サウジアラビアの観光名所といえば、リヤドやジェッダを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、最近じわじわと注目を集めているのが北西部に位置するAlUla（アルウラ）です。古代の歴史が色濃く残るこのエリアには、砂漠と岩山に囲まれた美しい風景や、ユネスコ世界遺産に登録された遺跡が広がっています。今回は、そんなAlUlaの中でも特に歴史が感じられるAlUla Oldtownを、真夏の昼間に散策した時の体験をお届けします。
AlUlaとは
まず、AlUlaとはどんな場所か簡単にご紹介しましょう。この街は、古代から貿易や文化の交差点として栄えた場所で、特にナバタイ王国時代の遺跡が数多く残っています。日本ではまだあまり知られていないかもしれませんが、その歴史的価値や美しい風景から、今後注目がさらに高まることが予想されています。世界遺産にも登録されている「ヘグラ（Hegra）」があり、これが観光の中心となっていますが、実はその手前にあるAlUla Oldtownもまた、歴史好きにはたまらないスポットなんです。
真夏サウジアラビア事情 昼夜逆転生活
さて、真夏のサウジアラビアと聞いて、まず頭に浮かぶのは「暑い」という一言ではないでしょうか？実際、アルウラでも日中の気温は50度近くに達することもあり、まさに“灼熱”という言葉がぴったり。そんな気候に適応するために、現地の人々は自然と昼夜逆転の生活をしています。昼間はエアコンの効いた室内で過ごし、日が沈んだ頃から外に出て活動を始めるのが一般的です。観光客もこのスタイルに従うことが多く、昼間に観光地を訪れるのは、どちらかといえば「冒険者」的な感覚かもしれません。
昼間のAlUla Oldtownの様子
それでもあえて、私は真昼にAlUla Oldtownを歩いてみることにしました。なぜなら、誰もいない静かな街の雰囲気を味わいたかったからです。結果はと言うと、まるで時間が止まったかのような静けさ。人影はほとんどなく、ショップやレストランは軒並み閉まっています。唯一の音は、時折砂漠の風が建物の間を吹き抜ける音くらい。この静寂の中、石造りの建物や古い通りをじっくりと眺めていると、現代からタイムスリップしたような感覚に陥りました。
古都散策をするなら絶好のチャンス
昼間に訪れるAlUla Oldtownの最大のメリットは、やはり人混みがないこと。夜や観光シーズンには、観光客や地元の人々で賑わうこのエリアも、昼間はほとんど誰もいません。人気の写真スポットも、ゆっくりと好きな角度から撮影できるのは、この時間帯ならではの特権です。また、じっくりと歴史に浸りながら古都を散策できるので、歴史好きにはたまらない贅沢な時間となるでしょう。
Alula Fortへ登頂
この静寂の中で特に印象に残ったのが、Alula Fort（アルウラ要塞）への登頂です。石段を一歩一歩登っていくと、少しずつ広がっていく景色に心が躍ります。頂上に到達した時には、街全体とその背後に広がる壮大な砂漠の風景が目の前に広がり、思わず息を呑む瞬間です。昼間の強い日差しが岩山に映える中、AlUlaの歴史的な街並みを見下ろしながら、ここがかつて交易の中心地であったことを感じ取ることができました。
ショップやレストランは全然開いていない
ただし、この時間帯に訪れる際の注意点は、やはりほとんどの店が閉まっているということ。オープンしているお店を探すのは至難の業で、結局カフェで涼みながら一息つくこともできず、汗だくになりながらの散策となりました。特に夏場は水分補給が必須なので、ボトルウォーターは事前にしっかり準備しておきましょう。休憩できる場所が限られているので、体調管理には細心の注意が必要です。
ちなみに昼間唯一開いているレストラン／カフェは、リゾートホテル「Dar Tantra」内のレストラン、Joontosのみ。ここでのコアラビックコーヒーが非常に美味しかったので、夏に訪れる際には是非チェックしてみてください。
体感温度
さて、実際の気温ですが、私が訪れた時は40度を超える猛暑日でした。直射日光が肌を刺すような強さで、少しでも日陰を見つけるとそこに逃げ込みたくなります。乾燥しているため、日本のように蒸し暑くはないものの、それでも日差しの強さは非常に厳しく、長時間の散策は過酷です。私は帽子とサングラス、そして日焼け止めをしっかり装備して挑みました。
ただ、体感的なツラさで言えば、日本のじめじめした夏よりはよっぽどマシ。汗は一瞬にして蒸発するため服はベタベタしないし、日陰に入りさえすれば体力の消耗もそこまでありませんでした。気づかない内に脱水症状になりそうな怖さはあるものの、日中屋外散策をしても特に体調を崩したりはすることもない、比較的心地良い気候だと感じました。正直、日本の暑さに慣れている我々にとって、サウジアラビアの夏はもはや敵ではないと言えるでしょう。
まとめ
真夏の昼間にAlUla Oldtownを訪れるのは、確かに過酷な体験です。しかし、その静けさと歴史的な雰囲気は、他の時間帯では味わえない特別な魅力があります。観光シーズンや夜の時間帯に訪れる賑わいとは異なり、昼間は自分だけのペースでじっくりと古都を楽しむことができます。暑さとの戦いは避けられませんが、歴史に浸りたい方には、一度体験してみる価値があるかもしれません。次回は、夜のAlUla Oldtownで感じた、また違った魅力をお伝えします。
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