ロンドンといえば物価の高さで知られる都市。特に観光客向けのアフタヌーンティーは一人あたり60〜80ポンド(約11,000〜15,000円)が当たり前の世界です。でも、バッキンガム宮殿のすぐそばで、本格的なアフタヌーンティーを驚きの価格で楽しめる隠れた名店を発見しました!その名も「The English Rose Café」。地元の人にも愛される、家族経営の温かみのあるティーショップです。
ロイヤルな立地の庶民派カフェ
「The English Rose Café」はロワー・グロヴナー・プレイス4番地、バッキンガム宮殿からわずか数分の場所に位置しています。ヴィクトリア駅からも徒歩圏内で、観光の合間に立ち寄るのにぴったりの立地です。
店内はイギリスらしいヴィンテージ調のインテリアで統一されており、花柄の食器やレースのテーブルクロスなど、細部までこだわりが感じられます。全体的に小さめの店内は家庭的でアットホームな雰囲気。高級ホテルのような豪華さはないものの、イギリスの一般家庭でお茶を楽しむような温かみがあります。気持ちの良い風の吹くテラス席もあり。
このカフェの特筆すべき点は、TripAdvisorのトラベラーズ・チョイス賞を7年間(2015年から2020年、そして2022年)も受賞し、名誉の殿堂入りを果たしていること。地元イギリス人だけでなく、世界中の観光客からも高い評価を受けています。これだけの評価を受けながらも、庶民的な価格設定を維持している点が素晴らしいですね。
営業時間は朝8時30分から午後閉店まで。朝8時30分から12時までは朝食メニュー、12時から16時30分(ラストオーダー15時30分)までアフタヌーンティーを提供しています。
コスパ抜群のアフタヌーンティー
The English Roseのアフタヌーンティーは一人35ポンド(約6,500円)とロンドン中心部としては破格の安さ!プロセッコを追加しても42.7ポンド(約8,000円)と、高級ホテルの半額以下で本格的なアフタヌーンティー体験ができるのです。
メニューには「レギュラー」「ベジタリアン」「ペスカタリアン(魚介類は食べる菜食主義者)」の3種類があり、食の好みや制限に合わせて選べるのも嬉しいポイント。ただし、グルテンフリーやヴィーガン対応は原則していないので注意が必要です。
基本的な構成は伝統的なアフタヌーンティーのスタイルを踏襲しており、フィンガーサンドイッチ各種、スコーン(クロテッドクリームとジャム付き)、各種スイーツ、そして紅茶(またはコーヒー)が含まれています。具体的な内容は日によって若干変わるそうです。
実食レポート
今回私が注文したアフタヌーンティーセットは、まさに見た目も味も大満足の内容でした!
3段のティースタンドには、伝統的なアフタヌーンティーの要素がきれいに配置されています。最上段には焼きたてのスコーンが2つ。外はサクッと、中はふんわりとした理想的な焼き上がりでした。添えられたクロテッドクリームは濃厚でコクがあり、スコーンに塗ると口の中でとろけます。甘すぎないジャムとの相性も抜群で、イギリスの伝統的なクリームティーの美味しさを堪能できました。
中段には色とりどりのケーキやスイーツが並んでいます。鮮やかなラズベリーがたっぷり入ったフルーツケーキは、甘酸っぱさと甘みのバランスが絶妙。リッチな味わいのチョコレートブラウニーも、ほんのりビターで味わい深い。そして個人的に大好物、キャロットケーキもあり、絶妙なスパイスの香りとしっとりとした食感が抜群で、上にのせられたクリームチーズフロスティングとの相性が抜群でした。どれも手作りならではの素朴な味わいながら、甘さ控えめで上品な仕上がりでした。
最下段には、パンの耳を丁寧に取り除いたフィンガーサンドイッチが整然と並べられています。キュウリやエッグサラダ、チキンブレストなど、具材はシンプルながらも新鮮で風味豊か。カレー風味のサンドイッチも混ざっており、すこし意外性を楽しめました。けどある意味カレーってイギリス名物みたいなものですよね(イギリスのインドカレーはめちゃくちゃ美味しいことで有名な)。
ドリンクは「クランベリー、ハイビスカス&ローズヒップティー」「レモングラス、シトラス&ジンジャー」をチョイス。とくにクランベリーの方は、鮮やかな赤色で、さわやかな酸味と華やかな香りが甘いスイーツとの相性抜群でした!小さなミルクポットも添えられているので、伝統的な紅茶を選んだ場合は、イギリス流にミルクティーを楽しむこともできます。
全体のボリュームは2人でシェアしても十分な量で、ランチ代わりにもなる満足感。小腹が空いた程度では食べきれないほどの充実した内容です。サンドイッチからスイーツまで、どれも手が込んでおり、この価格とは思えない充実ぶりに感動しました。なお、お茶は二人で1種選ぶか、2種選ぶか、尋ねられました。せっかくなので異なる2種を飲み比べてみるのがおすすめです。
コスパ重視なら絶対おすすめ、でも知っておきたい注意点
The English Roseは価格、味、量のすべてにおいて素晴らしいバランスを持つカフェですが、いくつか知っておくべきポイントがあります。
まず、予約不可なので、混雑時には並ぶ覚悟が必要です。バッキンガム宮殿の衛兵交代式がある日や週末は特に混み合います。13時〜15時は観光客でにぎわうピーク時間帯なので、避けた方が無難でしょう。私が訪れた週末の12時頃は比較的空いていましたが、それでも入店して数十分後には既に数組が順番待ちをしていました。
さらに、席数が限られているため、ゆっくり長居するのは混雑時には難しいことも。特に大人数での利用は、テーブルの確保が難しい場合があります。
また、雰囲気は庶民的で気取らない家族経営店。リッツやクラリッジスのような豪華なホテルラウンジの雰囲気を期待すると少し物足りないかもしれません。写真映えを重視する方には、もう少しゴージャスな設定のアフタヌーンティーがおすすめです。
豪華な雰囲気や格式高いサービスを重視する方には、ザ・リッツやセーボイなどの老舗高級ホテルでのアフタヌーンティーがおすすめです。もちろん、価格はその分高くなりますが。
余談ですが、ロンドン郊外のお城や歴史的な邸宅で提供されるアフタヌーンティーは、意外にリーズナブルなことも。例えば、以前紹介したソーンベリー城では、40〜45ポンド程度でより歴史的な雰囲気の中でのアフタヌーンティーを体験できます。
ロンドン中心部からは少し離れますが、日帰り観光と組み合わせれば、素敵な思い出になるでしょう。他にも、電車で1〜1.5時間程度の移動で、よりオーセンティックなイギリスの雰囲気を味わえるスポットがたくさんあります。
まとめ:ロンドンの穴場ティーショップ
バッキンガム宮殿観光の後に立ち寄れる距離で、本格的なイギリス文化を体験でき、しかもお財布に優しい—The English Rose Caféは、ロンドン観光中の日本人旅行者にとって嬉しい発見です。
予約不要で気軽に入れる反面、混雑時には待ち時間があることを念頭に、時間に余裕を持った計画を立てましょう。小さな店内ながらも、丁寧に作られたスコーンやサンドイッチ、スイーツの数々は、本場イギリスのアフタヌーンティー文化を存分に味わえる内容です。
イギリスの伝統を味わいながらもコストパフォーマンスを重視する方、地元の人々に愛される本物の味を求める方には、間違いなくおすすめしたいロンドンの隠れた宝石です。次回ロンドンを訪れる際は、ぜひ足を運んでみてください!