からの直行便(羽田便など)が発着することで、台湾旅行者にはそれなりに知られた名前だろう。ただし、日本人が使うのはほぼ国際線ターミナル(第一航廈)の側で、国内線ターミナル(第二航廈)を利用したことがある人はかなり少ないはずだ。

建物は国際線とは完全に別で、外観はこじんまりしている。内部も小ぶりで、カウンターも数えるほどしかない。出発案内の電光掲示板を見ると、行き先は澎湖、金門、南竿、台東……台湾の離島路線がずらりと並んでいる。なかなか非日常的な光景だ。

チェックインは並ぶほどもなくすぐ終わり、セキュリティも一瞬で抜けられた。国際線に慣れた感覚でいると、あまりのあっさりさに拍子抜けするかもしれない。

搭乗ゲートでは、マンダリン航空のカウンター前に小さな列ができていた。掲示板にはAE-7901、南竿、10:30の文字。ほぼオンタイムで搭乗案内が始まった。
バスで移動…のはずが

ゲートを抜けると、乗客はバスに乗って駐機中の機体まで移動する形式だった。ボーディングブリッジを使わないスタイルで、小型機が多い離島路線ではよくある話だ。
バスがゆっくりと動き出し、エプロンを走り始める。しかしほどなく停車。ドアが開く。

目の前に、機体がある。
バスに乗った意味があったのかどうか分からないくらいの距離だった。周囲の乗客からも思わず笑い声が上がった。私もつられて笑った。こういう小さなおかしみも含めて、ローカル路線の旅という気がする。
1時間弱の空の旅
搭乗した機材はATR 72。プロペラ機だ。

機内に入ると、通路の狭さにまず気づく。横2+2列の4列シートで、シートピッチも余裕があるとは言えない。頭上の荷物スペースも最小限で、大きなキャリーケースは預け荷物前提だ。あまりにも大きなリュックの機内持ち込みはマナー違反となり得るので気をつけよう。
客室全体を見渡すと、筒状の空間にシートが詰め込まれているという印象で、圧迫感はある。
ただ、松山から馬祖南竿までのフライト時間は1時間弱。「これは厳しい」と感じる前に到着してしまう。我慢する必要すら、ほとんどなかった。

この規模の短距離路線にサービスを期待していなかった。しかし、離陸後しばらくすると、客室乗務員がカートを押して現れた。コーヒー、お茶などのドリンクを配ってくれる。

紙コップに注がれたブラックコーヒーをトレイに置き、窓の外を眺める。海面が見え、やがて島の輪郭が見えてきた。

飛行機は予定通り南竿空港に到着した。降機後は徒歩でターミナルへ。機体から建物まで歩いてすぐで、荷物の受け取りもあっという間に終わった。
まとめ
マンダリン航空は、台湾の離島旅行における実用的な選択肢だ。機材は小型プロペラ機で快適性は最低限、バスで移動したのに近すぎて笑えた、という体験もついてきた。それも含めて、悪くない1時間だった。当日の急遽購入でも価格が変わらない点は、特に覚えておく価値がある。
次回はユニエア(立榮航空)の搭乗レポートをお届けする。同じ馬祖路線を飛ぶ2社だが、果たして機材やサービス面などで違いはあるのだろうか。実際に両方乗った視点で比較してみたい。