前回記事に続き、チュニジアの怪しいガイドについていった結果、思わぬ高額出費をしてしまった体験についてレポートをしていく。
前回記事はこちらから
香水屋での新たな冒険
カーペット購入の興奮が冷めやらぬ中、青年は「次は香水屋に行こう」と提案してきた。
普通の香水店ではない。香水の原液を専門に扱う店だった。店内には200種類以上の原液が並んでいる。青年の説明によると、ルイ・ヴィトンやエルメスといった高級ブランドも、ここから原料を仕入れているのだという。
「そんな名だたるブランドが、果たしてスークの中のこんな名もなきお店に原料を買いに来るものだろうか」
そう思いながらも、話には一理あった。チュニジアは旧フランス領。フランスの高級ブランドが、品質の良い香料を求めてチュニジアに買い付けに来るというのは、あながち荒唐無稽な話でもない。
香りの世界へ没入
店員と青年の説明を聞きながら、様々な香りを試していく。比較していくうちに、それぞれの香りの繊細な違いが分かってくる。確かに、普通の香水店では体験できないような深い香りの世界があった。
とはいえ、先ほどカーペット屋で大きな出費をしたばかり。そんなにたくさんは買えない。30mlボトル1本2000円程度。少し高いかな、と思いながら、2本だけ購入しようと考えていた。そんな私の考えを見透かしてか、
「家族の分は買わないの?」
ここで店員が切り出してきた言葉に、私は動揺した。確かに、日本の家族や友人へのお土産として香水は良さそうだ。でも、こんな高額な...
「特別に、6本分の値段で10本持っていっていいよ」
考えるのも疲れた私は、結局10本を選ぶことに。
- ルイ・ヴィトンに使用されている(と言われた)エッセンス
- ヒューゴ・ボスに使用されている(と言われた)エッセンス
- グッチに使用されている(と言われた)エッセンス
- そして店員が「ブンガブンガ」と表現した、なんとも官能的な香り...
そんな要領で、面白さとユニークさを基準に10本購入。後味の悪さと「もしかしたら掘り出し物かも」という期待が入り混じった、複雑な気持ちでの購入となった。
意外な形での終幕
昼食の時間が近づいてきたので、青年とは別れることにした。彼はWhatsAppの連絡先を教えてくれて、「分からないことがあったら、いつでも連絡して」と言ってくれた。
最後に、ガイド料としてチップを渡そうとしたが、「気持ちだけで十分だよ、ありがとう」と断られた。
この瞬間、私は少し混乱した。
カーペット屋や香水屋からは、きっと彼にバックマージンが入るはずだ。だからこそ、彼は私たちをスーク中の商店へと案内し、買い物をさせた。そんなビジネスライクなガイドなのに、なぜ私からのチップは受け取らなかったのか。
もしかしたら、単なるビジネスではなく、本当に親切心もあったのだろうか。
後日談と気づき
後で分かったことだが、スーク(市場)内には、同じような香水の原液を半額以下で売っている店がたくさんあった。明らかに損をしていた。
でも、不思議と後悔はしていない。
店員や青年と会話を楽しみながら、じっくりと香りを選んでいく。その体験自体が、一つの思い出として残っている。確かにお金は余計に使ってしまったけれど、それは決して無駄な出費ではなかったように思える。
旅の教訓
海外旅行でボッタクリに遭うのは、ある意味宿命かもしれない。
でも、そういった経験を過度に警戒することは、別の意味で損失なのではないだろうか。新しい出会いや体験の機会を、自ら閉ざしてしまうことになるから。
確かに、市場価格より高いお金を払わされるのは悔しい。でも、その経験は強く記憶に残り、いつまでも話のネタになる。「ぼったくり=悪」の数式は、必ずしも成り立たない。
私の場合、カーペットは今でもリビングに敷いてある。香水の原液は、家族や友人にプレゼントして喜ばれた(もちろん、エルメスの香水の原料になってるかもらしいよ~と伝えたところ、まさか、と笑い話になったのは言うまでもない)。値段以上の思い出と、物語が手に入ったと言えるかもしれない。
時には、旅先での「ぼったくり体験」も、旅の醍醐味の一つとして受け入れてみるのも悪くない。
もっとも、あまりにも高額な要求や、明らかな詐欺には十分注意が必要だ。程よい警戒心と冒険心のバランスが、充実した旅の決め手になることだろう。
中東・アラブ旅行情報オープンチャットの新設のお知らせ
この度、より有益でコスパ抜群の旅行情報発信や、旅行に関してお困りの方々からの個別質疑応答を行えるよう、LINEオープンチャットを新設しました!中東やアラブ地域への旅行を計画中の方や、ご興味・ご質問のある方はぜひご参加くださいませ! line.me
\この記事が気に入ったら是非クリックしてください!/