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【後編】ルーク・スカイウォーカーの家「Sidi Driss」とはどんな場所なのか - チュニジア南部マトマタの洞窟住居訪問レポート

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前・中編では、Sidi Drissのレストランでクスクス・ベルベルを食べるところまで書いた。ここまでは、スターウォーズ装飾が過剰で、正直なところ「テーマパーク化しすぎでは?」という印象を受けたのが本音だ。

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だが、ここで諦めるのはまだ早い。実は、Sidi Drissにはスターウォーズ装飾まみれのエリアとは別に、より本来のトログロダイト住居の姿を残すエリアが存在している。そして、屋上に登れば、この独特な建築構造を上から眺めることもできる。

後編では、観光客があまり足を踏み入れない奥のエリアと、屋上からの眺めをお伝えしよう。

スターウォーズはもうお腹いっぱい

昼食を終えて、再びトログロダイトの内部散策を開始することにした。

食事をしたレストランエリアから出ると、例の中庭が現れる。相変わらずスターウォーズの装飾で埋め尽くされていた。正直なところ、もうスターウォーズはお腹いっぱいだった。

確かにここは映画の撮影地として有名になり、それによって観光地として成功している。だが、あまりにも装飾過多で、本来のトログロダイト住居としての姿が見えにくくなっているのが個人的にはもったいなく感じた。

二つのエリア

しかしよく観察してみると、Sidi Drissはざっくり大きく二つのエリアに分かれていることがわかった。

一つは、今まで歩いてきたスターウォーズ装飾まみれのエリア。観光客向けに完全にテーマパーク化されており、レストランやお土産売り場、そして撮影スポットが集中している。この中庭を囲む上層部分は、ホテルの客室として使われているようだ。

実際、欧米からのツアーには、ここに一泊するプランも多く含まれているらしい。スターウォーズファンにとっては、映画の世界に泊まれるという夢のような体験なのだろう。

もう一つは、奥の方にある装飾が薄いエリア。こちらは本来のトログロダイト住居の姿をより色濃く残している。

ありのままの洞窟住居へ

スターウォーズエリアを抜けて、奥のエリアへ向かうことにした。

ただし、その入口がわかりにくい。何度か通路を行ったり来たりして、ようやく気づいた。女性用トイレの前を通過するような形で、細い通路が奥へと続いているのだ。

男性だけで来ていたら、ちょっと抵抗があるかもしれない配置だ。だが、ここを通らなければ本来の姿を残すエリアには到達できない。

通路を抜けると、雰囲気が一変した。

装飾のない、素朴な中庭が現れた。壁は白く塗られているものの、スターウォーズの小道具は一切ない。周囲を見渡すと、ベルベル人の伝統的な暮らしぶりが垣間見える空間が広がっていた。

中庭を囲むように、小部屋のようなくぼみがいくつも掘られている。ドアはついておらず、開口部がそのまま入口になっている。そして、この構造は多層構造になっていることがわかる。下層、中層、上層と、複数のレベルに部屋が配置されている。

これこそが、本来のトログロダイト住居の姿だ。スターウォーズの作り物ではなく、実際にベルベル人が暮らしていた空間の名残がここにはある。

部屋へ登ってみる

くぼみの一つから縄が垂れ下がっているのが見えた。

どうやら、これを使って上層の部屋へ登れということらしい。ちょっと心もとない縄だが、せっかくなので登ってみることにした。

縄をしっかり握って、壁に足をかけながらよじ登る。思ったより簡単に登れた。

やはり洞窟構造だからか、下層よりもさらに涼しく感じる。空気が静かで、ひんやりとしている。

このエリアには観光客もほとんど足を踏み入れないようで、静かにゆったりと空間を楽しむことができた。手で壁を触ってみると、土の質感がそのまま伝わってくる。何世紀も前から、この壁はここに存在していたのだ。

屋上へ

トログロダイトの内部を十分に堪能したので、次は外に出て上から眺めてみることにした。


Sidi Drissは掘り下げ式の構造なので、地上レベルは建物の「屋上」になる。

上に登ると、そこは緩やかな丘のようになっていた。白く塗られた部分と、むき出しの土の部分が混在している。

そして、足元を見て驚いた。

地面にぽっかりと大きな穴が開いている。それも一つや二つではなく、複数の穴がぼこぼこと並んでいるのだ。

これが、下から見上げていた吹き抜け部分なのだと気づく。穴の縁まで近づいて覗き込むと、さっきまで自分たちがいた中庭が下に見えた。深さは10メートル弱といったところだろうか。観光客の姿も確認できる。

少し前までは、これらの穴の周囲に何の柵もなかったらしい。今は一部の穴には簡易的な落下防止策が施されているが、多くの穴は今でも何の保護もなく口を開けている。

縁に立つと落ちそうで怖い。風が吹くたびに、思わず身体を引く。

上から見た構造

屋上を歩き回ってみると、Sidi Drissの全体構造がよく理解できた。

複数の円形の穴が、不規則に並んでいる。それぞれの穴が一つの中庭を形成しており、その周囲に小部屋が多層構造で掘られている。そして、それらの中庭が地下通路で繋がっている。

上から見ると、本当に蟻の巣のような構造だ。

地上からは建物の全貌が見えにくいが、上から眺めることで初めて、この複雑な立体構造が把握できる。何世紀も前から、この地に暮らす人々が少しずつ掘り広げていった結果が、この光景なのだろう。

野良トログロダイト

Sidi Drissの周辺を歩いていると、他にもトログロダイトの穴を発見した。

これらは今や人が住んでいない、廃墟となったトログロダイトだ。観光地化されることもなく、ただそこに存在している。言わば「野良トログロダイト」である。

駐車場へ戻る道中、いくつかの野良トログロダイトを見つけた。せっかくなので、中を覗いてみることにした。

穴の縁まで近づくと、崩れかけた壁と、風化した小部屋が見える。かつてはここでも、ベルベル人の家族が生活していたのだろう。今は誰もいないが、生活の痕跡が残っている。

床には陶器の破片が転がっており、水を貯めていた壺の名残だろうか。

観光地化されたSidi Drissよりも、ある意味はないこちらの方がよりリアルな生活感を感じられる。装飾もなく、ありのままの姿がそこにある。

ただし、これらの野良トログロダイトは構造的に不安定で、崩落の危険もある。あまり深く入り込まない方が賢明だ。写真を撮って、そっと離れることにした。

まとめ:

この場所は、間違いなくスターウォーズによって世界的に有名になり、多くの観光客を集めている。それによって地域経済も潤い、マトマタという場所自体が知られるようになった。映画の力は偉大だ。

だが、個人的な感想を言えば、ここは宿泊するよりも立ち寄る程度がちょうど良いと感じた。

スターウォーズ聖地としての側面が強く、観光地化が進みすぎている。ホテルとして宿泊することもできるが、それよりも数時間かけて見学し、食事をして、次の目的地へ向かうという使い方の方が適していると思う。

ちなみに、ベルベル建築やトログロダイト文化に興味があるなら、他にも選択肢がある。

例えば、アナキンの家として撮影されたKsar Hadadaは、スターウォーズの要素を持ちながらも、クサールという別の建築様式を学べる場所だ。また、手つかずのベルベル住居が残るKsar Mrabtineでは、より純粋な形でベルベル文化に触れることができる。

これらの場所についても、別の記事で詳しく紹介しているので、ぜひそちらも読んでいただきたい。チュニジア南部には、Sidi Drissの他にも魅力的な伝統建築が数多く残っている。

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それでも、Sidi Drissは一度は訪れる価値のある場所だと自信を持って結論づけたい。スターウォーズ気分を味わうにはもちろんのこと、奥のエリアまで足を運べば、スターウォーズの作り物ではない、実際にベルベル人が暮らしていた空間を体験できる。ぜひ一度訪れて、この地域の豊かな建築文化を体験してほしい。

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