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【後編】誰もいない秘境クサール「Ksar Mrabtine」探検記!完全手付かずのベルベル要塞を貸切体験レポート【南チュニジア】

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前回記事では、炎天下の30分登山を経てなんとかKsar Mrabtine入口までたどり着きました。本記事では、いよいよクサール内部の様子についてレポートします。

前回記事はこちらから

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いよいよクサール内へ潜入!

狭い石造りの入口をくぐり、薄暗い通路を抜けると、目の前に広がった光景に立ち尽くしてしまいました。中庭に出た瞬間、圧倒的なスケールの内部空間が姿を現したのです。朝に訪れたKsar Hadadaよりもはるかに、はるかに大きい。

4階建てのクサールがぐるっと王冠状に中庭を囲み、その存在感に圧倒されます。見上げると、青空を背景に、蜂の巣のように無数の部屋が連なっている様子が見えます。風が吹き抜け、古い石造りの建物が微かに軋む音が聞こえました。

そして何より素晴らしいのは、このクサールの中には誰もいない、人工的な装飾も一切ないということ。まさに今、私たちの完全貸切状態です!静寂に包まれた広大な空間を独占している、この特別感。鼓動が高鳴ります。

廃墟同然だが、それがいい

クサールの中を散策してみます。ホテルなどになっている観光地化されたクサールではないので、実質ほぼ廃墟状態です。基本的にドアなどはなく、どの部屋も入り放題。当然、中はすっからかんで、お宝などはありません。

クサールの部屋の中へ潜入

ここはかつての寝室?

内部は迷路のように入り組んでいる

しかし、この手付かずの状態こそが、本物のクサールの姿なのです。何百年も前のベルベル人たちが暮らしていた空間を、そのまま体験できる貴重な機会でした。

上層階へのチャレンジ

せっかくなので、上層階部分へ登ってみようと考えました。屋上まで上がろうと、細い階段に足をかけます。

しかし、一段、二段と登るごとに、足がすくんでいくのを感じました。

階段は予想以上に急で、足を置くスペースも狭い。幅は平均して30cmもない。しかも、何百年も前に造られたのであろうこの石段は、明らかに老朽化しています。一部は欠けており、石と石の隙間からは下の階が見えます。きっとメンテナンスなど誰もしていない。今、この瞬間に崩れてもおかしくない。

下を見下ろすと、地面までの距離がはっきりと見えました。そして、その地面は非常に堅い石造り。仮にここから落ちたら、大怪我は免れないでしょう。いや、最悪の場合は...

さらに、ここは人里離れた場所。もし怪我をしても、誰も助けに来てくれない。携帯電話の電波も怪しい。そのまま野垂れ死にしてしまうかもしれない。

そう思うと、足が震えて止まりません。足元の石段が急に不安定に感じられ、めまいがしてきました。無理だ、これ以上は危険すぎる。

上から見る景色は、下から見る以上にスリルが満天でした

結局、3階部分までたどり着いてギブアップしました。冒険心と安全、その境界線をはっきりと感じた瞬間でした。

それでも満喫した、静寂の中の探索体験

しかし、せっかくなので3階の部屋内部も散策してみることにしました。足を踏み入れると、床には何世紀にもわたって積もった砂埃。窓から差し込む光が、舞い上がる細かい粒子を照らし出します。

外側にもちょっとした窓、というか通気口があります。そこから吹き込む風が、クサール内部を心地よく循環していました。「うまく空気循環が作られているんだな」と感心します。エアコンもない時代に、これほど効果的な自然換気システムを設計したベルベル人の知恵に脱帽です。

通気口から自撮り棒を伸ばし、外からの様子を写真に収めてみました

部屋から部屋へと移動すると、それぞれ微妙に構造が違うことに気づきます。ある部屋は天井が高く、別の部屋は狭く暗い。用途によって設計を変えていたのでしょう。壁に手を当てると、ひんやりとした石の感触。この壁は何人の手によって積み上げられたのだろう。

本当にどうやってこんな規模のクサールを、機械もない時代に建てたのでしょうか。一つ一つの石を人力で運び、正確に積み上げていく。気の遠くなるような作業だったに違いありません。

安全に気を使いつつ、私たちだけの貸切クサールを思う存分楽しみました。写真を撮ったり、建物の中に入ってみたり、階段をよじ登ってみたり。時には静かに座り込んで、涼しい風に吹かれながらチルアウトしたり。

他の観光客を気にせず写真を撮れるのは、秘境クサールの特権

誰にも邪魔されない、静寂に包まれた時間。現代の喧騒から完全に切り離された、まるで時が止まったような空間。自分の息づかいと、風が石造りの建物を通り抜ける音だけが聞こえる贅沢な時間でした。

撮影機材のおすすめ:やはりInsta360

こうした広大な空間を記録するなら、やはりInsta360と長尺ロッドの組み合わせが最強です。360度カメラなら、クサールの圧倒的なスケール感を余すことなく記録できます。

特に、3mの自撮り棒を使えば、まるでドローンで撮影したかのような空撮風の映像も撮れます(なお、外国人によるドローン持ち込みはほぼ不可能)。クサール内部の複雑な構造や、中庭を囲む4階建ての要塞の全貌を一枚の写真に収めることができました。

クサール訪問の際には、ぜひともおすすめしたいアイテムです。

まとめ:本物のクサール体験を求めるなら

観光地化されたクサールも素晴らしいですが、こうした完全に手付かずのクサールを訪れる体験は、また格別なものがあります。誰もいない広大な要塞を独り占めし、何百年も前のベルベル人の生活に思いを馳せる。これこそが、真のクサール体験ではないでしょうか。

ただし、安全面には十分な配慮が必要です。特に:

レンタカーは必須:公共交通機関でのアクセスは不可能

帽子・日傘・水分は必携:日陰のない岩石山を30分歩く

無理な探索は禁物:古い建造物は崩れる危険性あり

携帯電話の電波も要確認:人里離れた場所での緊急時対応

冒険心と安全意識のバランスを取りながら、ぜひKsar Mrabtineのような秘境クサールも訪れてみてください。きっと忘れられない特別な体験になるはずです。