シルクロードのオアシスとして栄えた新疆ウイグル自治区。その中でも、葡萄・ワインの生産地として有名な吐魯番(トルファン)は、中国国内でも独特な文化を持つ街だ。今回は、日中の観光を終えた後、夜通し吐魯番の街を満喫するオールナイト旅行に挑戦してみた。
吐魯番ってどんなところ?
吐魯番(トルファン、トルパンとも)は、新疆ウイグル自治区東部に位置する都市。天山山脈に囲まれた盆地で、古くから東西交易の拠点として栄えてきた。葡萄や干し葡萄、ハミ瓜などの果物が有名で、特に葡萄は「吐魯番盆地の宝石」と呼ばれるほど。近年では、ワイン造りも盛んになり、中国国内でも評価の高いワインが生産されている。また、ウイグル文化の中心地としても知られており、独特な音楽やダンス、食文化を楽しむことができる。
新疆時間と、新疆の冬について
吐魯番を含む新疆地域では北京(中国標準時)とは2時間の時差があり、新疆時間と呼ばれる独自の時間が採用されている。また、ほぼ全域が砂漠気候のため、夏は非常に暑い。11月下旬から3月頃までが冬となり、日中は比較的過ごしやすいものの、夜は氷点下になることも珍しくない。実際に我々が到着した際にも気温はマイナス15度となっており、冬に訪問する際は防寒対策は必須だ。
日中の観光を終えて、ホテルへチェックイン
日中の観光を終え、夕暮れ時にホテルへと向かう。吐魯番市内のホテルに荷物を預け、夜が更けるのを待って街へと繰り出す。予約した翌日のウルムチ行き電車が早朝便だったため、一睡もせず市内で遊ぶことにした。
まずはローカルビール、ローカルワインに舌鼓を打つ
まずは、コンビニでローカルビールとワインを購入。今回飲んでみたのは下記のローカル酒だ。
燕京啤酒(ヤンキンビール):中国全土で愛される定番ビール。
乌苏啤酒(ウースービール):WUSUのラベルが特徴的な、新疆ウイグル自治区の代表的なビール。
楼兰干红葡萄酒(楼蘭ワイン):吐魯番産の葡萄を使った、中国国内でも評価の高いワイン。
ウイグルはイスラム教徒が多い地域だが、お酒も多く広く販売されており、特に新疆産のワインは中国国内でも人気の上質ワインとして知られている。ホテルの部屋で、購入したビールとワインを味わいながら、夜のテンションを高めていく。
吐魯番市内のディスコへ行く
腹ごしらえを終え、向かったのは吐魯番市内のディスコ。イスラムテイストの不思議なミラーボールがくるくる回っており、独特なディスコ空間が広がっていた。店内は半分がテーブル席、もう半分がダンスフロアになっており、ほぼ満員御礼。寒さ故に閑古鳥が鳴いている屋外と対照的に、店内は活気に満ち溢れていた。
ウイグルスタイルは、ペアで手を組んで踊るのが特徴。しかし、我々は踊り方が分からず、半ば困惑。それでも、ウイグル人や漢民族など、多様な人々が音楽に合わせて楽しそうに踊っている様を眺めるだけで、とても楽しい気持ちになった。
次に、吐魯番市内の音楽パブへ行く
ディスコを後に、今度は音楽パブへ。店内は薄暗く、落ち着いた雰囲気。ステージではギタリストと専属シンガーによるアコースティックライブが行われていた。客席では、シーシャ(水タバコ)を楽しみながら音楽に耳を傾ける人々。イスラム文化の影響を感じさせる、ウイグルならではの空間だった。
ちなみにこういった音楽パブでは、一見お酒が提供されそうではあるものの、実際にはお酒を販売していないお店が多い。心地よい音楽に浸りながら、ついついお酒を飲みたくなってしまうが、郷に入っては郷に従え、ということで我慢が必要だ。
最後に、吐魯番市内のクラブへ行く
夜も更け、最後の目的地は吐魯番市内のクラブ。クラブの中央には床が光るダンスフロアが敷かれ、その周囲をぐるっと囲むようにテーブル席が並んでいた。ほんのり古いライティングが織りなす1990年代風のレトロな雰囲気漂う店内は、どことなくTKカルチャーを思わせる。
全体的に最初に行ったディスコよりも年齢層が若く、レーザーを浴びながら思い思いに踊る若者たちで賑わっている。ダンスはやはりウイグルスタイルで、ペアになって踊るのが基本のようだ。曲が流れ始めると、テーブルで談笑していた若者たちが一斉にダンスフロアに集まり、汗を散らしながら思い思いに踊る。そして曲が止まると速やかにテーブルに戻って談笑する。その緩急の差がなんともシュールで面白く、最後まで飽きることなく楽しむことができた。そして恥ずかしがり屋の私たちも、気づけばダンスフロアに上がって下手くそな踊りを披露していた。
まとめ
日中の観光とは全く異なる、活気に満ち溢れた吐魯番の夜。音楽、ダンス、お酒を通して、ウイグル文化を肌で感じることができた貴重な体験だった。新疆旅行を計画している方は、ぜひ夜の世界も味わってみてはいかがでしょうか。
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