前編では、厦門からコロンス島へのアクセス方法をご紹介しました。実は今回の訪問では、朝一番のフェリーに乗って島に渡ることができたおかげで、観光客の少ない貴重な時間帯に島の魅力を存分に味わうことができました。中編となる今回は、静かな朝の港町から日光岩登頂までの様子をお伝えしたいと思います。
前編はこちらから
朝もやの港町との出会い
厦门鼓浪屿码头に到着したのは朝7時すぎ。コロンス島には実は二つの港があるのですが、この港が主に観光客向けの玄関口となっています。港から一歩足を踏み入れると、石畳が続く通りには、まだ開店前のお土産屋や飲食店が軒を連ねています。
朝日が斜めから差し込み、建物の影が長く伸びる様子は、どこか絵画のような雰囲気。人気観光地とは思えないほどの静けさが、独特の魅力を作り出していました。観光ガイドブックでよく目にする賑やかな通りの写真とは一味違う、朝ならではの特別な表情を見ることができました。
異国情緒漂う街並み
とりあえず、観光客の少ない朝のうちに綺麗な町を眺めながら散歩をすることに。島のほぼ中央に位置する日光岩からは、コロンス島を一望できるとのこと。そこを目指して歩き始めると、すぐにこの島の独特な魅力に引き込まれていきました。両側に立ち並ぶ建物は、オレンジ色のレンガと白い壁が基調となっており、一見するとヨーロッパの古い街角を歩いているような錯覚すら覚えます。
しかし、よく見ると軒先には赤い提灯が吊るされ、通りの角には中国式の石獅子が鎮座しています。また、建物の装飾にも中国らしい意匠が随所に見られ、東西の文化が見事に溶け合った独特の景観を作り出しているのです。
歩を進めるごとに、思わずカメラのシャッターふりまわしたくなるような場面に出会います。アーチ型の窓や装飾的な手すり、色とりどりのタイル、歴史を感じさせる重厚な扉など、一つ一つのディテールが物語を語りかけてきます。これほどまでに魅力的な観光地でありながら、日本での知名度が低いことが不思議に感じられるほどでした。
異文化の交差点を歩く
島内は確かに坂道が多いのですが、全体的にコンパクトなサイズのため、散策の負担はそれほど感じません。むしろ、坂道があることで街並みの立体的な美しさが際立っているように思えます。
特に印象的だったのは、西洋建築の教会「福音堂」と伝統的な仏教寺院「日光厳寺」が、ほんの数分歩くだけの距離に共存している光景です。異なる文化の象徴がこれほど自然に混在している様子は、まさにこの島の歴史と個性を象徴しているようでした。
道中では思いがけない出会いも。石畳の上をひらひらと舞う、黄緑色のアクセントが入った珍しいピンク色の蝶。この蝶の姿は、まるでアニメの世界から飛び出してきたかのように美しく、自然と建築が織りなす島の魅力をより一層引き立てていました。
日光岩:島の象徴的スポットへ
日光岩への到着は、少し手間取りました。というのも、最初に到着した東側の入り口は礼拝目的の人々専用となっており、観光客は西門からアプローチする必要があったのです。ぐるっと大回りをすることになりましたが、その道中で思いがけない街並みとの出会いがあり、結果的には良い散策となりました。
チケット購入時には、前回の記事でも触れた外国人観光客特有の困難に直面。オンラインでの購入ができず、有人カウンターでの購入を余儀なくされました。しかし、入手した紙のチケットは、デジタル全盛の現代において珍しい存在となっており、それ自体が良い記念品となりそうです。
寺院の敷地内に一歩足を踏み入れた瞬間、伝統的な建造物と背後に聳える厦門の高層ビル群という、時代を超えた絶妙なコントラストに目を奪われました。
階段を登っていく途中には数カ所の撮影スポットが設けられており、開けた広場からは色とりどりの建物群を見渡すことができます。
急峻な階段道はだんだんと細くなり、最後は一方通行となって頂上を目指します。振り返るたびに視界が開け、コバルトブルーの海と白い砂浜が織りなす絶景が広がっていきます。厦門の喧騒からわずか15分で、こんな美しいオーシャンビューに出会えるとは思いもよりませんでした。
頂上の展望エリアには早朝にもかかわらず10人ほどの観光客が集まっていましたが、この人数なら快適に景色を楽しむことができます。
ここからの眺めは、まさに圧巻。コロンス島特有のオレンジ色の建物群が作り出す独特の街並み、青く輝く海峡、そして対岸に林立する厦門の近代的なスカイライン。これほど多様な要素が一つの視界に収まる風景は、世界でもそう多くないのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか
次回の後編では、日光岩を下りてからのビーチ散策、そして活気づき始めた商店街での様子をお伝えします。朝の静けさから徐々に観光地としての賑わいを増していく島の表情の変化も、また違った魅力がありました。お楽しみに!