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福岡−釜山航路の終焉:クイーンビートルに何が起きたのか?韓国での生まれ変わりの姿と、現状の移動手段について解説

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福岡から釜山まで、たった3時間40分。

博多港から船に乗れば、お昼前には釜山の街を歩いていました。荷物の重量制限もなく、液体物も自由に持ち込める。港は街の中心部にあるから、着いてすぐに観光やグルメを楽しめる。朝出発して、夕方には福岡に戻ってくる日帰り旅行だって余裕でした。

そんな便利な移動手段が、昨年に突然なくなったことは、多くの韓国マニアを落胆させてのではないでしょうか。JR九州高速船が運航していた「クイーンビートル」の運航終了です。一体この船に何が起きたのか、そして今、福岡から釜山へ行くにはどんな選択肢があるのか、まとめてみました。

クイーンビートルの魅力:港から港へのダイレクトアクセス

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クイーンビートルの最大の強みは、なんといっても「シンプルさ」でした。

博多港は福岡市の中心部、天神や博多駅から車で15分ほど。釜山港も街のど真ん中にあります。空港のように郊外まで移動する必要がなく、チェックインも出発の1時間前で十分。保安検査はあるものの、航空便ほど厳格ではありません。

大きなスーツケースを持っていても重量制限を気にする必要がなく、お土産をたくさん買っても問題なし。化粧水やシャンプーなどの液体物も比較的自由に持ち込めました。船内は広々としていて、3時間40分の航海も快適です。Wi-Fiも使えましたし、免税品の販売もありました。

定員502人の大型船で、座席も余裕があります。揺れが気になる方は船酔い止めを飲んでおけば大丈夫でしたし、天候が悪い日は運休することもあったので、安全面でも配慮されていました。

料金は往復で1万5千円前後。LCCの航空券の最安値と比較すると少し高めでしたが、港から港へのアクセスの良さと荷物の自由度を考えれば、十分に価値がありました。

何が起きたのか:浸水事故と隠蔽問題

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2020年に建造費60億円をかけて完成したクイーンビートルは、三胴船という特殊な構造の新型船でした。コロナ禍を経て2022年11月に就航し、期待の新世代旗艦として活躍が始まります。

ところが就航から1年半の間に、船首部分に亀裂が入って浸水する事故が3回発生しました。三胴船は従来の水中翼船と比べて波の影響を受けやすく、玄界灘の荒波には想定以上の負担がかかったようです。

さらに問題だったのは、運航会社のJR九州高速船がこの浸水を3カ月以上隠蔽していたこと。2024年8月に発覚し、クイーンビートルは即座に運休となりました。

JR九州は亀裂の修理を行いましたが、玄界灘の荒波に耐えられるだけの強度まで補強するには特殊な溶接技術が必要で、技術的に困難と判断。2025年2月、日韓高速船事業からの完全撤退を発表しました。

釜山で遊覧船として新たなスタート

2025年4月、クイーンビートルは韓国・釜山のクルーズ会社「パンスターラインドットコム」に売却されました。売却条件として「日韓航路では運航させないこと」が明記されています。

そして2026年1月、この船は「パンスターグレイス号」として釜山港周辺を周遊する遊覧船に生まれ変わったというのが最新情報。内装はほぼそのまま残され、釜山観光の新しいアトラクションとして活用されています。

www.nishinippon.co.jp

釜山を訪れる機会があれば、かつて福岡と釜山を結んでいたこの船に遊覧船として乗ることができますが、かつての便利な国際フェリーが、今や遊覧船にすっかり変身してしまったというのは、ちょっと複雑な感覚かもしれませんね。

今、福岡から釜山へ行くには?

そんな現在の、クイーンビートル撤退後の選択肢を整理しておきましょう。

航空便(最も一般的な選択肢)

所要時間:飛行時間約1時間、空港アクセス含めて実質3〜4時間

メリット:

  • LCC参入で価格が安い(往復1万円前後から)
  • 便数が多く、スケジュールの自由度が高い
  • 天候の影響を比較的受けにくい

デメリット:

  • 空港までの移動時間がかかる(福岡空港は市内に近いが、釜山の金海空港は市街地から少し離れている)
  • チェックインや保安検査の時間が必要
  • 荷物の重量制限がある
  • 液体物の持ち込み制限がある

こんな人におすすめ: 荷物が少なめで、とにかく価格を抑えたい方。時間に余裕があって、複数の便から選びたい方。

フェリー(時間に余裕がある方向け)

所要時間:約5〜6時間(通常フェリー)

メリット:

  • 夜行便を利用すれば宿泊費を節約できる
  • 車両の持ち込みが可能
  • ゆったりとした船旅を楽しめる
  • 荷物の制限がほとんどない

デメリット:

  • 所要時間が長い
  • 日帰りには向かない
  • 便数が限られている

こんな人におすすめ: 時間に余裕があって、船旅そのものを楽しみたい方。大量の荷物や車を持ち込みたい方。宿泊費を浮かせたい方。

実質的には航空便が主流に

正直なところ、クイーンビートル撤退後は航空便が最も現実的な選択肢になっています。

福岡空港は地下鉄で博多駅から5分、天神から11分という好立地。釜山の金海空港も地下鉄やリムジンバスで市街地へアクセスできます。LCC各社が競争しているので、早めに予約すれば驚くほど安い運賃が見つかることも。

ただし、クイーンビートルのような「ふらっと港から港へ」という気軽さは失われました。「ちょっと釜山まで日帰りで」というハードルは、確実に上がっています。

旅行者として知っておきたいこと

Busan

福岡−釜山間は地理的にわずか200kmほど。海を挟んだ隣町のような距離です。

クイーンビートルがなくなったことで選択肢は減りましたが、釜山自体の魅力は変わりません。海雲台ビーチ、甘川文化村、チャガルチ市場、温泉、そして美味しい海鮮料理。日帰りは難しくなりましたが、1泊2日でゆっくり楽しむのも悪くありません。

航空便なら早朝便で出発して、夜便で帰ってくれば日帰りも不可能ではありません。ただし朝が早く、夜遅くなるので、体力的にはかなりハードです。現実的には1泊2日以上がおすすめです。

また、LCCを上手に使えば、往復航空券と1泊のホテル代、あるいはチムジルバンを活用することで、1万円台で収まることもあります。荷物を最小限にして、現地で必要なものを調達するスタイルなら、航空便でも十分快適に旅行できますね。

www.kosupatravel.com

まとめ:変わる移動手段、変わらない魅力

クイーンビートルの運航終了は残念ですが、福岡と釜山の距離が遠くなったわけではありません。移動手段が変わっただけです。

航空便は航空便の良さがあります。価格も安く、便数も多い。福岡空港の便利さは世界屈指ですし、釜山への旅行はこれからも十分に楽しめます。

クイーンビートルで培われた福岡−釜山の人の往来は、これからも続いていくはずです。移動手段は変わっても、釜山の魅力、そして気軽に海外旅行を楽しめる福岡の地の利は変わりません。

次に釜山を訪れるときは、ぜひ生まれ変わったクイーンビートルの姿を、現地で拝んでみてはいかがでしょうか?