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中東情勢で航空便キャンセル続出!これから中東経由旅行を控えている人々へ - 現在考えうる今後のシナリオと対応策【カタール領空閉鎖】

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6月21日、アメリカがイランの核施設3箇所(フォルド、ナタンズ、イスファハン)への攻撃を実行しました。これを受けてイランは報復を宣言し、翌日にはカタールの米軍基地への攻撃を実施。一時的に中東の主要空港が機能停止に追い込まれる事態となりました。中東にはドーハ・ハマド国際空港や、ドバイ国際空港など多数のハブ空港があるため、今回影響を受けた旅客機は数百にものぼると言われています。

今回の中東情勢の混乱が航空業界に与えている影響は、想像以上に深刻です。単なる一時的な運航停止では済まない、構造的な変化が始まっているのです。この状況を正しく理解し、賢く対処するために、詳しく見ていきましょう。

領空閉鎖と空港への影響

最初に影響を受けたのはカタールで、イランからの攻撃に備えて自国領空への進入を禁止しました。これに続いてUAEバーレーンクウェートも予防的措置として同様の対応を実施。ドバイ国際空港やハマド国際空港(ドーハ)といった世界有数のハブ空港が一時的に閉鎖される異常事態となりました。

現在これらの空港は運航を再開していますが、安全確保のため大幅に運航本数を減らしており、多くの便で遅延やキャンセルが発生しています。特にドーハのハマド国際空港では、通常1日約300便が発着するところ、現在は約半分程度に制限されているとのことです。

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航空会社別の対応状況

それを踏まえ、各航空会社の対応には大きな差が生じています。シンガポール航空は安全を最優先に、ドバイ便を6月25日夜まで全面欠航と発表。一方でエミレーツ航空は本拠地がドバイということもあり、慎重なルートを採用しながらも運航継続の姿勢を示しています。

ブリティッシュ・エアウェイズエールフランスKLMは、ドバイ・ドーハ便の運航を停止しました。日本航空では迂回ルートを採用していますが、一部便では安全確保のため羽田への引き返しも発生。乗客への影響は深刻で、突然の予定変更を余儀なくされた旅行者からの問い合わせが殺到しているそうです。

カタール航空でも多くの航空便にキャンセル・遅延が生じました。影響を被った旅客には、状況に応じて無料宿泊サービスがあてがわれるなどの対応が進められているとのことです。

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影響を受けた地域と路線

最も大きな影響を受けているのは、中東の主要ハブ空港を経由する便です。ドバイ、ドーハ、アブダビクウェートシティの各空港は、アジア・ヨーロッパ・アフリカを結ぶ重要な中継地点として機能していましたが、現在その役割を十分に果たせない状況が続いています。

これらの空港を拠点とするエミレーツ航空カタール航空エティハド航空は、路線網の大幅な見直しを迫られています。特にエミレーツ航空は世界最大級の国際線ネットワークを誇りますが、現在その多くに影響が及んでいます。

乗客への具体的な影響

多くの旅行者が直面しているのが、出発直前や旅行中の突然のキャンセル通知です。特に往復航空券で往路のみ利用し、復路がキャンセルされるケースでは、現地で足止めされる事態も発生しています。

ドバイで乗り継ぎ予定だった乗客の中には、エミレーツ航空から「安全上の理由により便を変更する」との連絡を受け、予定より2日遅れで目的地に到着したケースも報告されています。こうした遅延により、ホテルの延泊費用や予定していた現地ツアーのキャンセル料が発生する問題も生じています。

航空会社のカスタマーサービスには問い合わせが殺到しており、電話が繋がらない状況が続いているとのこと。航空では通常30分程度で繋がる電話が、現在は3時間待ちとなることも珍しくなくなっています。

オンラインでの手続きも処理が追いつかず、通常1週間程度で完了する返金手続きが1ヶ月以上かかるケースも発生しています。特に第三者サイト経由で購入した航空券では、航空会社と予約サイトの間で責任の所在が曖昧になり、乗客が置き去りにされる事例が増えています。

今後の展望:いつ正常化するのか

現在の混乱が収束するまでには、最低でも1-2ヶ月はかかると予想されます。イランとアメリカの間で何らかの合意が成立したとしても、航空業界が通常運航に戻るには時間が必要です。

各航空会社は安全確保を最優先に、段階的な運航再開を計画しています。しかし地政学的リスクは依然として高く、状況の急変により再び運航停止となる可能性も否定できません。この期間中は、可能な限り中東経由便の利用は避け、代替ルートでの旅行を検討することを強く推奨します。

また仮に軍事的な緊張が緩和されたとしても、航空業界への影響は中期的に続くと考えられます。保険料の上昇、燃料コストの増加、追加的な安全対策などにより、中東路線の運航コストは大幅に上昇する見込みです。

この結果、航空運賃の値上がりは避けられず、特に中東経由便の価格競争力は大きく損なわれる可能性があります。これまで格安で利用できていたエミレーツ航空カタール航空の便が、大幅な値上げを余儀なくされることも予想されます。

長期的な目線では、今回の事態は航空業界の路線図を根本的に変える可能性があります。中東ハブ空港の地位低下により、ヨーロッパやアジアの空港がその役割を代替することになるでしょう。

日本の航空会社にとっては、これまで中東系航空会社に奪われていたヨーロッパ・アフリカ路線の乗客を取り戻すチャンスとも言えます。JALANAは既に、ヨーロッパ直行便の増便を検討していると報じられています。

旅行者が今すべきこと

既存予約の確認と対応

中東経由便を予約している場合は、直ちに航空会社に連絡を取ることが重要です。ただし電話は繋がりにくいため、メールやオンラインフォームを活用することをお勧めします。その際、「航空会社都合のキャンセルによる全額返金」を明確に要求することが大切です。

航空会社によっては戦争事由、要するに「不可抗力」を理由に補償を制限しようとしますが、EU圏発着便では距離に応じて250-600ユーロの補償金が支払われる場合があります。また、約款によっては代替便の手配まで必要となった宿泊費や食事代も請求可能なケースもあります。

新規予約時の注意点

向こう3ヶ月間の旅行を計画し、かつまだ航空券を手配していない場合は、中東経由を避けることが賢明です。やむを得ず中東路線を利用する場合は、キャンセル料無料期間の長い航空会社を選び、旅行保険にも必ず加入してください。

ただし、多くの旅行保険では「戦争・内乱」が免責事項となっているため、政治的理由によるキャンセルもカバーする特別な保険商品を検討する必要があります。追加コストはかかりますが、現在の不安定な状況では必要な投資と言えるでしょう。詳しくは下記記事を合わせてお読みください。

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代替ルートの検討

中東経由に代わる選択肢として、ヨーロッパ経由やアジア域内での乗り継ぎが有力です。フィンランド航空やスカンジナビア航空の北欧経由便は、安全性が高く運航の信頼性も良好です。

また、直行便の利用も検討すべきです。従来は中東経由の方が安価でしたが、現在の状況では直行便の方が結果的に経済的な場合も多くなっています。追加の宿泊費やキャンセル料のリスクを考慮すれば、多少の運賃差は十分に許容範囲と言えるでしょう。

まとめ:不確実な時代の旅行戦略

現在の中東情勢は、航空業界に前例のない混乱をもたらしています。この状況がいつまで続くかは予測困難ですが、少なくとも数ヶ月間は影響が持続すると考えるべきです。

重要なのは、状況を正確に把握し、柔軟に対応することです。固定的な旅行計画にこだわらず、安全性を最優先に判断することが、結果的に時間と費用の節約につながります。

この困難な時期を乗り切るためには、情報収集を怠らず、常に複数の選択肢を準備しておくことが肝要です。そうすることで、不測の事態が発生しても冷静に対処でき、旅行を楽しむことができるでしょう。

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