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生で見た黄河は想像の100倍黄色かった!黄河のほとりで泥まみれ・蘭州中川橋訪問レポート

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蘭州に行っても、蘭州ラーメン以外に何もない。こんな声を耳にすることは少なくありません。確かに、西安のような派手な観光名所があるわけでもなく、成都のようなパンダがいるわけでもない。北京や上海のような大都市の華やかさもなければ、桂林のような絶景があるわけでもない。中国旅行の定番ルートから外れた、地味な存在として扱われがちな街です。

しかし、そんな評価を聞くたびに、私は声を大にして言いたい。

蘭州には黄河がある。それだけで行く価値がある。

教科書で習った「黄河」。中国文明の母なる川。その名前は誰もが知っているはずです。でも、実際に黄河を見たことがある日本人は、どれだけいるでしょうか?今回は、実際に蘭州を訪れ、本物の黄河に触れて感動した体験をお伝えします。正直に言いますと、黄河は想像の100倍黄色かったです。

蘭州と黄河の関係

 

ケーブルカーの中から撮影。窓が黄色かったので、ちょっと全体的に黄色みが増した写真になってしまった。

蘭州は、中国の母なる川・黄河が市内を貫通する数少ない大都市の一つです。黄河は中国第二の長さを誇る大河で、その全長約5,464kmの旅の中で、蘭州という街を抱きしめるように流れています。

黄河青海省の青蔵高原に源を発し、九つの省を通過して渤海に注ぎます。その長い旅の途中で、黄河は黄土高原を通過し、大量の土砂を含んで黄色く濁った独特の姿になります。蘭州はちょうど、黄河がその「黄色い姿」を獲得した直後に位置する街なのです。

歴史的にも、黄河は蘭州の発展に欠かせない存在でした。シルクロードの要衝として栄えたこの街は、黄河の水運によって物資を運び、文化を育んできました。古代から現代に至るまで、蘭州と黄河は切っても切れない関係にあります。蘭州を訪れるということは、中国文明の源流である黄河に出会うということ。そして、その黄河が最も「黄河らしい」姿を見せる場所で出会えるということなのです。

多くの観光客は、蘭州を単なる通過点として扱います。敦煌や張掖へ向かう途中の乗り換え地点。一泊だけして翌日には次の目的地へ。しかし、それはあまりにももったいない。蘭州には、じっくりと時間をかけて向き合うべき存在があります。それが黄河です。

中山橋を目指して:蘭州の街を自転車で駆け抜ける

今回、蘭州駅からHelloBike(シェア自転車)に乗って黄河を目指しました。中国の主要都市にはたいてい設置されているシェア自転車サービスですが、蘭州でもアプリで簡単にレンタルできます。天気の良い日には、これが本当におすすめです。風を感じながら街を走ると、蘭州の空気を肌で感じられます。

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蘭州駅を出発して、まずは市街地方面へ。この日は快晴で、乾燥した空気が心地よい。甘粛省の気候は大陸性で、湿度が低く、晴れた日の空は驚くほど青い。その青空の下、自転車を漕ぎながら黄河を目指します。

途中、目抜き通りである張掖路歩行街を通過。ここは蘭州の繁華街で、両側には商店やレストランが立ち並び、多くの人々で賑わっています。近代的なビルと、古い建物が混在する景観は、蘭州という街の歴史と現在を同時に感じさせてくれます。

さらに進むと、グルメストリートとして有名な大衆巷に到着。ここは、蘭州のローカルフードを楽しむには絶好の場所です。蘭州ラーメン店をはじめとした様々なグルメが軒を連ねており、昼時ともなれば地元の人々で溢れかえります。

そして面白かったのが、道端でキリギリスを売っている店。これには驚きました。小さな籠に一匹ずつ入れられたキリギリスたちが、止めどなく「ジージージー」と鳴いているんです。日本の「チョン・ギース」という間隔を置いた鳴き方とは全く違う、連続的で高音の鳴き声。

何十匹ものキリギリスが一斉に鳴く様子は、まるで地獄を彷彿(笑)。中国では、キリギリスの鳴き声を楽しむ文化があり、ペットとして飼う人も多いのだろうか。籠に入れられたキリギリスたちは、それぞれ鋭い音程で鳴いており、不思議なハーモニーを奏でています。

いよいよ黄河

御託は置いておいて、大衆巷を通り抜けると、視界が開けてきます。そして、いよいよ黄河、そして中山橋が視界に飛び込んできます。

ついに黄河に到着。自転車を停めて、川岸へと歩を進めます。

なんと!思った100倍黄色い!

いや、本当に。比喩ではなく、本当に黄色いんです。「黄河」という名前だから多少土が混ざった程度の色だろう、と思っていました。せいぜい薄茶色くらいかな、と。

しかし、目の前に広がっていたのは、まるで砂場で泥遊びをして作った池のような、濃厚な黄土色の濁流でした。いや、「濁流」という表現すら生ぬるい。これはもう、液体というより「流れる土」と言った方が適切かもしれません。

川幅は意外と広く、対岸までの距離は百メートルはあるでしょうか。流れこそ穏やかに見えますが、土砂を大量に含んだ水は重々しく、確実に大地を削りながら流れていることを実感させます。

色は本当に、絵の具で描いたような黄土色。いや、黄土色というよりも、カフェオレに近いかもしれません。とにかく、「黄色い」という形容詞では足りないほど、圧倒的に黄色いのです。

川のほとりでは、地元の子供たちが水遊びに興じていました。土が混ざって見た目は汚いですが、衛生的にはそこまで問題ないのでしょう。確かに、悪臭は全然感じません。親たちも特に気にしている様子はなく、むしろ微笑ましそうに子供たちを見守っています。

膝まで黄河に浸かりに行く子、川の水を汲んでミニチュアの月牙泉を作ろうとする子。砂で城を作る子、泥団子を作る子。中国の子供たちの創造性が溢れる光景です。彼らにとって、この黄河は日常の遊び場。教科書に載っている偉大な「黄河」ではなく、身近な川なのでしょうか。

黄河に触れる:泥と水の感触

せっかくなので、私も黄河に近づいて、土や水に触れてみることにしました。見ているだけではもったいない。せっかく蘭州まで来たのだから、五感で黄河を感じたい。

川岸に降りていくと、足元の土がすっかり泥になっています。一歩踏み出すたびに、ぐにゅっと足が沈んでいく感覚。スニーカーが泥に半分埋まります。気を付けないと足を取られそうです。バランスを崩して転んだら、全身泥だらけになってしまいそう。慎重に、一歩一歩、水際へと近づいていきます。

手を伸ばして水に触れてみると、ひんやりとした感触。思ったよりも冷たい。そして、指の間からは細かい土の粒子が感じられます。水というより、液体状の土。そんな表現が正しいかもしれません。

少し離れたところでは、地元の老人が釣りをしています。こんな濁った水で魚が釣れるのか?と思いましたが、よく見ると確かに釣れているようです。黄河には、この環境に適応した魚が生息しているのでしょう。人間の目には濁って見えても、魚たちにとっては問題ないのかもしれません。

周りを見渡すと、他の観光客や地元の人々も、思い思いに黄河との触れ合いを楽しんでいます。写真を撮る人、水に足を浸す人、遠くを眺める人。カップルで手をつないで川岸を歩く人、家族で記念撮影をする人。それぞれが、この大河に何かを感じ取っているようでした。

中山橋を渡って対岸へ:蘭州酸奶と黄河の風景

泥遊びを十分に楽しんだら、中山橋を渡って対岸へ向かいます。その前に、橋のたもとで売られていた蘭州酸奶(蘭州ヨーグルト)を購入。小さなカップに入った白いヨーグルトは、黄河の黄色と好対照をなしています。

中山橋の周辺は遊歩道が整備されており、屋台が立ち並んでいます。多くの店で名物の蘭州酸奶を売っているので、買って飲まない手はありません。値段も手頃で、5元(約100円)ほど。味はしっかり濃厚で、甘みが効いています。日本のヨーグルトドリンクよりも、もっと濃厚で、もっと甘い。まるでデザートを飲んでいるような感覚です。

辛い蘭州ラーメンを食べる前に飲むのもおすすめです。胃の粘膜を守ってくれますからね。実際、地元の人々も、牛肉麺を食べる前後に酸奶を飲む習慣があるようです。理にかなっています。

中山橋は無料で渡ることができます。この橋は1909年に完成した歴史ある橋で、当時はドイツの技術で建設されました。100年以上の歴史を持つ橋ですが、今でも現役で使われています。橋の上からは、黄河の全景が見渡せます。

橋の上に立つと、改めて黄河雄大さを実感。上流から下流へと、とめどなく流れていく黄色い水。その水面に、午後の陽光が反射してきらきらと輝いています。黄色い水なのに、光を反射すると金色に見える。不思議な美しさです。

橋の上からは、黄河でクルージングや筏を楽しむ人々の姿が眺められます。デッキには多くの観光客が立ち、写真を撮ったり、景色を楽しんだりしています。

川岸には、クルーズ用のカウンターや、ボートをレンタルできる場所もあります。小さな手漕ぎボートから、モーターボートまで。黄河の上を自分で漕いで進むというのも、面白い体験かもしれません。ただし、この濁った水に落ちたくはありませんが(笑)。

そこからさらに進んでいくと、白塔山へと続く道があります。白塔山は、蘭州のもう一つの観光スポット。山の上には白い塔が建っており、そこから蘭州市街と黄河を一望できます。

白塔山には、ケーブルカーで黄河上空を通りながらアクセスすることもできます。黄河の上を空中散歩できるなんて、考えただけでワクワクしますよね。個人的には蘭州を訪れた際にはぜひ行くべき場所です。こちらはまた別記事で詳しく紹介しますね。

おまけ:蘭州に来たら蘭州ラーメンも忘れずに

黄河を満喫したら、お腹も空いてきます。蘭州に来たからには、蘭州ラーメンを食べずには帰れません。いや、むしろ蘭州ラーメンを食べるために蘭州に来たと言っても過言ではないでしょう。

今回、地元でも人気の「磨沟沿老字号牛肉面」で本場の牛肉麺を食べてきました。30人以上が並ぶ行列、市場のような活気、そして想像を超える美味しさ。詳しいレポートは別記事で書いていますので、そちらも合わせて読んでみてください。

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まとめ:黄河を見るために行く価値がある蘭州

「蘭州には何もない」なんて言わせません。蘭州には黄河があります。そして、その黄河こそが、蘭州最大の魅力とも言えます。

教科書で学んだ「黄河」という言葉。中国文明の揺籃。四大文明の一つを育んだ大河。それが実際にどんな色で、どんな流れで、どんな匂いで、どんな感触なのか。それを五感で体験できるのが蘭州です。

写真や映像で見るのと、実際に目の前で見るのとでは、全く違います。黄河の「黄色さ」は、画面越しでは伝わりません。その重々しい存在感、流れる水の音、川岸の空気、周りの人々の声。すべてが合わさって初めて、「黄河体験」が完成します。

次に中国を訪れる機会があれば、ぜひ蘭州に立ち寄ってみてください。そして、本物の黄河を、その目で、その手で、確かめてみてください。中山橋を渡り、川岸に降りて、水に触れてみてください。

きっと、想像を遥かに超える黄色さに、驚くはずです。そして、その黄色さこそが、数千年の歴史を運んできた証なのだと、実感するはずです。

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