前回記事では、エジプトでのレンタカー体験の中で遭遇した検問の実態についてお伝えしました。20回以上の検問を通過し、実際に必要な書類や対応方法を詳しく解説させていただきました。
今回は、さらに踏み込んで「エジプトの運転は世界トップクラスで危険」という噂について、実体験に基づく検証結果をシェアします。シナイ半島南部のリゾート地を中心に約600キロを走行した体験から見えてきた、エジプト運転事情の真実をお伝えします。
実は誤解かも?「エジプト運転は世界最悪」の真実
一般的なイメージと現実のギャップ
「エジプトの自動車運転は世界トップクラスで危険」「ルールがあってないようなもの」──こうした認識は確かに部分的には正しいと言えるでしょう。特にカイロなどの大都市部では、車線を無視した無茶な運転や、常時響き続けるクラクションの音に圧倒されます。
しかし、今回の600キロドライブを通じて感じたのは、大都市部以外では基本的に運転環境は平和かも?ということです。むしろ道路が広々としており、交通量も落ち着いているため、非常に快適にドライブを楽しめました。
シナイ半島南部での実際の運転体験
今回の旅は、紅海のリゾート地シャルムエルシェイクを中心に、北は内陸のセントキャサリン(Saint Catherine)まで、南はラスモハメド国立公園(Ras Mohamed)まで及ぶルートでした。この区間はリゾート開発地区が続く上高速道路整備も進んでおり、エジプトの中でも特にインフラ整備が進んでいる地域として知られています。
予想以上に良好だった道路状況
実際に走ってみると、道路は非常によく整備されていました。アスファルトは滑らかで、車線も明確に引かれており、道幅も十分に確保されています。部分的に穴が開いている箇所はありましたが、日本の地方道と比較しても遜色ないレベルです。
特に印象的だったのは、道路の広さです。片側3~4車線の区間も多く、対向車との距離に余裕があるため、現地での運転に慣れない観光客でも安心してドライブできる環境が整っています。
マナーも思ったより良好
現地ドライバーのマナーについても、予想していたほど悪くありませんでした。無理な割り込みや煽り運転に遭遇することはそこまで多くなく、また検問スタッフが外国ナンバーの車に対して優しく応対してくれる場面も多々ありました。
時折スピードバンプがあったり、警察常駐の検問所が多数設置されているため、極端にスピードを出すような車両も少なく、全体的に落ち着いた交通環境でした。
注意すべきポイント
概ね快適なドライブ旅となりましたが、その中でもいくつか注意すべきポイントが見えてきました。
夜間運転の危険性
最も重要なのが夜間の運転です。砂漠地帯では街灯が一切ない道路が珍しくなく、ヘッドライトの光だけが頼りとなります。視界がかなり限定的になるため、夜間の運転は可能な限り避けることをお勧めします。
慣れてくれば対応可能ですが、初回の訪問者には相当なストレスとなるでしょう。
路面状況への注意
道路の種類によっては、砂が堆積してダートのような状態になることもあります。外国人観光客は基本的に四輪駆動車をレンタルできないため、二輪駆動車でこうした区間を走行する際は、スタックや横転に十分注意が必要です。
右側通行と交差点
エジプトは右側通行である上、信号機がほとんど設置されていません。左折(日本でいう右折)を行う場合は、ラウンドアバウトを利用するか、適切なUターン地点を見つける必要があります。日本の運転に慣れた方には、最初は戸惑うかもしれません。
スピードバンプへの対応
道路上に設置されているスピードバンプは、日本のものより高く設計されています。しっかりと速度を落とさないと、車体が大きく揺れて車両に損傷を与える可能性があります。
現地車両のヘッドライト習慣
現地の車は、バッテリーの消耗を抑えるためか、昼夜を問わずもヘッドライトを消すことが多いです。接近時にライトを消されると、かなり驚きます(むしろ彼らはどうやら煽りの意図で車を接近させながらヘッドライトを消しているようです)。距離感の把握が困難になるため、十分な注意が必要です。
地域差が激しいエジプトの道路事情
今回のルートは、リゾート開発が進むシナイ半島南部が中心でした。観光客誘致を重視するこの地域では、道路インフラへの投資も積極的に行われています。そのため、今回の良好な運転体験は、エジプト全体を代表するものではない可能性があります。
地方のへき地では、舗装状態が悪かったり、道路標識が不十分だったりするケースも多いと予想されます。
カイロは別次元の危険さ
特に注意が必要なのがカイロの道路事情です。首都カイロでの運転は、まさに「ルールがあってないようなもの」という表現がぴったりです。車線を無視した縦横無尽な運転が日常的に行われ、皆が衝突ギリギリの距離で車線変更を繰り返します。
さらに驚いたのは、走行中に車から花火を打ち上げるような無謀な行為を行う「ヤンキー車」の存在です。また、カイロのドライバーは独特のクラクションサインでコミュニケーションを取り合っており、初心者には理解不能なシステムとなっています。
カイロでのレンタカー運転は風説通り、上級者でも避けるべきレベルの危険性があります。
まとめ:地域を選べば快適なドライブも可能
エジプトでのレンタカー体験をまとめると、「地域選択が成功の鍵」ということができます。今回体験したシナイ半島南部のようなリゾート地域では、予想を上回る快適なドライブを楽しむことができました。一方で、カイロなどの大都市部や地方のへき地では、その限りではありません。初回のエジプトレンタカー体験では、比較的安全で道路状況の良い地域を選ぶことが重要です。
適切な地域選択と準備を行えば、エジプトでのレンタカー旅行は、忘れられない素晴らしい体験となることでしょう。ただし、夜間運転の回避、右側通行への慣れ、そして地域ごとの特性を理解することが、安全で楽しい旅の前提条件となります。
今回、私は空港ピックアップ・ドロップオフが可能で、かつ書類サポートも無料で対応してくれるAVIS/Budgetレンタカーを利用しました。シャルムエリアをドライブする予定がある場合は、こちらのショップを利用することをお勧めします。
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