
興坪古鎮の対岸、大河背エリアからさらに奥へ進んだ山の中腹に、今回紹介する民宿「雲舎山宿」は存在する。陽朔の喧騒から離れ、自然に囲まれた静かな環境で過ごしたい旅行者にとって、この宿は理想的な選択肢となるだろう。
今回は11月上旬、秋のオフシーズンに1泊2日で滞在した。雨の日の訪問となったが、それがかえって陽朔のカルスト地形の美しさを引き立てる結果となった。まずは訪問編として、予約の経緯から宿へのアクセス、到着時の様子をレポートする。
小紅書で見つけた秘境の宿
そもそも、大河背に滞在する予定など全くなかった。しかし何気なく小紅書を眺めていた時、ある民宿の写真が目に飛び込んできた。山の中腹に佇む伝統的な建築、その前に広がるテラス、そしてその向こうに聳え立つカルスト地形。一目見た瞬間、ここに泊まりたいと思った。

その民宿が「雲舎山宿」だった。投稿されていた宿泊レビューを読み漁ると、どれも絶賛の嵐だ。この山全体でこの一軒だけという圧倒的な立地、自家栽培の有機野菜を使った絶品料理、フレンドリーなペットたち、四面山登山。すべてが魅力的に映った。
即座に携程で予約を入れた。部屋は「静享星空大床房」、星空を静かに楽しめる大きなベッドの部屋だ。
アクセス方法の確認
予約は完了したものの、一つ大きな問題があった。どうやって行けばいいのか。住所は「阳朔兴坪镇渔村大洲岭3号」とあるが、具体的にどう行けばいいのか分からない。高徳地図で検索しても詳細な道順は表示されておらず、どのように漓江を渡ればいいのか見当がつかない。
しかし、WeChatで連絡してみると、オーナーから非常に丁寧な返信が来た。興坪古鎮から漓江を渡船で渡って大河背エリアへ行き、そこから送迎カートで迎えに来てくれるとのこと。
これは非常にありがたかった。中国の田舎の民宿は、アクセス情報が不明確なことが多い。事前にこれだけ丁寧に説明してもらえれば、安心して訪問できる。
雲舎山宿があるのは、興坪鎮渔村大洲岭という地域で、興坪古鎮からは漓江を挟んで対岸の大河背エリア、そこからさらに山側へ3キロほど入った場所だ。周囲は山と農地、果樹園が広がるのみで、最寄りの集落まで2キロ以上は離れている。まさに隠れ家と呼ぶにふさわしい立地なのである。
興坪古鎮から暗闇の山道を登る

当日、興坪古鎮に到着したのは夕方18時半頃。すでに日は傾きかけており、空はどんよりとした雨雲に覆われていた。
前回の記事で紹介した渡船で漓江を渡る。興坪古鎮南側、老寨山入口付近の船着き場からオレンジ色の小舟に乗り込み、わずか2分程度で大河背側の船着き場に到着した。
船を降りると、連絡を取り合い、小型の電動カートと待ち合わせ。荷物を積み込み、いよいよ山の中へと向かう。

カートは舗装された道路を山側へと進んでいく。最初のうちは民家も点在しているが、次第に周囲の景色は畑と果樹園に変わっていく。日が暮れかけていることもあり、周囲はかなり暗い。街灯もほとんどなく、カートのヘッドライトだけが頼りだ。これを徒歩で、しかも夜に歩くのはかなり厳しいだろう。

道路の両側には柚子の果樹園が広がっている。11月上旬は柚子の収穫シーズンのようだ。

やがて「大洲岭」と書かれた標識と「云舍山宿30米」と記された案内板が現れた。もう宿は目前だ。
雨の夜に辿り着いた水墨画の世界

カートを降り、運転手の案内のもと農道のような細道を進んでいくと、突然視界が開けた。目の前に広がったのは、赤い提灯が灯る伝統的な建築だった。

土壁と木造の建物は周囲の自然に溶け込むように佇み、その前に広がる広いテラスにはテーブルと椅子が配置されている。雨に濡れた石畳が提灯の光を反射し、非常にエモーショナルな雰囲気を醸し出している。

テラスの縁には色とりどりの多肉植物が鉢植えで並べられ、ライトアップされて幻想的だ。その向こうには螺蛳山の巨大なシルエットが霧の中に浮かび上がっている。
これが小紅書で見た写真の光景だ。いや、実物の方がさらに美しい。陽朔は雨の日だからこそ美しい。霧に包まれたカルスト地形、雨に濡れた石畳、提灯の灯り。この組み合わせが作り出す風景は、まさに水墨画の世界だ。

すぐに出迎えてくれたのは犬と猫たちだった。白い犬が尻尾を振りながら近づいてくる。オレンジ色の猫も足元をすり寄ってくる。いずれも非常にフレンドリーで、警戒心がまったくない。これだけで、この宿の雰囲気の良さが伝わってくるようだ。
チェックインへ

敷地の入り口側へ向かうと、料理担当と思われるおばちゃんが笑顔で迎え入れてくれた。オーナーは不在のようだが、おばちゃんが対応してくれるらしい。当然ながら英語は通じない。中国語でのやりとりのみだ。
予約確認書をスマートフォンで見せると、おばちゃんは頷いて建物の中へ案内してくれた。ちょっとした茶樓のようなスペースの中、木造の棚には茶器や陶器が飾られており、非常に味のある空間だ。

おばちゃんは私に腰掛けるよう促し、準備ができるまで少し待つよう伝えてくれた。せっかくなので、お茶を注文すること。金花茶を選ぶと、おばちゃんは手慣れた様子で茶器を準備し、お茶を淹れてくれた。雨で少し冷えた体に、温かいお茶が染み渡る。
まとめ
小紅書で一目惚れしてから、予約、アクセス方法の確認、そして当日の移動。興坪古鎮から渡船で漓江を渡り、送迎カートで暗闇の山道を登り、ようやく辿り着いた雲舎山宿。
次回の滞在編では、部屋の詳細、テラスでの過ごし方、周辺の散策などについて詳しくレポートする予定だ。また、各サイトのレビューでも絶賛されていた食事の実態について紹介したい。