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3回にわたって敦煌砂漠キャンプの魅力をお伝えしてきたが、今回は、実際に利用してみて分かった設備の詳細と、これから砂漠キャンプを検討している人に向けた注意点をまとめたい。
ここで紹介する内容は、今回私が利用した「敦煌云飞月特色沙漠露营帐篷特色民宿」に限らず、おそらく他の敦煌砂漠キャンプ場もおおむね同様の作りだろう。

キャンプ場の構成
キャンプ場は大きく2つのエリアに分かれている。私が泊まった砂漠の中のテントエリアと、それとは別にレセプションエリアだ。

レセプションエリアには様々な機能が集中している。レセプションはもちろん、食事用のテーブル、音楽イベントステージ、給水器、トイレ、そしてお土産ショップやコスプレメイクショップなどが揃っている。

現地の若者には、コスプレサービスなどが人気らしい。砂漠で民族衣装を着て写真撮影というのは、確かに映えそうだ。ただし私が訪問した日には、タイミングの問題なのかこれらのショップは営業していなかった。もしかすると事前予約制なのかもしれない。
充実した設備とサービス

嬉しいことにレンタルモバイルバッテリーも完備されている。スマートフォンの充電は中国では死活問題なので、これは助かる。もっとも、各テントにも電源はあるのだが、予備があるのは安心だ。

その他、バギーライドツアーやラクダツアー、サンドボーディングなど、様々なアクティビティの提供を行っている。こういったサービスに興味がある場合は、事前に問い合わせることをおすすめする。
食事については基本的には提供はない。キャンプ場によっては夜の火鍋が標準で含まれているケースもあるようだが、ここは朝ごはんも別途料金15元だった。

せっかくなので利用してみたところ、雑穀のおかゆやマントウ、油条などを用意してくれた。この個々のキャンプ場で朝ごはんを作っているわけではなさそうで、おそらく遠くまで買いに行ってくれたのだろう。ちょっと申し訳ない気持ちになった。
シャワー設備

一番重要なのがシャワー設備。ここにもちゃんとシャワーがある。砂漠なのにどうやって水を引っ張ってきているのだろうと思ったが、中国の水道インフラは想像以上に発達しているようだ。温水もばっちり出る。男女別で安心して利用できる。

私は深夜に一人で利用したが、その時の体験がなかなか興味深かった。アメニティについては必要最低限で、私が利用した際には、小さなシャンプーボトルと、濡らしたらちょっとした布切れになるコンパクトペーパーがぽつんと洗面所に置いてあった。
私のために用意してくれていたのか、それとも先人が単に忘れたのかよくわからないが、それを拝借して全身を洗い、さらに歯磨き粉代わりに使わせてもらった。ちょうどこの日私は歯磨き粉をなくしたところだったので背に腹は代えられない。
結局体を拭くのには、その日着ていた服を使った。もっとも、ここには洗濯機と洗剤も用意されており、また砂漠なので一晩テントの外に干しておけばチェックアウトする頃にはすっかり乾く。ただし準備する余裕があるならば、セームタオルを持参しておくと便利だろう。
ある程度のタフネスがある人なら耐えられるかもしれないが、そうでないなら必要なものは自分で用意してきた方が良いだろう。砂漠キャンプは、多少の不便さを楽しむ心構えが必要だ。

砂漠キャンプを利用する上での注意点
ところで、実際に利用してみて分かった重要な注意点についても述べておきたい。これから砂漠キャンプを検討している人には、ぜひ参考にしてもらいたい。
セキュリティ対策は必須
テントなので、当然鍵などはない。基本的には治安は良いが、やはり荷物などの面で不安はあるだろう。
私は幸いにもリュック用にナンバーロックを常備していたので、これをテント用の鍵として使うことができた。さらに、自分のテントの目印にもなった。前回記事でレポートした夜中に見つからずさまよったとき、最終的に自分のテントを探せたのはこれのおかげだ。ナンバーロックは絶対に持って行った方が良いだろう。

帰りの交通手段は要注意
もう一点、非常に重要な注意点がある。ここは市街地から8kmほど離れている。市街地などから来るときは良いが、逆にここから市街地を目指す場合、辺鄙な田舎というだけあって全然DiDiが捕まらない。
曜日・時間帯にもよるのかもしれないが、アプリで何度試しても一向に車がヒットしないので、数キロ歩く羽目になった。私の場合、幸いにも地元の若者が通りかかってヒッチハイクさせてくれたが、時間がタイトな場合などは要注意だ。チェックアウト時は余裕を持ったスケジュールを組むべきだろう。

総括:100元で得られる価値は計り知れない
4回にわたってレポートしてきた敦煌砂漠キャンプ体験。設備面での不便さや注意すべき点はいくつかあるものの、100元という低予算で得られる体験の価値は計り知れない(もっとも、今回は無料テントアップグレードを提供いただいたわけだが)。
シルクロードの原風景、満天の星空、砂漠の三日月、朝日に照らされる砂丘...これらすべてが、都市部では絶対に味わえない貴重な体験だった。
多少の不便さは、むしろ砂漠体験のリアルさを演出してくれる要素とも言える。完璧に整備されたホテルでは決して得られない、原始的で純粋な体験がそこにはある。
敦煌を訪れる機会があれば、ぜひ少し足を延ばして砂漠キャンプを検討してみてほしい。事前の準備をしっかりと行い、注意点を理解した上で挑戦すれば、きっと一生忘れられない思い出になるはずだ。
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