コーヒー発祥の地として知られるエチオピア。首都アディスアベバから東へ約500km離れた古都ハラールは、野生のコーヒーが自生する地域として有名です。今回、そんなハラールの現地住民の家庭で、私は運よく伝統的な「コーヒーセレモニー」を体験する機会を得ることができました。本記事では、エチオピアのコーヒーセレモニーについて、その意味や流れ、実際に体験した様子、そして招待を受けた場合に恥をかかない振舞い方について詳しく紹介します。
コーヒーセレモニーの起源と意味
コーヒーセレモニーは、エチオピアの民族文化に深く根付いた伝統的な儀礼です。日本で言うところの作動に相当するような歴史深い文化であるとともに、客をもてなすための重要な儀式とされています。そのためコーヒーを飲むことだけでなく、その前の準備段階にも文化的な面白さが凝縮されています。またコーヒーは神聖な飲み物と考えられていることから、セレモニーを通して、神への感謝の気持ちを捧げるという意味合いもあります。
国中そこかしこにコーヒーショップが溢れるエチオピアですが、コーヒーショップでホットコーヒーを注文して一人でクイクイ飲むのと、コーヒーセレモニーでホストのきめ細やかな所作を見守りながらゆったりとコーヒーを味わうのとでは、まるで体験のジャンルが異なります。エチオピアのコーヒー文化の神髄を知るためには、コーヒーセレモニーへの参加は不可欠と言っても過言ではないでしょう。
コーヒーセレモニーの流れ
下記では、具体的なコーヒーセレモニーの流れについて述べていきます。
1. 歓迎
まず家主はゲストを歓迎し、ソファに招き入れます。今回我々を招待してくれた家主の女性は、伝統的な衣装を身につけ、笑顔で私たちを迎えてくれました。
2. 香りを楽しむ
緑色のコーヒー豆を焙煎し、その香りをゲストに嗅がせます。部屋にはコーヒーの甘い香りが漂い、次第に心が落ち着いてきます。
3. 豆を挽く
杵と臼を使って、丁寧にコーヒー豆を挽きます。
4. 水を沸かす
伝統的な土器を使って、水を沸かします。
5. コーヒーを淹れる
挽いたコーヒー粉を土器に入れ、沸騰したお湯を注ぎます。私たちはソファに座りながら、女性が丁寧にコーヒーを淹れる様子を見守りました。
6. コーヒーの提供
小さな陶器のカップにコーヒーを注ぎ、ゲストに提供します。
7. 3杯のコーヒー
コーヒーは3杯提供されます。1杯目は「Buna Tetu」(歓迎のコーヒー)、2杯目は「Buna Buna」(友情のコーヒー)、3杯目は「Baraka」(祝福のコーヒー)と呼ばれます。2番煎じなどといって敬遠する日本とは少し価値観が異なりますね。
8. 会話と交流
コーヒーを飲みながら、家主とゲストは会話を楽しみ、交流を深めます。
9. 終了
最後に、家主とゲストは相互に感謝の言葉を述べ、セレモニーは終了します。ハラールの住民の家庭で体験したコーヒーセレモニーは、約2時間ほど行われました。
恥をかかない振舞い
コーヒーセレモニーは、エチオピアの人々にとって大切な文化です。特殊なルールやマナーは無いものの、リスペクトと感謝の気持ちを持って参加することが大切です。招待客であったとしても、家主や他のゲストに対して謙虚な態度で接し、コーヒーを提供されたら、感謝の気持ちを伝え丁寧に味わいましょう。
ちなみに服装はTシャツやジーンズなど、カジュアルな服装で問題ありませんが、ムスリムの町であるハラールにおいては、露出度の高い服装は全般的に避けた方が良いでしょう。
いかがでしたでしょうか?
エチオピアのコーヒーセレモニーは、単なるコーヒーを飲む儀式ではなく、文化や歴史、人々の想いが詰まった貴重な体験です。また、ハラールの家庭で体験したコーヒーセレモニーは、私にとって一生忘れられない思い出となりました。エチオピア旅行の際には、ぜひコーヒーセレモニーに参加して、エチオピアの文化を体感してみてください。
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