今年に入ってから、Googleアドセンスの収益がおかしい。
私自身の話をすると、2025年秋ごろと比べて収益は50〜60%程度まで落ちている。最初は自分の記事が悪くなったのかと思った。SEOで何かを見落としたか、更新が足りなかったか。でもいくら振り返っても、明確な「失敗」が見当たらない。

調べてみると、同じような話が業界全体に広がっていた。WebmasterWorldや各種ブロガーフォーラムでは「前年比マイナス30〜67%」「一部はマイナス90%超」という報告が相次いでいる。旅行ブログに限らず、情報系のブログ全体で起きていることで、特に旅行ニッチはダメージが大きい。私の50〜60%減という数字は、残念ながら「業界平均的な落ち幅」に収まってしまっている。
収益が落ちると、まず自分を疑いたくなる。でも今回は、もう少し広い視点で見る必要がある。この記事では、2026年前半に何が起きているのか、その背景と今後の向き合い方を整理してみたい。
まず現状を確認する:数字で見る2026年

業界全体の話として、2026年1月ごろに顕著な収益の急落が発生した。12月の年末需要で一時的に持ち直したサイトも、1月以降に急落するパターンが多い。旅行ブログの場合、2月末からさらに落ち込んだという報告が目立つ。
RPM(1,000ページビューあたりの収益)で見ると、旅行系でも$5〜8程度が現実的なラインになってきた。トラフィックが維持されていても収益が下がる、という二重苦を経験しているブロガーも多い。
4〜5月になっても完全な回復には至っておらず、「一時的な変動」ではなく「新しい水準への移行」と見たほうが現実に近い。
なぜ起きているのか:三つの背景
① GoogleのAI Overviewが「ブログへの入口」を塞いだ
最大の要因が、GoogleのAI Overviewsだ。
簡単に言うと、検索結果の画面内でAIが答えを出してくれるようになったため、ユーザーがブログまで来なくなった。業界データによれば、2026年1月以降、情報系クエリの48〜55%でこのAI要約が表示されるようになっている。

特に打撃を受けているのが旅行ブログの主力クエリだ。「〇〇 おすすめ」「ベストシーズン」「旅行の計画の立て方」——こういった検索でユーザーはGoogle画面内で満足してしまい、ブログまでたどり着かない。業界全体で有機トラフィックが20〜40%減少したサイトが続出しているのはこのためだ。
私自身も、情報系の記事ほどアクセスが落ちている実感がある。「上位に表示されているのに読まれない」という、以前はなかった現象だ。
そしてこれは一時的なものではない。AI Overviewsはさらに拡大する方向にあり、不可逆な変化として向き合う必要がある。
② 中東情勢の悪化が旅行需要を直撃した

旅行ブログ特有の打撃として、地政学リスクがある。
2026年2月末からの中東情勢の悪化により、燃料費が高騰し、航空券代に波及した。その結果、旅行を「計画する段階」の検索そのものが減った。旅行関連の広告主——航空会社・ホテル・ツアー会社——も広告予算を絞り始め、業界全体でクリック単価が下落した。
私の場合、中東・イラン関連の記事へのアクセスが2月末を境にはっきりと落ちた。記事の質は変わっていないのに、読者が「旅行を考える気分になれない」状況では、どうしようもない。旅行ブログは外部環境のショックをもろに受ける構造を持っている。
尚、当ブログの場合は、ある意味戦争がきっかけとなり、中東関連の記事が一時的に伸びたという逆の側面も観測された。これが、記事冒頭に触れた3月頭の突発的な伸びに繋がったわけである。
③ AdSense側でも変化が重なった
加えて、AdSense側の要因も重なった。広告のオークションの仕組みが変更されたこと、質の低いトラフィック(ボットなど)の増加によってRPMが押し下げられたこと——これらは個人の努力ではコントロールしにくいマクロな変化だ。
三つの要因が同時期に重なったことが、2026年前半の急落を引き起こした。
対策:コンテンツと収益の両面から動く
まず前提として整理しておきたいのは、この減収の原因についてだ。業界の分析では、高品質なサイトでも30〜50%の落ち込みは避けられなかったとされている。外的要因が8〜9割を占めており、努力だけでは防げない天井がある——それが2026年の現実だ。だから必要以上に自分を責めなくていい。ただ、適応は必要だ。
「実体験」をもっと前に出す
AIが検索結果内で答えを出せるのは、あくまで一般的な情報だ。「実際にその場所に行った人間の視点」はまだ代替できない。
実際に現地を訪れた体験・失敗談・費用の詳細な内訳・地元の人から聞いた話——こういったコンテンツはAIが要約しにくく、むしろAI Overviewに引用される側になりやすい。私が実感しているのは、情報系の記事より体験記の記事のほうがアクセスの落ち込みが小さいという点だ。旅行ブログの強みはここにある。
アドセンス以外の収益経路を育てる
コンテンツの方向性と並行して、収益チャネルの分散も重要だ。
旅行ブログであれば、宿泊・航空券アフィリエイトとの相性がいい。アフィリエイトは広告主の予算変動に左右されにくく、単価もアドセンスより高くなりやすい。記事一本の積み重ねが、その後も長期にわたって収益を生み続ける点でも優れている。
私自身は昨年からStay22を使い始め、旅行アフィリエイトの収益比率を上げてきた。Stay22はBooking.comやAgodaなど複数のOTAに対応した宿泊アフィリエイトツールで、既存記事に埋め込んだリンクを自動で最適化してくれる。導入から約4ヶ月で初回入金が517ドルになった詳細は別記事に書いたが、現在もなおアドセンスが落ちた分を一定程度カバーできている。リンク管理の手間がほぼかからないのも、日々の運営の現実として助かっている。
アドセンスの代わりに何かひとつを見つけるというよりは、複数の細い収益の流れを束ねていくイメージが現実的だろう。
まとめ:稼ぎ方の構造を見直す時期
2026年のアドセンス減収は、個人の努力不足ではなく、GoogleのAIシフトと外部ショックが重なった業界全体の構造変化だ。
「検索流入だけでアドセンス収益が安定する」という時代は、少なくとも短期的には戻ってこないと思ったほうがいい。ただ、旅行という体験価値の高い分野はまだ強い需要がある。AIが生成できない「その場所に実際に行った人間の視点」は、これからも読まれ続ける。
アドセンスを補助的なものとして位置づけ直し、実体験を武器にしながら収益の組み合わせをアップデートしていく——それが今の時代への適応だろう。