旅ブロガーとして、これまで数え切れないほどの国々を訪れ、多様な文化に触れ、異なる風景を堪能してきた。そんな中で、ATM関連のトラブルに見舞われたことは一度もなかった。クレジットカードの海外キャッシング機能を使用した現金の引き出しは日常の一部となり、特に気をつけることもなく自然に行っていた。それ故に、ある日突然、予想もしない形で悲劇が私を襲うことになるとは夢にも思わなかった。
本記事では、その一部始終を綴るとともに、今回の経験を経て得た教訓をシェアさせていただきたい。
ベトナム弾丸旅行での出来事
ベトナム、ホーチミンのタンソンニャット国際空港。その喧騒に満ちたアライバルフロアのVietinBank ATMに立つ私の姿があった。土曜日の午後、短い弾丸旅行で訪れたこの地で、わずかな現金を引き出す必要があったのだ。しかし、その選択が後にどれほどの苦労をもたらすことになるとは、その時の私は知る由もなかった。
ATMの操作は簡単で、機械の指示に従って操作を進める。希望の金額を入力して出金を実行すると、音を立てて現金が吐き出されるしかし、次の瞬間、私は恐ろしい現実に直面することになる。カードが出てきたかと思うと、わずか5秒後には機械の中に再び吸い込まれてしまったのだ。
ATMには、置き忘れ・盗難防止のため、カードが出てから一定時間以上取り出されないと、再びATM内に吸いとられる、というセキュリティ機能が備わっていることは知っていた。しかし、その機能がたった5秒で発動してしまうとは、完全に不意をつかれた。
「まさか!」と心の中で叫びながら、私はパニックに陥った。手元に残るのは引き出した現金とレシートのみ。早急に対策を講じるべく、空港スタッフに助けを求めることにした。
空港スタッフによるサポート
空港スタッフは親切で、迅速に対応してくれた。しかし、その表情にはどうすることもできない無力感が漂っていた。彼らが説明するところによると、ATMの管理は銀行が行っており、その銀行は週末には営業していないということだった。要するに、私のカードを取り戻すためには、月曜日まで待たなければならないらしい。
とは言え、先述の通り私は週末弾丸旅行としてベトナムに来ている。「明日には帰国しなければならないんです。」と私は必死に訴えた。スタッフは深いため息をつき、記載されている番号に電話をかけるよう助言してくれた。しかし、現実はさらに厳しかった。その番号に電話をかけても、既に使われていないか、間違い電話だと言われるばかり。解決の糸口は全く見えなかった。
銀行窓口とやっと繋がるも
唯一通じた電話番号にかけてみると、延々とベトナム語の自動案内が続くだけだった。何を言っているのかさっぱり分からない。ここでもう一度、空港スタッフの助けが必要となった。彼らは懸命に対応してくれ、やっとのことで担当部署へと繋いでもらった。
しかし、その努力もむなしく、結局、土日は銀行休業日なので月曜に出直してくれとの返答だった。この時点で、私は自分のクレジットカードを取り戻すことを諦めざるを得なかった。カードが取り戻せないことに加え、付随していた定期券も失うことになったのだ。
空港スタッフに感謝を告げ、クレジットカード会社に連絡をしてカードを速攻で停止してもらった。この苦い経験を通じて学んだこと、当然の話ではあるが、それは海外でのATM利用には十分な注意が必要だということだ。
今回得た教訓
今回の経験で得られた教訓を今一度整理してみる。
まず、ATMはできるだけ銀行の営業時間内に利用すること。週末旅行など、営業時間内に利用ができない旅程を組んでいる場合、多少レートが悪くても現金両替を利用するのが安全だろう。
そして、利用する前にATMが信頼できる場所に設置されているか確認すること。また、もしものために、複数のクレジットカードやデビットカードを持って行くことも一つの対策だ。今回は他にもカードを持ってきていたため吸われたカードのことは諦めることができたが、仮に決済手段をカードを1枚しか持ってきておらず、その1枚がATMに吸われてしまったならば、旅行はおろか下手したら日本への帰国もままならなくなっていた可能性すらある。
さらに、キャッシングの際にはレシートを発行しておくことも忘れてはならない。後々クレジットカードを回収するチャンスがあったとしても、そのカードの持ち主の本人であるという証拠がないと銀行は対応してくれない。レシートとしてやり取りの記録を残しておくのが懸命だろう。そして、海外旅行保険に加入しておくと、万が一の際にも安心できる。
今回の一件で私が学んだ教訓は数多くある。特に、異国の地での不測の事態に備えることの重要性を痛感した。旅行中に何が起こるか分からないからこそ、予めの準備と心構えが必要なのだ。
最後に
短い滞在だったが、ベトナムの美しさと温かい人々の親切に触れたことは忘れがたい。そして、困難な状況で助けてくれた空港スタッフへの感謝の気持ちは、今も胸に残っている。次回の旅行では、もっと万全な準備をして、より安心して楽しみたいと思う。
この物語が、皆さんの海外旅行の際の参考になれば幸いだ。そして、皆さんが万全の準備のもと楽しい旅行を過ごし、私のような苦労を経験しないことを心から願っている。
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