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【ジェッダ観光】アル・バラド散策のすすめ:サウジの夏こそ楽しむ古都ジェッダの隠れた魅力【サウジアラビア2025】

 

サウジアラビアのジェッダにある世界遺産「アル・バラド(Al Balad)」という旧市街。一般的に夏の暑い時期は観光に不向きと言われがちですが、実はこの時期だからこそ楽しめる魅力がたくさんあります。地元民が昼間の暑さを避けて活動を控える時間帯に、観光客が独占できる静かな古都の魅力をご紹介します。

夏の昼間こそがベストシーズン?逆転の発想で楽しむアル・バラド

人通りの少ない昼間のアルバラド

サウジアラビアの夏は暑すぎて観光には向かない」というのが一般的な見解です。確かに気温は日中45度近くまで上昇することもある過酷な環境。しかし、だからこそ隠れたメリットがあるのです。

現地の住民たちは昼間の暑い時間帯、特に12時から15時頃までは屋内で過ごすことが多く、街を歩く人は驚くほど少なくなります。通常なら混雑するはずの世界遺産エリアが、ほぼ貸し切り状態で楽しめるという貴重な機会なのです。

「でも暑いのでは?」と心配される方もいるでしょう。実は、サウジアラビアの夏は気温こそ高いものの湿度が非常に低いため、体感的なストレスは意外と少ないのです。個人的な体験からも、日本の真夏のジメジメした暑さよりもずっと快適に感じました。こまめな水分補給と、適度に日陰や冷房の効いた場所で休憩するといった基本的な対策さえすれば、日中の散策も十分に楽しめます。

また、アル・バラドの狭い路地は建物の影ができやすく、意外と日陰を見つけやすいのも救いです。乾いた熱気の中で感じる一瞬の影の涼しさは、また格別の体験です。

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写真家にとっての楽園:人のいない古都の美しさ

カラフルだけでちょっと渋い色合いのローシャンが芸術的な街を描く

アル・バラドの魅力の一つは、その独特な建築様式。サンゴ岩と石灰岩で作られた伝統的な建物や、装飾が施された木製のバルコニー(ローシャン)が特徴です。通常、人の往来が多いと、こうした建築美を存分に写真に収めることは難しいものです。

しかし、昼間の人気の少ない時間帯は、三脚を立てたり、じっくりとアングルを考えたりする余裕があります。光の加減も昼間特有のコントラストが強く、建物の凹凸や影の陰影が美しく表現できます。写真愛好家にとっては、人のいない歴史的建造物を撮影できる絶好のチャンスなのです。

また、人のいない静けさの中で、普段は気づかないような建築の細部や路地の雰囲気を観察することができます。これは混雑時には決して味わえない贅沢です。

発展途上の世界遺産:変わりゆくアル・バラド

2014年にユネスコ世界遺産に登録されたアル・バラドですが、サウジアラビアの観光開発が本格化したのはわずか数年前のこと。現在も区画内各所に工事中の仮囲いが見られ、古い建築のレストア作業が進行中です。

一見すると「工事中で残念」と思われるかもしれませんが、これは歴史的価値のある建築物が適切に保存され、次世代に引き継がれていく過程を目の当たりにする貴重な機会でもあります。今後数年で修復工事が進み、さらに魅力的な観光地へと生まれ変わることでしょう。

「この建物は前回来た時はこうではなかった」と、訪れるたびに変化を感じられることも、アル・バラドの楽しみの一つです。発展途上の世界遺産を見守る特別感を味わってみてはいかがでしょうか。

地元の味を楽しむ:ソビアとアラビックコーヒー

アル・バラド散策の合間には、地元の味を楽しむのもお忘れなく。特におすすめなのが地元の発酵飲料「ソビア」です。オート麦やハーブを発酵させた独特の酸味がある飲み物で、暑い日の水分補給に最適。古くからベドウィン遊牧民)たちが愛飲してきた伝統的な飲み物で、現代でも多くのジェッダ市民に愛されています。

また、アル・バラドを一望できるルーフトップカフェも点在しています。ここでアラビックコーヒー(ガフワ)とデーツを楽しむのも一興。通常は人で賑わうこれらのカフェも、昼間は比較的空いており、ゆったりと景色を楽しむことができます。歴史的な建物を改装したカフェでは、エアコンの効いた室内や風のふきこむ屋上で涼みながら、窓からアル・バラドの景色を眺めるひと時は格別。暑さで疲れたら、こうしたカフェで小休止するのがおすすめです。

なお、ソビアやカフェについては、過去の記事で詳しく紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。

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アル・バラドの老舗グルメを堪能する

さすがは百年以上の歴史を持つ旧市街、アル・バラドには伝統的なサウジ料理「ブカリ」を提供する老舗レストランをはじめとする、歴史ある老舗店が数多く存在します。特におすすめしたいのは、ヤギの首肉をスパイスたっぷりの味付けで提供してくれる老舗ブッチャーの「Baissa Mandi Meat」。地元の人々に混じって味わう本場のラスマンディは、アルバラドで経験できる貴重な文化体験のひとつです。

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また、ジェッダ一番の老舗ベーカリーでは、古き良きアラビアンスタイルのパン「ホブズ」を味わうことができます。シンプルながらも風味豊かなこのパンは、現地の食文化の基本とも言えるもの。これらの老舗グルメについても、過去の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧いただければ幸いです。

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夕方から夜へ:刻々と変わるアル・バラドの表情

日が傾き始める16時頃から、アル・バラドは別の顔を見せ始めます。徐々に店が開き始め、地元の人々が街に繰り出してきます。アバヤ(黒い民族衣装)をまとった女性たちが買い物に訪れ、路地には活気が戻ってきます。

空が茜色に染まる頃、アル・バラドは一日の中で最も美しい姿を見せるでしょう。路地に差し込む夕日の光が、サンゴ岩の壁に暖かい色合いを与え、非常に幻想的な雰囲気を作り出します。写真好きなら、この「ゴールデンアワー」を逃す手はありません。

路上で夕方のコーヒーを楽しむおじさんたち

そして夜になると、若者やおじさんたちがルーフトップや路地に集まり、夜風を楽しみながらチルアウトする光景が見られます。ライトアップされた旧市街の姿は昼間とはまったく異なる魅力があり、イスラムの伝統的な模様が施された窓から漏れる明かりが、まるで「千夜一夜物語」の世界のようです。

それぞれの時間帯で異なる魅力を持つアル・バラドは、一日中滞在しても飽きることがありません。昼間の静寂から夜の賑わいまで、時間とともに変化する風景を楽しむのも大きな魅力です。

宿泊するならここ!アル・バラド最高のホテル

アル・バラドを存分に楽しむなら、エリア内または近くに宿泊するのが断然おすすめです。その中でも特に推したいのがAl Murooj Kareemホテルです。アクセスの便利さとコストパフォーマンスを両立させた、アル・バラドにおいて右に出るものはない宿泊施設です。

旧市街の雰囲気を存分に味わいながらも必要な快適さを確保できる点が大きな魅力で、早朝や夜遅くのアル・バラド散策も気軽に楽しめます。特に夕方以降の活気あるアル・バラドの姿を体験するには、エリア内での宿泊が最適です。このホテルについても過去記事で詳しく紹介していますので、アル・バラド宿泊をお考えの方はぜひご覧ください。

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まとめ:サウジの夏こそアル・バラド散策のチャンス

サウジアラビアの夏の暑さは確かに厳しいものですが、それを避けて通常の観光シーズンだけを狙うと、アル・バラドの隠れた魅力を見逃してしまうかもしれません。人の少ない静かな昼間の時間帯は、写真撮影に最適であり、建築の細部をじっくり観察するチャンスです。

そして、夕方から夜にかけての時間変化も含めて一日を通して楽しむことで、アル・バラドの多面的な魅力を存分に味わうことができます。発展途上の世界遺産として日々変化を遂げるアル・バラドは、数年後には今とは違う姿になっているかもしれません。だからこそ、今この瞬間の姿を見ておく価値があるのです。

サウジアラビア観光の定番スポットとなりつつあるアル・バラドですが、少し視点を変えれば、まだまだ知られざる魅力が眠っています。夏のサウジ旅行を計画中の方は、ぜひこの視点からアル・バラドを訪れてみてはいかがでしょうか。


この記事は2025年4月時点の情報に基づいています。修復工事の状況やカフェの営業状況は変更される可能性がありますので、訪問前に最新情報をご確認ください。