前回の滞在編では、Ksar Hadadaの魅力的な建築や、朝の貸し切り体験についてお伝えしました。今回はいよいよ、多くの方が気になっているであろう「食事」についてじっくりとレポートしていきます。
ベルベル要塞「クサール」での食事って一体どんな感じなのか?地元のチュニジア人にも愛されるレストランとしての顔も持つKsar Hadadaで、実際にどんな料理を味わえるのか?夜の幻想的な雰囲気から朝の静寂まで、食事を通じて体験した特別な時間をお伝えします。
ハーフボードで味わう上品なチュニジア料理

Ksar Hadadaでの宿泊はハーフボード(朝夕食付き)プランでした。金額が安かった上、田舎のクサールでの食事ということで、あまり期待していなかったのですが、実際に体験してみると想像をはるかに上回る充実した内容でした。前回もお伝えしたように、ここは地元のチュニジア人たちにとっても特別なディナースポットとして親しまれているだけあって、料理のクオリティもしっかりしていました。
ただし、一点注意が必要なのは食事のラストオーダー時間です。遅くとも21時頃までにはチェックインを済ませておかないと、夕食を逃してしまう可能性があります。私たちはギリギリの到着でしたが、何とか間に合ってホッと一安心でした。
幻想的なディナー会場

夕食会場となるのは、クサールの住居部分を改装したダイニングエリアです。日が暮れると、クサール内に黄色やピンクの暖かなライトが灯され、まさに幻想的な雰囲気に包まれます。古い石造りの壁面に柔らかな光が当たる様子は、言葉では表現しきれないほど美しく、まるで映画の中の世界にいるような感覚でした。

地元の若いチュニジア人たちが、この幻想的な空間でTikTok撮影に興じている姿もちらほら見かけました。確かにこれだけフォトジェニックな場所なら、SNS映えすること間違いなしですね。
コース料理

この日のディナーはあらかじめ決まったコース料理でした。まず最初に出てきたのは、レンズ豆のスープ。どろりとした具だくさんの一品でしたが、味わいはあっさりめで、一日の疲れた体に染み渡るような優しい味でした。チュニジアの家庭的な温かさを感じられる、心安らぐスタートでした。

続いて登場したのが、ブリック(Brik)という南チュニジアの定番料理。薄いパイ生地で卵や具材を包んで揚げた、いわば揚げオムレツのような一品です。サクサクの食感と中からとろりと流れる卵が絶妙で、チュニジア料理の代表格と言われるのも納得の美味しさでした。

つけ合わせのパンも素晴らしく、南チュニジア産の新鮮なオリーブオイルや、チュニジアの定番調味料ハリッサ(辛味調味料)を絡めて食べると、食欲が止まらなくなります。地元の食材の力強い味わいを実感できました。

メインディッシュは「ベルベルチキン」(と彼らが呼んでいるローストチキン)。大きなもも肉がドンと提供される、なかなかワイルドな一品でした。しかし、見た目のワイルドさとは裏腹に、味わいは非常に洗練されており、スパイスの使い方も絶妙で心から癒されました。長時間煮込まれたであろう柔らかな肉質と、深みのある味付けは、どことなくベルベル料理の真髄を味わえる逸品でした。

食事中は、賑わう地元のチュニジア人ファミリーや友人グループに混ざりながらの独特な雰囲気でした。時折、クサール内に住み着いている猫たちの喧嘩が始まったりして、それもまた旅の面白いスパイスとなりました。現地の人々の生活に少しだけ触れられているような、特別な体験でした。

しかし、食事が終わると地元のチュニジア人たちは次々と帰っていきました。気が付くと、クサールの中には私たち一組だけが残されていました。車を停め直しに外に出てみると、夕方にはびっしりと並んでいた他の車がすべてなくなっていて、その変化にびっくりしました。まるで魔法にかかったかのように、賑やかだった空間が一瞬で静寂に包まれたのです。
朝食はスター・ウォーズエリアで

一転して朝は、昨夜の賑わいとは違う空気感でした。朝の散歩がてら様子を見に行ってみると、そこにいるのは猫たちだけ。朝日を浴びながらのそのそと活動するチュニジアンキャッツの愛おしい姿が、静かな朝の風景に彩りを添えていました。

宿泊客である私たちだけの朝食は、ディナーとは異なりスター・ウォーズ風味の装飾が施された区画で提供されました。朝食の内容はシンプルながらも、パンやチーズ、ゆで卵などを中心としたバランスの良い構成でした。チュニジアの美味しいパンに地元のチーズ、新鮮な卵など、素朴ながらも素材の良さが光る朝食で、クサールの静かな朝にぴったりの落ち着いた時間を過ごせました。

多層構造が魅力的なクサール空間

ちなみに、Ksar Hadadaは立体的な多層構造になっているのも魅力の一つです。2階部分はカフェとして利用できるのですが、完全に屋外になっているため、日中の利用は暑さで少し辛いかもしれません。ただし、写真映えは間違いなく抜群で、インスタグラムやTikTokには最高のロケーションです。

また、少し奥まった半個室のようなプライベート空間もあります。こちらにはちょっとした壁ペイントが施されており、スター・ウォーズなどのコンセプトを感じさせる装飾が楽しめます。恐らく地元の人々が記念日や特別なシーンで予約利用するのでしょう。細部にまでこだわった空間づくりが、この場所の特別感を一層高めています。


日中はクサール内でアイスクリームやジュースの販売も行っており、観光地としての機能もしっかりと備えています。私たちがチェックアウトした後は、恐らく日帰りツアーで訪問する観光客が増えるのだと思われます。
まとめ - 真のクサール体験を求めるなら宿泊がおすすめ
日帰り観光も楽しいとは思いますが、没入感あふれる体験や、貸し切り的な雰囲気の中で自由に散策したいなら、断然宿泊がおすすめです。夜の幻想的な雰囲気、朝の静寂に包まれたクサール、そして地元の人々との自然な交流など、宿泊でしか味わえない特別な体験がそこにはあります。
真のクサール体験を味わいたい方は、ぜひ一泊することを検討してみてください。きっと一生忘れられない、特別な思い出になるはずです。
次回記事では、これまでに書ききれなかったクサール内散策の様子と、クサールに持ってよかった意外なアイテムについて紹介させていただきます。こうご期待を!