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ラクダの乗り心地ってどんな感じ?感染症は大丈夫?騎乗の流れ、コツや注意点を徹底解説【アラブ・オマーン旅行】

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実際に乗って、乗り心地を確かめてきました

アラビア半島の砂漠地帯で何世紀にもわたり人々の暮らしを支えてきたラクダ。灼熱の砂漠を悠々と歩み、重たい荷物を背に長距離を移動する、まさに「砂漠の船」と呼ぶにふさわしい存在です。現代では観光客向けの乗り物としても人気を集めていますが、その独特な乗り心地は想像以上にダイナミック。今回は、オマーンのシャルキーヤ砂漠(別名:ワヒバ砂漠)で体験したラクダ騎乗体験をもとに、その魅力や注意点について詳しくご紹介します。

ベドウィンラクダの深い絆

オマーン社会に溶け込むラク

ベドウィン遊牧民として知られる中東の民族で、ラクダとともに砂漠での生活を営んできました。彼らにとってラクダは単なる移動手段ではなく、ミルクや毛皮を提供する貴重な家畜であり、まさに生活の伴侶といえる存在です。砂漠の過酷な環境で生きていく上で、ラクダは欠かせない存在なのです。

砂漠の民、ベドウィンのお家にて

今回、シャルキーヤ砂漠近郊に暮らすベドウィンの家庭に招かれる機会に恵まれました。到着するとまず、香り高い伝統的なアラビックコーヒーと、蜜のように甘いデーツでもてなしていただきました。コーヒーを何度もお代わりしながら、砂漠での暮らしについて興味深い話に花が咲きます。伝統的な遊牧生活から現代の定住生活への変化、そしてラクダとの関わり方の変遷など、貴重な話を聞かせていただきました。談笑の中で、彼らが大切に育てているラクダの話題になり、「興味があれば乗ってみませんか?」と温かな声をかけていただいたのです。

フタコブラクダとご対面

家の外に出ると、優雅な姿の二こぶラクダが私たちを待っていました。近づいてみると、その長い睫毛に思わず見とれてしまいます。まばたきをするたびにバサバサと揺れる様子は、意外にも妖艶な魅力を感じさせます。大きな瞳で私たちを見つめる姿は、どこか愛らしく、最初に感じていた緊張が少し和らぎました。

ラクダへの騎乗方法

ラクダの背中には、こぶとこぶの間に絨毯のような素材でできた鞍が設置されています。最初は完全に座った状態のラクダに近づき、鞍にまたがります。地面に座っているとはいえ、その背中の高さは予想以上。少し緊張しながら、ベドウィンの方に手を借りて慎重にまたがりました。またがったら、鞍のハンドルをしっかりと握るよう指示されます。

まずは後ろ足だけ起き上がる

ここからが、私の想像をはるかに超える、驚きの展開となりました。ベドウィンが独特な声で合図を送ると、突如として体が前に傾きます。思わず声が出そうになるほどの衝撃。ラクダが後ろ脚を伸ばして体を持ち上げた瞬間です。慌てて綱を握りしめますが、これで終わりではありませんでした。

さらにベドウィンが次の合図を送ると、今度は前脚を伸ばして完全に立ち上がります。ジェットコースターのような浮遊感と共に、グッと後ろに傾く感覚。気がつけば地上約2メートルの高さまで上昇していました。この二段階での立ち上がりは、ラクダの身体構造上の特徴なのだそうです。

実際の乗り心地

ラクダが歩き始めると、その特徴的な歩き方により、騎乗者の体は上下左右に大きく揺さぶられます。まるで小舟に乗って波に揺られているようなダイナミックな揺れ。最初は戸惑いを感じましたが、次第にそのリズムに身を委ねられるようになってきました。

段々と、この揺れは不思議と心地よいものに。赤ちゃんのベッドのような規則的な揺れに、次第に体も心もリラックスしていきます。砂漠の広大な景色を眺めながら、ゆらゆらと進んでいくその感覚は、まさに「砂漠の船」という言葉がぴったりだと実感できます。ただし、乗り物酔いの傾向がある方は要注意。この独特の揺れに慣れるまでは、少し気分が悪くなる可能性もありそう。

男性の方には特別な注意を。というのも、歩くたびに前側のこぶが股間に当たってきて地味に痛いのです。これは事前に誰も教えてくれなかった盲点でした。姿勢を少し工夫することで和らげることはできますが、油断すると思わぬ痛みが襲ってきます。

慣れてくると、ハンドルをつかまなくてもバランスをとれるようになってきます

降り方の特徴

砂漠散歩も終わり、降りる時がやってきました。しかし、ここでもラクダならではの驚きが待っていました。降りる際も二段階での動作となるのですが、これが予想以上にダイナミック。まず前脚を折り曲げる時、突如として急激な前傾が生まれます。

そしてさらに後脚を折り曲げる時には、まるで急ブレーキをかけたかのような衝撃が。ガクンと勢いよく下がる座位置に、思わず体が後ろに傾きそうになります。ハンドルをしっかりと握っていなければ、間違いなく振り落とされていたことでしょう。

感染症に関する安全性

このような魅力的な体験の一方で、近年話題となっているのが感染症の問題です。特に中東呼吸器症候群(MARS)については、ヒトコブラクダに寄生することが知られています。しかし、観光で一般的に使用されるフタコブラクダでは基本的にリスクは低いとされているのでご安心を。

とはいえ、その他の感染症のリスクも考慮し、ラクダの体液との接触は避け、騎乗前後の手洗い・消毒を心がけることをお勧めします。特に傷口がある場合は、念入りな消毒が必要です。

いかがでしたでしょうか

ラクダ騎乗体験は、想像以上にスリリングで印象的な体験でした。その独特の動きや高さ、揺れは、他の乗り物では決して味わえない特別なものです。確かに最初は戸惑いや驚き、時には痛みも伴いますが、それも含めて貴重な思い出となることでしょう。

スリルを味わえるだけでなく、ベドウィン文化と深く結びついたラクダとの触れ合いを通じて、砂漠の民の暮らしや知恵の一端に触れることができます。機会があれば、ぜひ挑戦してみてください。