先日、念願だったイラン旅行でペルセポリスを訪れてきました。今回は実際に歩いて回った順路に沿って、この世界遺産の魅力をレポートしていきます。文章が長くなるため、前編では道中から到着・第一印象まで、後編では遺跡見学と山崖登りの様子をお伝えする予定です。
ペルセポリスとは

ペルセポリス(takht-e jamshid、تخت جمشید)は「ペルシャ人の都市」という意味のギリシャ語で、ペルシャ語では「パルサ」とも呼ばれていました。紀元前518年頃にダレイオス1世によって建設が開始されたこの遺跡は、アケメネス朝ペルシャ帝国の都として約200年間君臨し続けた、まさに古代オリエント文明の集大成とも言える場所です。
当時のペルシャ帝国は、現在のイランを中心にインドから地中海、エジプトから中央アジアまでを支配する史上最大級の帝国でした。ペルセポリスは、この広大な帝国の威信をかけて建設された儀式都市で、春分の日に行われる新年祭「ノウルーズ」の際には、帝国各地から使節団が貢物を携えて参集しました。この壮大な朝貢の儀式こそが、ペルセポリスの存在意義だったと言われています。

建設には当時の帝国全土から職人が集められ、メソポタミア、エジプト、ギリシャ、中央アジアの各文化要素が融合した独特の芸術様式を生み出しました。しかし、紀元前330年にアレクサンドロス大王によって征服され、火災によって大部分が破壊されてしまいます。それでも残された遺構は、古代ペルシャ帝国の栄光を今に伝える貴重な証拠として、1979年にユネスコ世界遺産に登録されています。
シーラーズからペルセポリスへ:交通手段の選択
そんなペルセポリスへの訪問ですが、当初はレンタカーの利用を検討していました。正直シーラーズからペルセポリスまでは割と田舎の一本道なので、不慣れな海外ドライバーでも運転できなくはありません。ただ、レンタカーは高額な現金デポジットが必要なため短期滞在の海外利用者には利用しづらく、結果的に往復チャーターで10ドルという破格の料金だったこともあり、チャーターを手配する方が現実的だと判断しました。

この日はシーラーズを出る時には少し小雨が降っていました。時間はフレキシブルに組んでくれたのですが、朝は少しシーラーズ市内を観光したかったので朝10時スタートで手配してもらいました。宿泊先のShiraz Traditional Hotelから運転手さんの車に乗り込みます。
車はかなり古いタイプのイラン国産車セダンでした。イランでは、年季の入った国内製造者がまだまだ現役で活躍。こうした車は当然故障リスクもあり、不慣れな旅人だと万が一の際に路頭に迷うことになるでしょう。やはりチャーターにして正解だったと思います。

1時間ほどの道中で印象的だったのが、運転手さんが振舞ってくれた手作りのアラビックコーヒーとケーキ。どちらも奥さんの手作りだそうで、特にコーヒーが忘れられません。彼はもともとイラク出身らしく、イランの紅茶文化とは異なりコーヒーが好きなのだとか。濃い目に淹れたコーヒーにシュガーキャンディーをたっぷり加えて煮詰めて作る、アラブ文化ともイラン文が混ざったような、彼独自の製法で作られたとにかく甘い甘いコーヒーでした。


「このアラビックコーヒーはがつんと一日の英気を養ってくれるんだ」と話していましたが、確かに強烈なカフェインと糖分でちょっとハイに。砂漠の風景を眺めながら、この濃厚なコーヒーを飲みながらのドライブは格別でした。
約1時間のドライブで、ペルセポリスに着く頃にはほとんど小降りになっていて、丁度良かったです。
ついに到着

車に揺られる中、突如として現れる巨大な石造遺跡群を目にした瞬間の感動は今でも忘れられません。小雨の影響から、普段は乾燥しているであろう遺跡が少し湿っており、石の色が深く見えてとても美しかったです。

近くの専用駐車場に車を停めてから、遺跡の方向に歩みを進めます。遠くに見えるペルセポリスの遺跡が既に雄大で、石柱や建造物のシルエットが荒涼とした岩山の中に堂々と立ち上がっている様子は本当に感動的でした。歩きながら「ついに来たんだ」という実感が湧いてきます。

ちなみに、遺跡の中にも一応石板に英語解説が掛かれているものの、事前にあらかじめ簡単に予習しておくのが吉です。ペルセポリスの歴史や主要な建造物について基本的な知識があると、実際に見学する際の理解が格段に深まります。
階段を上り、万国門へ

いよいよ遺跡の正式な入口、万国門(Gate of All Nations / Xerxes Gate)に到す。高さ約16メートルの巨大な門で、左右に配置された人頭牡牛身の守護神像「ラマス」が迎えてくれます。実際に見上げると、その迫力は写真で見るのとは全く違います。

ここで驚いたのが、観光客のほとんどがイラン人だったことです。おそらくイランの遠方から遊びに来たのでしょう。外国人、とりわけ日本人が珍しく感じるらしく、遊びに来ていたイラン人から次々に「一緒に写真を撮ってくれ」と話しかけられました。皆さんとても親切で、中には「ペルセポリスについて知ってる?」などと英語で遺跡の説明をしてくれようとする方もいて、地元の人たちとの交流も旅の大きな楽しみの一つになりました。

前編のまとめ
シーラーズからペルセポリスまでの道のりと、到着時の第一印象をお伝えしました。運転手さんとの出会い、地元のイラン人との交流、そして雨上がりの美しい遺跡との初対面まで、想像以上に充実したスタートを切ることができました。
なお、ペルセポリス観光は全体で6時間強を見ておくとよいでしょう。私たちは朝10時にシーラーズを出発し、16時過ぎ頃に帰着しました。
後編では、謁見の間や百柱の間などの主要遺跡の詳細な見学レポートと、この日最も印象的だった山崖登りの体験についてお伝えする予定です。
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