中国の街を歩いていると、道端に整然と、あるいは無造作に並べられたカラフルな自転車が目に入りますよね。これらは中国で急速に普及したシェアサイクル(レンタル自転車)サービスの一部です。今回は中国の主要なシェアサイクルサービスの一つである「哈啰(HelloRide、ハローライド)」について、実際の利用体験をもとに詳しく解説します。
外国人観光客にとって、初めての利用はハードルが高く感じるかもしれませんが、この記事を参考にすれば、スムーズに哈啰自転車を利用することができるはずです。それでは、中国の街を自転車で颯爽と駆け抜ける体験をはじめましょう!
「哈啰単車(HelloBike)」とは
「哈啰単車(HelloBike)」は、中国の大手シェアサイクルサービスの一つです。中国の交通革命の一環として誕生したこのサービスは、2016年に上海で創業され、現在では中国全土の数百都市で利用可能になっています。
哈啰の特徴は、その鮮やかな青と白を基調としたデザインの自転車です。街中で見かけると一目でそれと分かるでしょう。また、電動自転車(E-Bike)サービスも提供していますが、本記事では通常の自転車サービスに焦点を当てて解説します。
哈啰は中国国内でofo(オフォ)やMobike(モバイク)などの競合他社と激しい競争を繰り広げていますが、特に二級・三級都市(地方中核都市)での展開に力を入れており、幅広い地域でサービスを提供しています。
対応エリア
哈啰は中国全土の300以上の都市でサービスを展開しており、大都市から地方都市まで幅広くカバーしています。主な対応都市には以下のような場所があります:
一級都市:北京、上海、広州、深セン
特に西安では、市内の主要観光スポットである大雁塔、城壁や鐘楼周辺など、観光客が多く訪れる場所にも数多くの自転車が配置されています。成都のパンダ基地周辺や、杭州の西湖周辺でも簡単に見つけることができます。
地方都市では公共交通機関が発達していない地域もありますが、そういった場所でも哈啰自転車が利用できることが多く、観光客にとって非常に便利なサービスとなっています。
哈啰単車の特徴
#とにかく安くてフットワークが軽い
哈啰自転車の最大の魅力は、その圧倒的な手軽さと低コストです。例えば西安では、15分の利用でわずか1.5元(約30円)という驚くほどの安さです。他の都市でも同様に安価で、北京や上海などの大都市でも1回の利用は数元程度となります。
また、「回数券」や「月額パス」などのお得なプランも提供されており、頻繁に利用する場合はさらにコストを抑えることができます。例えば、7回分の利用券が6元(約120円)で購入できるプランもあり、1回あたり0.86元(約17円)という破格の値段で利用することが可能です。
決まったポートがなく、自由度が高い
哈啰自転車の大きな特徴の一つが、固定のステーション(ポート)を持たないドックレス型のシステムを採用していることです。これは、自転車をほぼどこでも借りることができ、返却可能エリアであればほぼどこでも返却できることを意味します(一部、駐輪禁止エリアを除く)。
街のいたるところに自転車が停められているので、必要なときにすぐに見つけることができるのが嬉しいポイント。また、目的地に到着したら、最寄りの返却可能スポットに停めるだけで返却が完了します。この自由度の高さは、特に短距離の移動や「ラストワンマイル」と呼ばれる最寄り駅から最終目的地までの移動に最適です。
利用方法
1. Alipayのダウンロードと設定
哈啰自転車を利用するためには、まず支付宝(Alipay、アリペイ)アプリをダウンロードする必要があります。Alipayは中国の電子決済サービスで、シェアサイクルだけでなく、中国滞在中の様々な支払いに利用できる便利なアプリです。
外国人でも簡単に登録でき、中国本土以外で発行されたクレジットカードも利用可能です。入金は少額から可能で、100元(約2,000円程度)あれば十分でしょう。
2. 哈啰アプリをAlipay内にインストール
哈啰自転車を利用するには、専用アプリ「哈啰出行」をダウンロードする方法と、Alipayアプリ内の「哈啰出行」ミニプログラムを利用する方法の2つがあります。外国人の場合、Alipayアプリ内での利用が比較的簡単です。
Alipayアプリを開いたら「More」または「その他」というセクションをタップし、アプリ検索で「HelloBike」または「哈啰」を選択してインストールしましょう。
3. 自転車の解錠
自転車を借りるには、自転車についているQRコードをスキャンするか、自転車番号を手動で入力します。
自転車の解錠手順:
1. 街中で青と白のカラーリングの哈啰自転車を見つける
2. アプリのスキャン機能を使って、自転車のハンドルまたはシート部分にあるQRコードをスキャン
3. スキャンが成功すると、自転車のロックが自動的に解除される音がします
4. ロックが解除されたらすぐに利用開始できます
スキャンがうまくいかない場合は、自転車についている識別番号をアプリに手動で入力することもできます。
4. 自転車の利用
解錠が完了したら、自由に自転車を利用できます。中国では基本的に右側通行なので日本とは逆ですが、それ以外はほぼ同じ感覚で走ることができます。自転車専用レーンが整備されている場所も多く、比較的安全に走行できます。
5. 自転車の返却
目的地に到着したら、適切な場所に自転車を停めて返却手続きを行います。
返却手順:
1. 自転車を停める場所を選ぶ(設定可能エリアは、アプリで確認するか、もしくは既に自転車が沢山停まっている場所に並べて停めると良い)
2: アプリ上でロックと返却操作を行う(アプリ画面で「返却」または「完了」ボタンをタップ)
3. 返却が完了すると、アプリ上で料金が表示されるので、Alipayを使用して決済を行う
返却場所には一定の制限があり、特にアプリ上の地図では「駐輪禁止エリア」が赤色で表示されています。これらの場所に停めると追加料金が発生することがあるので注意が必要です。
利用上の注意点
中国の交通状況は日本とは異なる面もあるため、いくつか注意点があります:
右側通行: 中国は基本的に右側通行のため、日本と逆です。
自転車専用レーン: 専用レーンがある場合は、そこを通行しましょう
交通量の多い道: バスや車の交通量が多い道では特に注意が必要です
夜間走行: 目立つ服装をするなど追加の安全対策を考慮しましょう
自転車の状態: 自転車の調子が悪い場合は、すぐに返却して別の自転車を利用しましょう
返却操作: ロックをかけるだけでは返却完了ではなく、必ずアプリ上で返却操作・支払いを行いましょう
実際の利用体験
私が西安を訪れた際、市内中心部を移動するのに哈啰自転車を利用しました。地下鉄駅間は思ったよりも距離があるため、一駅分移動するのに徒歩で15分ほどかかる距離でしたが、哈啰自転車を使えば5分ほどで到着できました。また、移動途中に見所やビャンビャン麺屋さんに立ち寄ったりでき、非常にフットワーク軽く観光を楽しむことができました。
朝の通勤時間帯は地下鉄が混雑していましたが、自転車なら人混みを避けて快適に移動できました。特に印象的だったのは、地元の人々と同じ交通手段を利用することで、観光客として浮いた感じがせず、より深く中国の日常を体験できたことです。また、自転車で走りながら見る街の風景は、バスや地下鉄の窓から見る風景とはまた違った魅力がありました。
まとめ
哈啰(HelloRide)は、中国旅行や滞在時の移動手段として非常に便利なサービスです。安価で、自由度が高く、環境にも優しい移動手段として、ぜひ一度試してみる価値があります。
慣れない間の利用はやや手間取るかもしれませんが、一度使ってしまえばもう手放せません。中国の街を現地の人と同じように自転車で駆け抜ける体験は、旅の思い出としても特別なものになるはずです。