2025年のSkytrax World Airline Awardsで世界第10位に輝き、中国の航空会社として唯一のベストテン入りを果たした海南航空。中国の航空会社というと、サービスの質や清潔さ、スタッフの対応などに不安を感じて、なんとなく身構えてしまう人も多いのではないでしょうか?特に日本人の感覚からすると、「安いけれど品質は大丈夫なのか」「言語の壁はないのか」といった疑問を抱くのは自然なことだと思います。
実際のところはどうなのか、今回厦門から北京経由で羽田までのルートで実際に搭乗してきましたので、リアルな体験をできるだけ詳しくレポートします。
世界ベスト10に輝いた海南航空と
海南航空(Hainan Airlines)は、中国海南省海口市の海口美蘭国際空港を本拠地とする航空会社で、中国では第4位の規模を誇る大手航空会社です。1993年に設立された比較的新しい航空会社でありながら、急速な成長を遂げてきました。
最大の特徴は、英スカイトラックス社から中国の航空会社として初めて5つ星評価を獲得していることです。この5つ星評価は航空業界では最高ランクの評価であり、世界でも限られた航空会社しか取得していません。しかも海南航空は、この5つ星評価を12年連続で維持しているという驚異的な実績を持っています。
興味深いのは、海南航空は世界の3大航空アライアンス(スターアライアンス、ワンワールド、スカイチーム)のいずれにも加盟していないことです。それでもこれだけの評価を得ているということは、独自のサービス哲学と運営方針が功を奏していると言えるでしょう。
予約からすでに好感度UP!
今回の航空券予約は、GotoGateグループのOTA(オンライン旅行代理店)であるFlightNetworkを利用しました。OTAを使った航空券予約はトラブルが生じがちですが、価格が魅力的だったため選択しました。
ところが、予約完了後に予約照会をしようとした際、ちょっとしたトラブルが発生。OTAで予約した航空券の詳細確認や座席指定などを行おうとしたのですが、航空会社のシステムで予約が見つからないという状況になってしまったのです。
しかし、海南航空のホームページにあるライブチャット機能で問い合わせてみると、予想以上に迅速かつ丁寧に対応してくれました。英語でのやり取りでしたが、担当者は非常に親切で、予約が問題なくされていることを確認してくれました。レスポンスも早く、待たされることもありませんでした。
この時点で既に「おっ、これは期待できそうだ」と感じました。顧客サービスの質は、その航空会社全体のサービス水準を測る重要な指標の一つです。ここでの対応の良さは、実際のフライト体験への期待を大いに高めてくれました。
実際の搭乗体験レポート
今回は国内線(厦門→北京)と国際線(北京→羽田)の2区間で海南航空を利用しました。異なるタイプのフライトを体験することで、海南航空のサービスをより多角的に評価できると考えました。
国内線(厦門→北京)の体験
厦門空港でのチェックイン手続きは非常にスムーズでした。海南航空のカウンターは清潔で整理整頓されており、スタッフの制服も洗練されていて、第一印象は上々でした。チェックイン時のスタッフの対応も丁寧で、笑顔を絶やさず接客してくれました。
座席・機内環境
搭乗した機材はボーイング737-800で、3時間程度の国内線にしては結構広々とした機内という印象を受けました。座席のピッチ(前後間隔)は他の中国系航空会社と比較しても余裕があり、窮屈さはかなり軽減されていました。さすが世界トップ10にランクインしているだけあると、この時点で既に感じる快適さがありました。
機内の清潔さも印象的でした。座席やテーブル、窓なども汚れがなく、しっかりと清掃されていることが分かります。また、短距離の国内線にも関わらず機内エンターテイメントシステムを配備していたのには驚きました。個人用のスクリーンが各座席に設置されており、中国語コンテンツが中心ではありましたが、映画や音楽などを楽しむことができました。
機内サービス
短時間フライトということもあり、機内食というよりはリフレッシュメントといった感じのサービスでした。ソフトドリンクの選択肢は豊富で、コーラやオレンジジュースといった定番のものから、中国茶まで用意されていました。
食べ物としては、ちょっとエキゾチックな香りのするせんべいのようなスナックをいただきました。これが意外と美味しく、中国らしい風味がありながらも日本人の口にも合う味付けでした。短時間フライトなので豪勢な食事は期待していませんでしたが、このちょっとした心遣いが嬉しく感じられました。
国際線(北京→羽田)の体験
その後、定刻通り北京へ着陸。北京首都国際空港での乗り継ぎも比較的スムーズに進みました。
座席・機内環境
国際線の機内は、全体的にグレード感の高い内装でゆとりもしっかり確保されていました。座席の質感も国内線より上質、赤いベルベッド調の設えが温かみのある色調を添え、リラックスできる雰囲気が演出されていました。
ただし、こちらの機材には機内エンターテイメントシステムが搭載されていませんでした。中国系航空会社の日本路線では、短距離ということもあって機内エンタメがないケースが多いので、これは想定内でした。むしろ、その分座席周りのスペースが広く取られているとも解釈できます。
機内食が想像以上に充実!
こちらのフライトでは、3時間程度のフライトにも関わらず、しっかりとした機内食が提供されました。これには正直驚きました。
メインディッシュは鶏肉のグリルと炒面の組み合わせで、鶏肉は柔らかく調理されており、スパイスの効いた中華風の味付けが絶妙でした。中国系航空会社はどこも機内食が美味しい印象があります。
副菜として提供されたカモ肉のスモークは、薄くスライスされた上品な一品で、中華料理の伝統的な調理法が感じられる美味しさでした。その他にも温野菜や漬物、さらにはデザートまで用意されており、短距離国際線としては驚くほど充実した内容でした。
ドリンクサービスも充実しており、コーヒーや紅茶、中国茶、各種ソフトドリンクが用意されていました。ただし、アルコールの提供はなく、あくまでソフトドリンクのみでした。これは短距離フライトということを考えれば妥当かなと思います。
総評
短距離フライトだったため、海南航空の長距離路線での真髄を完全に味わうことはできなかったかもしれません。しかし、今回の体験を通じて、特段のストレスを感じることなく、快適なフライトを楽しむことができたというのが正直な感想です。
世界第10位にランクインしているだけあって、サービス水準は確実に高く、機内の清潔さ、スタッフの接客態度、機内食の質など、どれを取っても国際水準以上のものでした。「中国の航空会社だから品質が劣るのではないか」という先入観は完全に払拭されました。
また、短距離フライトにも関わらず提供された機内食の充実ぶりは、他の航空会社と比較しても際立っていました。コスト削減が求められる航空業界において、これだけのサービスを維持しているのは素晴らしいことだと思います。
次回はぜひ、ヨーロッパなどの長距離路線で海南航空を利用してみたいと思います。きっと、今回以上に海南航空の本領を体験できるのではないかと期待しています。