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【2025年夏】エジプト・シナイ半島への渡航実体験:テロの危険性と現地の様子について実地レポート

シナイ南部を旅し、安全性を検証して来ました

シナイ半島—アフリカとアジアを結ぶ地理的要衝であり、モーセ十戒を受け取ったとされる神秘的な地。私は長年エジプトの歴史や文化に魅了され、特にこのシナイ半島を訪れる機会を待ち望んでいました。しかし、渡航を計画する中で、日本外務省が渡航警告を発表している状況を踏まえ、本当に行くべきか悩みました。

今回は実際に紆余曲折の検討を経て最終的に現地を訪れた経験から、シナイ半島の安全状況と観光の現実についてお伝えします。

シナイ半島を取り巻く安全情報について

外務省海外安全ホームページより

旅の計画を始めるにあたり、まず日本の外務省の海外安全ホームページで情報を確認しました。そこでは北シナイ県全域と南シナイ県の大部分(アカバ湾に面したダハブからシャルム・エル・シェイクまでの沿岸地域を除く)に対して「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」とされていました。具体的に今回の旅行で訪問を考えていたシャルム・エル・シェイクとダハブはレベル1(十分注意)ですが、聖カタリナ修道院シナイ山のある地域はレベル3(渡航中止勧告)に分類されていました。

しかし、念のため他国の渡航情報も調べてみると、かなり状況が異なることに気づきました。イギリス外務省(FCDO)の情報では、シナイ半島南部の広範囲がグリーン(渡航可能)とされており、聖カタリナ修道院エリアも含まれていました。具体的に、FCDO情報では「聖カタリナ-ヌウェイバ道路沿いの沿岸地域」は問題なく、これは聖カタリナ修道院を含む地域とその道中が安全であることを示していました。

https://www.gov.uk/foreign-travel-advice/egypt

さらにニュージーランド、カナダ、オーストラリアなど他の国々の渡航情報も確認すると、イギリスとほぼ同様の水準で、日本よりも寛容な見解を示していることがわかりました。多くの国々が北シナイは避けるべきとしながらも、南シナイの観光地、特に聖カタリナ周辺については「適切な注意を払えば渡航可能」という姿勢でした。

この食い違いに困惑し、より詳しく調査を進めました。過去数年の現地の事件報告を調べたものの、南シナイでの観光客に対する直接的なテロ事件は報告されておらず、むしろ「政府の警備が厳重で安全」という声が多く、特に聖カタリナ修道院への訪問は多くのツアー観光客によって安全に行われている様子でした。

総合的に判断

何故国によって安全情報が異なるのか。詳しく調査を進めると、日本外務省の掲載している危険情報やテロ情報が若干古く、最新の現地状況を完全に反映していない可能性があることに気づきました。特にシナイ南部については、ここ数年でエジプト政府による安全対策が大幅に強化されていることが勘案されていないようでした。

かつてシナイ半島北部では「ウィラーヤト・シナイ(シナイ州)」というイスラム国(IS)系のテロ組織の活動がありましたが、近年はエジプト軍の掃討作戦によって活動が抑制されつつあります。また、これらのテロ活動は主に北シナイに限定されており、近年南シナイの観光地への影響は見られません。

訪問に先立ち、現地の安全情報や道路交通情報など、真摯にアドバイスをくれた聖カタリーナ修道院

並行して、旅行フォーラム、現地観光施設への問い合わせなど、様々な情報源を通じて最新情報の収集に努めました。特に、聖カタリナ修道院に対して、施設周辺や道中の安全情報を確認しました。これらの情報を総合的に判断し、シャルム・エル・シェイク、ダハブ、そして聖カタリナエリアへの訪問については、一般観光客が巻き込まれるような危険リスクは極めて低いと判断して、旅を決行することにしました。

ちなみに、当初はカイロから聖カタリナへ車でアクセスし、そのままシャルム・エル・シェイクへ抜けるようなドライブ旅を考えていました。しかし、この経路では各国の情報においても危険リスクが高いとされる北シナイ地域を通過しなければならないため、断念することに。代わりに、シャルム・エル・シェイクに飛行機で入り、そこからレンタカーで南シナイ地域を周遊するプランに変更しました。

シナイ山を訪問するにあたり、最終的にシャルムから北上するルートを選択しました

実際の様子

今回の旅の拠点、シャルムのContinental Beach Resort

今回私たちはシャルムを拠点とし、日本の外務省がレベル3としている聖カタリナ地域(Saint Catherine)へ向けて、レンタカーで自分たちで移動することにしました。先述の安全情報確認に加え、外国人観光客が単独で移動をしても道路交通状況的に問題ないとの確証を得た上での決断です。

実際には、シャルム・エル・シェイクからダハブへ、そして日本でレベル3とされる聖カタリナ地域へと移動する道中には、驚くほど高い密度で警察の検問が敷かれていました。最初は少し緊張しましたが、これらはすべて安全管理のためのものだとわかりました。

エジプト当局は全国的に、重要施設や観光地、道路の検問所などに武装した警備担当者を配置し、特に観光地では追加の安全対策を講じています。 この警備態勢は治安維持とともに、政府が観光産業を守るために本気で取り組んでいることの表れでもあります。

警察官たちはどの検問でもフレンドリーに対応してくれ、パスポートチェックはスムーズで、外国人に対する差別的な扱いは一切感じられませんでした。むしろ「エジプトを楽しんでいますか?」と笑顔で声をかけてくれることもあり、歓迎されている印象でした。

個人的な感想としては、シナイ南部は人口密度が低く、そもそも人が少ないため危険を感じることのない平和なエリアであるのに加え、警察が多いため治安維持がしっかりとされていると感じました。砂漠の壮大な風景と夕日、聖カタリナ修道院の厳かな雰囲気など、観光スポットとしての魅力は抜群です。ドライブの道中の様子については別記事で詳しく書いているので、そちらも参考にしてください。

道中・シナイ山登山道の様子については、別トピックで紹介しているので、合わせてご覧ください。

www.kosupatravel.com

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聖カタリナ修道院周辺では、多くの外国人観光客やツアーグループを見かけました。修道院自体も厳重に警備されており、入場時のセキュリティチェックはありますが、観光客に対しては丁寧な対応でした。

最終的に、特に危険を感じることなく聖カタリーナへ入域でき、無事御来光とともに登山を完遂することができました。シナイ山ついての最新情報・訪問レポートは、また別記事で紹介させていただきます。

まとめ

今回は、海外機関の情報も広く調べ、現地の最新情報を収集し、総合的に十分に安全であると判断したための渡航です。なお個人的には、基本的に危険とされている地域、特に外務省がレベル4、レベル3として定める地域に無鉄砲に足を運ぶことは推奨しません。

シナイ半島の治安状況は2011年のエジプト革命以降不安定になったことは事実であり、特に北部地域は今でも注意が必要です。しかし南部、特に観光地周辺では警備が強化され、観光客の安全確保に最大限の努力がなされています。

一般的、危険地域とされる場所に足を運ぶ際には徹底リサーチをし、少しでもリスクがある場合は自重することをお勧めします。渡航情報は各国によって異なることもあるため、複数の情報源から最新状況を確認することが重要です。また、現地の人々との交流や旅行者コミュニティの情報も非常に価値があります。

シナイ半島南部は、厳重な警備のもとで比較的安全に観光できる美しい地域です。紅海の透明な海、神秘的な砂漠の風景、そして豊かな歴史文化は、慎重な計画と準備のもとで訪れる価値があります。本体記事が、シナイ半島への旅行を検討している方々の参考になれば幸いです。