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アルウラからメディナへ深夜バス移動しようとしたら危うく砂漠のど真ん中で路頭に迷いかけた【サウジアラビア放浪記】

アルウラの夜、砂漠の静寂がすべてを包み込んでいた。日中の灼熱から解放されたこの地は、夜になると一転して冷え込み、深夜の気温は心地よいと感じるほどだ。そんな夜に、私は深夜バスでメディナへ向かおうとしていた。出発時刻は午前0時9分。しかし、その時間が近づくにつれて私の心には不安が募っていった。本記事では、サウジアラビアの長距離深夜バスを利用しようと試みた私に降りかかった試練、そして奇跡について、詳細な経緯と共にその一部始終を綴る。

砂漠を縦断する長距離バス

ことの経緯を説明すると、この日私はアルウラからメディナへかけて、広大な砂漠地帯を縦断する深夜バスの利用に挑戦していた。効率的な都市間移動を図るとともに、ホテル代の節約を目論んでいた私としては、5時間強ほどの時間でアルウラからメディナへと移動できる深夜バスはまさにうってつけだったというわけだ。このルートを含む、ヘジャズ地方の多くの長距離バスは、サウジアラビアの企業、NWBUSが運営している。

maps.app.goo.gl

とは言え、慣れない地での長距離バス移動となると、それなりにリスクも高い。そう考えた私は、入念にバス停の正確な場所をリサーチしていた。公式ウェブサイトやGoogleマップを元に事前にバス停の位置を確認し、さらにエージェントにもメールで連絡して確認済み、という念の入れようだった。しかし、バス出発の1時間ほど前、バス停があるはずの現場にいざ到着してみると、そこはただの空き地に過ぎなかった。

何もないバス停

ただの空き地が広がる指定場所

この場所にはかつてはNWBUSのオフィスがあったとのことだが、2024年現在、廃墟のようにコンクリートブロックが無造作に積まれ、まるでゴーストタウンの一角のような場所に変わり果てていた。念には念を入れ、乗車時間40分ほど前にはカスタマーセンターにまで電話して「バス停があるはずの場所に何も目印が無いんだけど、本当にサイト上の情報は正しいの?」と尋ねてみた。するとカスタマーセンターのスタッフからは「もちろん。バス停にサインはないけど、サイト上の位置は正確だよ。時間になったらバスが来るから安心して。」と言われた。その言葉を信じ、私はしばらくの間何もない空き地でバスの到着を待つことにした。

目印など、ドラム缶以外に何一つ見当たらない

気づけば深夜0時のアルウラ。街は静まり返り、開いている店などほとんどない。仮にバスを逃せば、次に取れる手段は皆無だ。深夜のアルウラでホテルの予約もなく、代わりの交通手段も確保できない状況で、私はこのバスに絶対乗らなければならなかった。だが、出発の時刻が近づいてきても、バスは一向に現れない。公式情報を信じて、ただその場で待っているだけでは大惨事になりかねないと感じ始めたその時、運命の助けが訪れた。

町の青年による奇跡的な手助け

たまたまその場を車で通りかかった一人の現地青年が私に近づき、「一体こんな時間に何をしているんだ兄弟?」と声をかけてきた。彼に事情を話すと、彼は「あっちの場所にそれらしきバスが来ているのを見たところだぞ、急がないと!」と教えてくれたのだ。急いで彼の案内で走って移動すると、確かにそこにはバスが待っていた。正しいバス停は、私が待っていた場所から約200メートル北西方向に離れた位置、それも何も目印の無い裏通りの路肩だったのだ。彼の案内がなければ、私は深夜のアルウラで完全に取り残されていただろう。

何とかギリギリ深夜バスに乗り込む

幸運にもその青年のおかげで、間一髪でバスに乗ることができた。彼の親切がなければ、私はアルウラの真夜中で途方に暮れ、砂漠のど真ん中で行く先を失っていたことだろう。出発ギリギリのところでバスに乗り込むと、ホッとした気持ちが一気に押し寄せた。もちろん、この一件については後からバス会社に対してしっかりとクレームを入れさせていただいた(私としてはもう済んだことなのでどうでも良いが、これから深夜バスを利用する旅行者をみすみす見殺しにするわけにはいかない)。

メディナまでの道のりは、思った以上に快適だった。座席はリクライニングが効いていて、旅の疲れを癒すには十分だった。強いて言えば、冷房が少々強すぎて、肌寒さを感じるほどだったので、羽織るものがあればさらに快適だっただろう。夜中の道は静かで、深い眠りに落ちた私は、気づけばメディナに到着していた。

その後、予定時刻に無事メディナに到着

いかがだっただろうか

このエピソードは、サウジアラビアでの旅がいかに予測不可能であるかを教えてくれる。特に地方都市では、公式情報に頼りすぎず、現地の人々との交流やサポートが何よりも重要だと感じた。親切な現地の青年との出会いがなければ、私はまったく違った、恐ろしい体験をしていたかもしれない。

これからサウジアラビアを訪れる方々へ。計画は大切だが、現地での情報収集や臨機応変な対応が旅の成功を左右する。困ったときには、現地の人々に助けを求めることを躊躇しないでほしい。人との出会いが、予期せぬ形で旅を彩ってくれることは、私自身の体験が証明している。

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