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【超危険?】チュニス旧市街で怪しいガイドについて行ったら一瞬で●万円無くなった話(前編)【ぼったくり注意報】

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チュニス旧市街

「絶対についていっちゃダメ!」

チュニスの旧市街(メディナ)について調べると、必ずと言っていいほど目にする警告文句。街中で声をかけてくる怪しいガイドの話は、どの旅行ブログを見ても必ず触れられている定番トピックだ。

私も旅行前にそういった情報には目を通していた。でも正直なところ、「まあ、そんなの上手く断ればいいでしょ」という程度にしか思っていなかった。これまでモロッコやエジプトなど、いわゆる「観光客からお金を巻き上げようとする輩が多い」と言われる国々も訪れてきた自負があった。

そんな慢心が、この日の出来事を引き起こすことになるとは。

突然の出会い

その日、私は世界遺産にも登録されているチュニスの旧市街を観光していた。迷路のような路地を歩いていると、突然20代後半くらいの青年が話しかけてきた。

「Hey! Where are you from?」

冷静に考えればこの時点で怪しいガイドだと気づいていたはずだろう。しかし旅中の高揚もあいまって、気さくに話しかけてくれた現地青年との交流に、心を弾ませながら応じてしまう。

「日本人か!実は僕、今日仕事が休みなんだ。暇だから、よかったら旧市街の隠れスポットを案内してあげるよ」

急遽ガイドをしてくれることになったモウインさん

今考えると、明らかに怪しい。でも彼の笑顔が妙に魅力的で、そして何より「隠れスポット」という言葉に興味をそそられた。もしかしたら、観光ガイドブックには載っていないような面白い場所に連れて行ってくれるかもしれない。

結局、私たちは興味本位で彼について行くことにした。

意外と詳しい青年

青年は確かに旧市街のことをよく知っていた。地元の人しか知らないようなカフェに連れて行ってくれたり、旧市街を一望できる穴場のルーフトップを案内してくれたり。観光客向けのガイドブックには載っていないような場所ばかりだった。

ただ、少し気になることもあった。彼の案内があまりにもスムーズすぎるのだ。行く先々での説明も流暢で、まるで何度も同じコースを案内しているかのよう。本当に「今日たまたま休みの青年」なのだろうか?

カーペット屋での出来事

そんな疑問が頭をよぎった矢先、彼は「今日まで特別なカーペット展示会をやっているから、ちょっと見に行かない?」と提案してきた。

展示会場は、旧市街の少し奥まった場所にあった。店内に入ると、ぶっきらぼうな表情のおばあさん、おじさんが座っていて、「この方々がカーペット職人だよ」と紹介された。

そして、お店の奥から出てきたおじさんが、次々とカーペットを広げ始めた。

「これとこれ、どっちの柄が好き?」
「このデザインはどう?」
「この色合いは?」

おじさんがアラビア語で説明・質問をし、それを青年が英語に翻訳して話しかけてくれる。質問攻めにあいながら、私は正直に好みを答えていった。気が付くと、「これが欲しい?」という購入を前提とした質問に変わっていた。

「いや、買うつもりはないんです。それに、手荷物制限があるから日本まで持って帰れないし...」

すると青年が「大丈夫、カーペットは丸めれば小さくなるし、日本に送ることもできるよ」と即座に返してきた。

その言葉に続いて、お爺さんが立ち上がり、目の前でカーペットを丸め始めた。驚いたことに、200×100センチほどもある大きなラクダの毛のカーペットが、30リットルのリュックに入るくらいのサイズにまで畳み込まれていく。

その職人技とも言える技術に、思わず感動してしまった私は、つい値段を尋ねてしまう。

「このラクダのカーペットは10万円だよ」

流石に高すぎる。けど、既に20枚近くのカーペットを比較して勝ち残った一枚でもある。柄や色味など、間違いなく私の好みぴったりの一品で、正直結構欲しくなっていた。そう思って値段交渉をしたところ、7万円まで値引きしてくれた。そして私は、その場の雰囲気に飲まれ、購入を決めてしまったのだ。

謎のチップ要求

カーペットの購入が決まった後は、おばあさんが満面の笑みでミントティーを持ってきてくれた。さっきまで苦い表情をしていたおばあさんがまるで別人である。カーペットを持ち運び安いようにまとめてくれるおじさんを見ながら、ミントティーをちびちび飲む。高級車を買うとその場でシャンパンが振る舞われるなどという話を聞いたことがあるが、それのチュニジア版がこれだろうか。

そして青年が「お爺さんにチップを渡してあげて」と言ってきた。戸惑いながらも2000円ほど支払う。

さらに「おばあさんにも」と言われ、またもや2000円。これは職人に対する敬意を表するチュニジア特有のチップ文化のだろうか、などと考えつつ、何の疑問もなくチップを払ってしまった。

しかし、後で知ったことだが、本来こんなチップは全く必要なかったらしい。

真実が明らかに

後日談となるが、その後別のカーペット屋で話を聞いてみると、衝撃の事実が発覚。

「あの店で買ったの?いつも海外の客を呼び込んでるよ」
「今日まで限定なんて言ってたの?それは嘘だね」
「7万円?ちょっと高いんじゃない?」

どうやら、まんまと騙されたようだった。

とは言え、確かに私が買ったカーペットにはチュニジア政府公認の証明印が付いており、本物のラクダの手織りカーペットであることは間違いない。日本から個人で注文することを考えれば、決して法外な値段とは言えないかもしれない。

それに、数十枚のカーペットの中から自分の目で選んだ一枚。ちょうどリビングにカーペットが欲しいと思っていたタイミングでもあった。

今となっては、良い買い物だったと自分に言い聞かせている。

 

(後編に続く)

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