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ソウルの各エリアの特徴を、東京の街に例えて知ろう|エリアトレンド 2026年版

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ソウルを初めて訪れる人にも、何度も通っているリピーターにも、毎回頭を悩ませるのが「どのエリアに時間を使うか」という問題だ。ソウルは同じ都市の中でも、エリアによってまったく異なる空気が流れている。そのギャップを日本人旅行者に伝えるのに一番わかりやすい方法が、「東京の街に例える」ことだと思っている。

完全に一致するわけではないが、街の「温度感」「客層」「観光度合い」という点では、意外なほど近い対応関係がある。各エリアの現状トレンドも添えながら、知名度の高い順に紹介していく。

※東京の街との比較は、あくまで筆者自身の主観によるところが大きい。エリアの特徴の捉え方は視点によって大きく異なるので、あくまで一つの参考として活用いただきたい。

明洞(ミョンドン)──原宿・新宿

ソウルの顔として長年君臨してきた観光エリア。韓国コスメの路面店と屋台グルメが密集しており、日本人をはじめ外国人観光客が最も集まる場所だ。地下鉄でどこへも行きやすく、空港バスのターミナルも近い。にぎやかさと人口密度は原宿・竹下通りと新宿を合わせたようなもので、週末の人出はソウル随一と言っていい。

ただし2026年現在の明洞は、コロナ後の回復を経て格安コスメチェーンとフランチャイズ屋台がほぼ全体を占める構成になっており、かつてあったローカルな個人店の味はほぼ消えた。コスメをまとめて買いたい目的があるなら今も使えるエリアだし、初訪問であれば一度は歩いておいてもいい。ただリピーターが積極的に時間を使うエリアではなくなってきている。

こんな人向き: 初めてのソウル旅行者、コスメ・土産の爆買い目的、交通の起点として利用

弘大(ホンデ)──渋谷

弘益大学を中心に発展した、音楽・アート・ナイトライフの発信地。路上ライブが至るところで行われ、安い居酒屋とクラブが混在する。若者文化の象徴という意味でも、見た目の雑多な活気という意味でも、渋谷が一番近い。カルチャー寄りのセレクトショップやレコード屋も多く、ただ飲んで騒ぐだけでなく、掘り出し物を探す楽しさもある。

観光地化は進んでいるが、渋谷がそうであるように、成熟してもなおトレンドの発信地であり続けているのがホンデの底力だ。空港鉄道(AREX)の直通駅があり宿泊拠点としての利便性も高い。予算を抑えたい若い旅行者に今も圧倒的に使いやすいエリアだ。

こんな人向き: ナイトライフ重視、カルチャー・音楽好き、宿泊拠点探し、空港アクセス優先の旅行者

江南(カンナム)──西麻布・赤坂

「江南スタイル」で世界的に有名になった、ソウル南部の富裕層エリア。ギラギラしたイメージが先行しがちだが、実際に歩いてみると大衆的な焼肉屋やユッケ屋、気軽に入れる居酒屋が多く、若者の姿も多い。意外にもとっつきやすい外食文化があるエリアで、六本木よりは西麻布・赤坂に近い、ローカルにも愛される「ちゃんとした夜の街」という雰囲気だ。

美容整形クリニックの密集地帯でもあり、整形観光の目的地としても名高い。COEX(大型複合商業施設)周辺は都会的でビジネス利用も多く、夜の食事とショッピングを組み合わせるのに使いやすい。

こんな人向き: 夜の外食、ビジネス旅行者、クリニック目的、ソウル南部エリアの拠点

梨泰院(イテウォン)・経理団(キョンリダン)──六本木・中目黒

梨泰院は2022年の痛ましい群衆事故以降、一時は観光客が激減した。しかし2024年頃から徐々に回復しており、外国人コミュニティと食の多様性が改めて評価されている。中東・南アジア系レストラン、クラフトビール、ビンテージショップが共存する独特の空気感は六本木のインターナショナルな感覚に近い。

そこから南山方向に坂を上った「経理団通り(キョンリダン)」は、こちらは中目黒に近い雰囲気だ。こじんまりした路地に独立系カフェやレストランが密集しており、地元のクリエイター・飲食業界の人間がよく使う場所として本物感が残っている。

こんな人向き: 夜の食事、多国籍グルメ、クラフトビール、ビンテージ漁り

仁寺洞(インサドン)・北村(ブッチョン)韓屋村・三清洞(サムチョンドン)──浅草・谷根千

仁寺洞は伝統工芸品・韓紙・陶磁器・韓国茶の店が並ぶ観光ストリートで、東京の浅草に相当する。観光バスの客もやってくる賑わいだが、路地裏には個人の骨董屋や伝統菓子の店が残っており、掘れば掘るほど面白い。韓紙製品や食品系のローカル土産はここで一気に揃う。

そこから徒歩圏内の北村韓屋村・三清洞は雰囲気が変わり、谷中・根津・千駄木(谷根千)的な空気になる。朝鮮王朝時代の伝統家屋(韓屋)が丘の上に残り、古い建物と現代の個人店が自然に共存している。朝の8〜9時台に訪れると閑静な路地の空気が楽しめる。三清洞通りにはギャラリーや茶房もあり、宮殿観光と組み合わせて半日じっくり過ごすのに向いている。

こんな人向き: 土産購入、伝統文化・建築好き、写真撮りたい人、宮殿観光とセット

東大門(トンデムン)──馬喰町・浅草橋

ファッション卸市場が深夜まで営業していることで有名なエリア。問屋が密集しているため服や雑貨を安く買える店も点在しており、馬喰町・浅草橋の「安く仕入れられる問屋街」的なニュアンスがある。本格的な仕入れはプロ向けだが、旅行者でも掘り出し物を見つける楽しさがある。

ザハ・ハディッドが設計したDDP(東大門デザインプラザ)は夜のライトアップが特に美しく、必見の建築体験だ。深夜のグルメ(タッカンマリ専門店街など)も旅行者に開かれており、他のエリアで遊んだ後に〆として訪れる使い方もよくある。

こんな人向き: DDP建築・デザイン好き、掘り出し物ショッピング、深夜グルメ、ファッション業界関係者

聖水洞(ソンスドン)──清澄白河・蔵前

いま間違いなくソウルで最も注目されているエリアがソンスだ。かつての工場地帯を活かしたリノベーションカフェ、セレクトショップ、ファッションブランドの旗艦店が密集しており、「ソウルのブルックリン」とも呼ばれる。清澄白河のようなコーヒー文化の深さと、蔵前のような「かっこいいものづくり系の店」が揃いつつ、ファッションの要素が強く加わっているのがソンスの特徴だ。韓国発のインディーズブランドから大型グローバルブランドのポップアップストアまで、服や靴を見るだけでも一日楽しめる。

ただし、週末はかなりの混雑になる。2025〜2026年にかけて急速に人が集まるようになり、土日の昼間は竹下通りに近いくらいの人出になることもある。平日の午前中が断然おすすめだ。

こんな人向き: ファッション好き、カフェ好き、ポップアップ・新ブランド開拓

漢南洞(ハンナムドン)──代官山・恵比寿

駐韓大使館が集まる高台エリア。エリアの家賃が高い分、中途半端な店が残れない環境だからこそ、結果として洗練されたレストラン、建築的に凝ったカフェ、品質の高いセレクトショップが集積している。代官山と恵比寿の中間にある「落ち着きとセンスのバランス」は、ソウルの中ではここが一番近い。目的地を決めずに歩いていると路地の奥にひっそり良い店が入っている、という発見の仕方ができる街だ。

観光地感がなく、夜のレストランも外れが少ない。

こんな人向き: 大人旅、ゆっくりしたい人、食事と空間にこだわりたい人

延南洞(ヨンナムドン)──奥渋・自由が丘

個人的に、2026年において滞在拠点として最もオススメしたいのがヨンナムだ。弘大の北西に広がる、廃線跡を整備した「京義線の森」沿いの住宅エリア。最近はおしゃれなカフェが増え続けているが、街全体にゆとりがあり、喧騒から少し離れた落ち着きがある。弘大・ソンスほど混んでおらず、それでいてカフェのクオリティは高い。

インテリアに凝った個人店が路地の奥に静かに構えており、奥渋(奥渋谷)のような「知る人が歩いてたどり着く感じのお洒落さ」と、自由が丘のような「街全体がゆったりしたお洒落さ」の両方がある。喧騒を少し離れたロケーションでおしゃれに滞在したい人にとって、ソウルの中で最もバランスの良いエリアだと思っている。

こんな人向き: カフェ巡り好き、弘大と組み合わせたい人、落ち着いた滞在重視

西村(ソチョン)──神楽坂

景福宮の西側に広がる、北村より知名度は低いが人気が上昇しつつあるエリアだ。古い韓屋の路地に独立書店やナチュラルワインバー、静かなカフェが潜んでいる。神楽坂のように「知る人ぞ知るが、少しずつ知られてきた」段階で、今ならまだ人混みなく歩ける。

青瓦台(元大統領府、現在は再び大統領官邸に戻りつつある)の正門への動線上にあるため注目度が上がってきたが、街の雰囲気はまだ落ち着いたままだ。

こんな人向き: 観光客を避けたい人、ワイン好き、本好き、静かな街歩き

乙支路(ウルチロ)──両国・墨田

印刷・金属加工の問屋街として昭和感を残す乙支路4〜6街が、若いクリエイター層の流入で静かに変わり始めている。古い町工場や印刷所の1階が小さなバーやカフェに転用されつつあるが、まだ観光客はほとんどいない。

東京で言えば両国・墨田の旧工場街がリノベーションで面白くなってきた段階に近い。世運商街周辺では若手クリエイターのポップアップも増えており、「ここが3年後に来る」とソウルのカルチャー人脈の間ではすでに認識されている感がある。今のうちに歩いておくと「あの時行ったな」という体験になるはずだ。

こんな人向き: 上級者向けリピーター、工場街・問屋街好き、アンダーグラウンドなバーシーン

文来洞(ムンレドン)──野毛・蒲田

鉄鋼・溶接の工場が今も現役で稼働しているエリアに、倉庫を改装したカフェやギャラリー、ルーフトップ酒場などが点在している。メディアも取り上げ始めたが、2026年現時点では実際に来る観光客はまだごく少数だ。

横浜・野毛の「路地裏感があって昼間からカジュアルに飲める雰囲気」と、蒲田周辺の「工業地帯と日常生活の混在」が両方ある。若者の姿も多く、路地裏にカジュアルでおしゃれな店がちょこちょこ入り込んでいるのは、乙支路よりもとっつきやすい。観光客がゼロに近い分、ソウルの現在進行形の変化を肌で感じられるエリアだ。観光客が増えるタイムリミットはあと1〜2年程度だと思っている。

こんな人向き: 上級者向けリピーター、「まだ誰も知らない場所」を先に行きたい人、ロマン派

まとめ──エリア選びの基本方針

初訪問ユーザーや、とにかく定番エリアをめぐりたい方は、明洞・弘大を拠点にしつつ、仁寺洞・北村で歴史を感じ、夜は梨泰院か江南で食事、というのがよく聞く回れる鉄板ルートだ。

しかし、2回目以降や、よりローカルに愛されるトレンドを体感したいユーザーなら、聖水洞・漢南洞・延南洞あたりに時間を割くと、今のソウルの「生きたトレンド」が感じられる。

観光地感が苦手な旅行者は、西村・望遠洞・乙支路・文来洞を組み合わせた「まだ誰も来ていないソウル」を歩くのが一番おもしろい体験になると思っている。ソウルはエリアを変えるだけで、何度でも別の顔を見せてくれる都市なので、旅行スタイルに合わせて滞在拠点・訪問地の組み立てを楽しんでいただけると幸いだ。