前回の滞在編では、宿の全体像、共有スペース、部屋の詳細について紹介した。今回の食事編では、料理担当のおばちゃんが作る夕食と朝食について詳しくレポートする。
夕食の注文
夕食の注文は、WeChatで行った。
チェックイン時におばちゃんから、夕食の希望があれば連絡してほしいと言われていた。部屋に戻ってから、宿のWeChatに連絡を入れた。

メニューはPDFで送られてきた。いくつかの料理と価格が記載されている。ただし、その日の食材の状況によって用意できないものもあるとのこと。山の中の民宿らしい、柔軟な対応だ。
私は以下を注文した。
- 竹筒飯 1つ
- 田螺鸭爪煲 1つ
- 瓶啤酒 1瓶
すると、おばちゃんから反応があった。田螺鸭爪煲は調理に1時間以上かかるため、厨房が下班(退勤)するので別の料理に変更できないかとのこと。
了解し、漓江小鱼酸豆沙に変更した。おばちゃんはすぐに了解してくれた。
食事処での夕食
夕食の時間、2階の食事処へ向かった。

木造の食事処は、大きな窓からカルスト地形が望める絶好のロケーションだ。窓を開けると、まるで額縁に入った絵画のように、螺蛳山と周囲の山々が広がっている。
テーブルに着くと、まず運ばれてきたのはビールだった。

漓泉1998。桂林といえばこのビールだ。
オレンジと白のラベルが印刷された茶色い瓶。グラスに注ぐと、黄金色の液体が泡立つ。広西のローカルビールで、すっきりとした飲み口だ。
一口飲むと、喉を通る爽快感が心地よい。山道を登ってきた疲れが、このビールで癒される。窓の外には霧に包まれたカルスト地形。この景色を眺めながらのビールは格別だ。
チェックイン時に注文していた金花茶も、茶樓で飲み始めたが飲みきれなかったので、食事をしながら一緒にいただくことにした。
漓江小鱼酸豆沙:漓江を身体で、そして味覚で楽しむ
しばらくすると、この度のメインディッシュが運ばれてきた。漓江小鱼酸豆沙だ。

鉄鍋に盛られた小魚の炒め物が、ガスコンロの上で湯気を立てる。小魚はイワシのような姿をしており、酸豆沙(酸っぱい豆のソース)と一緒に炒められている料理だ。ネギや唐辛子も入っており、食欲をそそる香りが漂う。
箸で一匹つまんで口に運ぶ。

タンパクな味わいの中に、カルシウムを感じる独特の旨さがある。骨ごと食べられる小魚で、カリッとした食感が心地よい。酸豆沙の酸味が魚の旨みを引き立て、後を引く味だ。
この小魚は、別の店で食べた啤酒鱼とはまた全然異なる。啤酒鱼はもっとこってりとした味わいだったが、こちらは淡白で、疲れた身体に染み渡る優しさがある。
そして、ふと気づいた。この漓江の魚は、たしか大河背の河岸で見た、鵜飼漁で小魚を捕らせていた、あの魚にそっくりだ。

漓江を身体で楽しみ、そしてそのあと味覚でも楽しめる。これこそが、この地に滞在する醍醐味だ。山道を歩き、渡船に乗り、川辺を散策し、そして川の恵みを味わう。すべてが繋がっている。
ビールを飲みながら、小魚を次々と口に運ぶ。長旅で失ったミネラルを補給しているという実感が、妙に心地よい。
竹筒飯:桂林滞在中どこかで食べたかった一品
そして、竹筒飯だ。

可愛いサイズの細い竹筒に詰められたご飯が、白い皿に横たえられている。一人前サイズに収まったコンパクトな竹筒だ。
桂林滞在中、どこかで竹筒飯を食べたかった。しかし通常、竹筒飯はもっと大きなサイズで提供されることが多く、一人で食べるには多すぎる。このコンパクトなサイズで提供してくれるのは、非常に嬉しい。
竹筒を割ると、中からもち米の炊き込みご飯が現れる。ほのかに竹の香りがする。
もち米はふっくらと炊き上げられており、竹の風味が加わって独特の味わいだ。それでいて優しい出汁が効いており、素朴ながら奥行きを感じる贅沢な一品だ。漓江小鱼酸豆沙と一緒に食べると、これがまた合う。魚の酸味とご飯の甘みが絶妙にマッチする。
カルスト地形を眺めながらの贅沢な食事

窓の外には、霧に包まれたカルスト地形が広がっている。日没後のかすかな光が山々を照らし、幻想的な風景を作り出している。
この景色を眺めながら、漓江の小魚を食べ、竹筒飯を味わい、漓泉ビールを飲む。金花茶もゆっくりと楽しむ。時折、古鎮のほうから花火が上がる様子が小さく見える。
料理の味もさることながら、このロケーションで食事をとれるという体験が、味わいをさらに深めている。興坪古鎮のレストランでは決して味わえない、山の中の民宿ならではの贅沢だ。
翌朝の朝食:桂林米粉
翌朝の朝食は、桂林米粉だった。

このあたりのホテルや民宿では、どこでも桂林米粉を出してくれる。桂林の名物料理で、米から作られた麺を使った料理だ。
丼に入った米粉は、スープがたっぷりと注がれている。酸辣湯のような、酸っぱくて辛いスープだ。

そして別の皿には、目玉焼きが用意されていた。せっかくなので、これを米粉の上に乗せて食べることにした。
麺をすすると、つるつるとした食感が心地よい。スープは酸味と辛味のバランスが絶妙で、朝から食欲をそそる味だ。ネギや豆腐も入っており、栄養バランスも良い。
目玉焼きを箸で崩すと、黄身がスープに溶け出し、まろやかさが加わる。これがまた美味しい。米粉と目玉焼きの組み合わせは、朝食にぴったりだ。
窓の外には、朝霧に包まれたカルスト地形が広がっている。朝の光の中で見る景色は、夜とはまた違った美しさだ。
そう言えば、漓江小鱼酸豆沙に入っていたネギや、朝食の米粉に入っていた野菜も、非常に新鮮で味が濃い。市販の野菜とは明らかに違う、しっかりとした味わいがある。

宿の周囲には畑が広がっており、そこで栽培された野菜を使っているのだろう。朝の散策時に見た畑では、地元住民が農作業をしていた。
まとめ
雲舎山宿での食事は、期待以上の美味しさだった。
特に漓江小鱼酸豆沙は、淡泊でカルシウムを感じる旨さが疲れた身体に響いた。
何より、カルスト地形を眺めながらの食事という体験が、味わいをさらに深めていた。2階の食事処から望む景色は、何時間でも眺めていられる美しさだ。
料理担当のおばちゃんの腕前は確かだった。そして、自家栽培の有機野菜を使った料理は、他では味わえない美味しさだった。
次回訪れる機会があれば、田螺鸭爪煲も食べてみたい。1時間以上かかるという料理、どれだけ美味しいのだろうか。
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