バルセロナ旅行の醍醐味といえば、地元の人々に愛されるタパスバルでの食事体験ではないでしょうか。複数人でグループでの食事が一般的とされるバルセロナでは、ひとりでもサクッと利用できる食事処を探すのが大変。そんな中今回は、一人でも気兼ねなく利用でき、かつ観光客向けガイドブックにはめったに載っていない、地元民に愛される隠れ家的タパスバル「Jube Bar」をご紹介します。Plaza Españaから徒歩圏内という好立地ながら、観光地化されていない本物のバルセロナの味が楽しめる場所です。
スペインのタパスバル文化について
スペイン、特にバルセロナのタパスバル文化は、日本の居酒屋文化とはまた違った魅力があります。小皿料理「タパス」を複数種類頼んで食事とするスタイルは、様々な味を少しずつ楽しめる贅沢さがあります。
タパスバルの魅力のひとつは、カウンターに並ぶ色とりどりの料理を見て、言葉が通じなくても指さして注文できる気軽さです。メニューを読む必要もなく、見た目で選べるため、スペイン語が話せない旅行者にも安心です。また、スペインでは昼間からワインやビールを楽しむ文化があり、食事と一緒にアルコールを楽しむことに罪悪感を感じる必要もありません。タパスバルの中には、今回紹介するJube Barをはじめとし、昼間から開いているお店もあるため、そういった場所は地元民にとっても使い勝手の良い昼食処として愛されています。
Jube Barの魅力
Jube Barは、カレル・デ・サン・フルクトゥオス通りにある小さなタパスバーです。外観は特に派手ではなく、地下鉄駅からも近いものの、観光客が多く行き交うエリアからは少し離れています。
店内は清潔感があり、テーブル席とカウンター席が設けられています。スペインのバルといえば仲間と賑やかに飲食するイメージが強いですが、Jube Barのカウンター席は一人客にも優しい空間です。
客層は実に多様で、おしゃれなマダムたちのグループや、建設現場から作業服のまま立ち寄ったおじさんたちなど、様々な地元の人々が訪れています。特筆すべきは、常連客同士の閉鎖的な雰囲気がないこと。アットホームながらも程よいドライさがあり、初めて訪れる外国人でも居心地良く過ごせます。
また、Jube Barはテイクアウト用のランチボックスも提供しており、地域の食を支える存在として地元民から愛されていることがうかがえます。
一人旅行者の体験レポート:カウンターでのランチタイム
私は周辺を散策した後、昼食を求めてJube Barに足を踏み入れました。午後1時頃で、ランチタイムのピークより少し早めの時間でしたが、既にちらほらと地元客で賑わっていました。入店すると、カウンター席が空いていたので、そこに座ることに。
カウンターには様々なタパスが並んでおり、どれが人気なのか、他のお客さんが何を注文しているのかを観察しました。スペイン語のメニューは分からなくても、見た目で選んで指差し注文できるのがタパスバルの魅力です。
私が選んだのは、モルシージャ(スペインの血入りソーセージ)、ハンブルゲサ・カエサラ(血のハンバーグのような料理)、そしてエンサラディージャ・ルサ(ロシア風サラダ)の3品です。特にモルシージャは黒く煮込まれたソーセージで、独特の深みのある風味が特徴的でした。
血のハンバーグと呼んだハンブルゲサ・カエサラは特に印象的。日本では味わえない濃厚な風味と独特の食感で、スペイン料理の奥深さを感じる一品でした。エンサラディージャ・ルサは、じゃがいもをベースにしたマヨネーズ和えのサラダで、肉料理の合間の箸休めに最適でした。
これらに合わせて頼んだのは冷たい白ワイン。グラス一杯のシンプルな注文でしたが、フルーティーでキリッとした飲み口の地元ワインでした。日本では昼間からお酒を飲むことに少し躊躇するかもしれませんが、スペインでは昼食時のワインは日常的。周りの地元の人々も気兼ねなくランチとともにワインやビールを楽しんでいました。
言葉がわからなくても、カウンターに並ぶ料理を指さして注文でき、他のお客さんの様子を観察しながら人気の料理を探れるというのは、一人旅行者にとって大きな魅力です。スペイン語のメニューに戸惑うことなく、本場のタパスを楽しむことができました。
まとめ:地元の日常を味わう旅の醍醐味
Jube Barを訪れる魅力は、観光地化されていない本物のバルセロナの食文化を体験できる点にあります。素朴で誠実な料理と、親しみやすさと適度な距離感を持つサービスが心地よい空間です。
特に一人旅行者にとって、カウンター席があるというのは大きな魅力です。スペインのバルは賑やかなグループで訪れるイメージが強いですが、Jube Barなら一人でもしっぽりと食事を楽しむことができます。
モンジュイック公園や魔法の噴水、CaixaForumなどの観光スポットからも近いので、観光の合間に立ち寄るのにもぴったりです。観光ガイドには載っていないような地元の味を探す旅は、本当の意味でバルセロナの日常に触れることができる貴重な体験。バルセロナを訪れる際は、ぜひJube Barでランチやディナーを楽しんでみてください。
なお、昼時のタパスバルは混雑する恐れがあります。ピーク時間帯の2時前後の訪問は避けて、少し早めの時間帯に訪ねることをお勧めします。