今回は実際にKsar Hadadaで過ごした滞在の様子を簡単にレポートしていきます。時系列が前後することもありますが、この魅力的なベルベル要塞での体験を余すことなくお伝えしたいと思います!
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いよいよチェックイン
前の予定が押してしまい、結局Ksar Hadadaに到着したのは夜の21時頃でした。遅い時間の到着にも関わらず、スタッフの方々は快く迎えてくれました。しかし、驚いたのはホテル前の駐車場が満車状態だったこと。「もしかして他にも宿泊客がたくさんいるのかな?」と思ったのですが、実はそうではありませんでした。
駐車場を埋め尽くしていた車の主たちは、皆近所に住んでいるチュニジア人たちだったのです。どうやらKsar Hadadaは宿泊施設としてだけでなく、地元のファミリーや若者たちが特別なディナーを楽しむためのレストランとしても機能しているようでした。これは予想外の発見!
そして何と、この日の宿泊客は結局私たち一組だけ。チュニジア人の地元客で賑わう中、私たちだけが外国人観光客という状況で、かなりの異世界感を味わうことになりました「これは思わぬ掘り出し物を発掘してしまったかも?という良い予感がしました。
クサール内部探検
Ksar Hadadaの内部は想像していたよりもはるかに広大でした。スター・ウォーズの撮影で有名になった、特徴的な白いドア枠模様を持つ建物群はもちろんのこと、土レンガのような質感の建物が並ぶ区画もあり、建築デザインの幅広さに驚かされました。
2~3階建てのクサールが複数の塊になって並んでおり、メンテナンスは適度にされているものの、基本的には建築当初のままのデザインが保たれています。
一部のエリアにはスター・ウォーズファン向けの装飾が施された区画もありましたが、Sidi Drissのようにスター・ウォーズ色が強すぎる「やりすぎ感」はなく、程よく「ありのまま感」が出ていて好感が持てました。
レストラン・カフェエリアがクサールの一方にあり、その反対側には宿泊用の部屋が並ぶエリアが配置されています。その中の一室が、今回私たちに提供される部屋でした。
部屋の中
ウェブサイトの写真からは、こじんまりとしたひとつの部屋のようなものを想像していましたが、実際に部屋に入ってみると意外にも広々としていました。一つ一つの個室は小さめですが、実質3部屋構成といったところでしょうか。
ありのままのベルベル住居を再現したような部屋の中。各部屋にはベルベルカーペットがいくつも敷き詰められており、可愛らしい雰囲気を演出しています。まさに洞窟の中にいるような独特な空間で、現代のホテルでは絶対に味わえない異文化感がありました。
それでいて寝室にはしっかりとしたベッドが設置されており、何とエアコンも完備されていました。事前情報では、クサールホテルはインフラが限定的と聞いていたので、意外にも設備が整っていることに驚きました。
また、建物の構造上、2階部分だと思っていた場所が実は窓になっており、通気性も抜群でした。ただし、洞窟のような形状ゆえ、頭上がところどころ低くなっている箇所があります。うっかり頭をぶつけると容赦なく痛いので要注意です!
水回りもそこそこ綺麗で、現代的なトイレが備わっており、「ディープな体験」と「快適さ」を程よく兼ね備えたバランスの良い宿泊環境でした。
朝は貸し切り状態
夜は地元のチュニジア人たちがディナーを楽しみに来て賑わっていましたが、朝は私たち以外には誰もいませんでした(清掃などを行う地元従業員さんたちはちらほらいましたが、それはそれでチュニジアの村落感が出て良い雰囲気でした)。そのため、この広大なクサールをほぼ貸し切り状態で楽しむことができました。
クサール内を散歩したり、建物に上って写真を撮ったり、思う存分この特別な空間を満喫できました。朝の静寂の中で体験するクサールは、夜の賑やかさとはまた違った魅力があり、まさに贅沢な時間でした。
クサールの住民
ちなみに、このクサールに限った話ではありませんが、チュニジアはとにかく猫が多い国です。Ksar Hadadaも、猫の天下。顔が逆三角形型をした特徴的なフェイスの猫たちが、おっかなびっくりこちらに興味を示しながら、一定の距離を保って遊んでいる姿がとても愛らしかったです。
そんな猫を追いかけてみたり、手招きして呼んでみたり、猫との交流を楽しめるのは猫好きにとっても嬉しいポイントかもしれません。警戒心は強いものの、人懐っこい一面も見せてくれる彼らとの触れ合いも、旅の良い思い出になりました。
歴史とスター・ウォーズが共存する展示
クサール内には、ベルベルの伝統的なオリーブ油絞り器(臼のような道具)をはじめとした展示品が置かれています。クサールはもともと倉庫としての機能を持っており、ベルベルの人々はオリーブの栽培と加工を重要な生業としていました。これらの展示品は、そうした歴史の名残として大切に保存されているのです。
一方では、スター・ウォーズの撮影時の写真も飾られていました。ホテルのスタッフさんがとても親切で、「ここでリーアム・ニーソン(クワイ=ガン・ジン)がこういうポーズで撮影したらしい」「この角度からナタリー・ポートマン(パドメ・アミダラ)が歩いてきたらしい」など、写真をもとに撮影時の詳細を熱心に教えてくれました。映画のワンシーンと実際の場所を照らし合わせながら説明を聞いていると、まさに映画の世界に迷い込んだような気分になります。
伝統的なベルベル文化とモダンなポップカルチャーが自然に共存している光景は、なんとも不思議で魅力的でした。単なる宿泊施設を超えて、ベルベル文化の歴史を肌で感じられる「生きた博物館」のような側面も持っているのが、Ksar Hadadaの魅力の一つだと感じました。
次回は食事編をお楽しみに
スター・ウォーズの世界観と現実のベルベル文化が絶妙に融合したKsar Hadadaでの滞在体験、いかがでしたでしょうか。現代的な快適さと伝統的な魅力のバランスが絶妙で、一度体験すると忘れられない特別な時間でした。
次回は、クサール内でいただいた食事について詳しくレポートします。地元の食材を使った伝統料理から、砂漠の夜に味わう特別なディナータイムまで、味覚でも楽しめるクサール体験をお伝えしますので、お楽しみに!