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「VPNを使用してインド経由で検索したら航空券が安く買える」って本当?SNSで話題の裏ワザを実際に検証してみた

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海外旅行を計画する際、少しでも航空券を安く購入したいというのは誰もが思うことでしょう。そんな中、ここ最近SNSYouTubeで急速に広まっている裏技があります。それが「VPNを使ってインドのIPアドレスから航空券を検索すると安くなる」というものです。本記事では、そんな話題の裏ワザについて、実際の検証をもとに徹底解説をしていきます。

急速に広まる「インドVPN術」の噂

Twitter(X)では「VPN使ってインド経由で航空券検索したら安くなる」といったライフハック投稿が拡散され、YouTubeでは「知らなきゃ損!VPNで航空券が激安になる方法」といったタイトルの動画が次々と公開されています。コメント欄には「本当に安くなりました!」という報告もあれば、「全然変わらなかった」という声も混在しており、実際のところどうなのか判断がつきにくい状況です。

この噂の理論的背景は一見もっともらしく聞こえます。航空会社は各国の購買力や市場環境に合わせて価格戦略を調整しています。物価の安いインドでは、同じサービスでも先進国より安い価格設定がされているはずだ、という理屈です。実際、ソフトウェアのサブスクリプションサービスなどでは、国によって価格が大きく異なるケースが知られています。

しかし、本当に航空券でも同じことが起こるのでしょうか?ネット上の情報は成功例ばかりが強調され、失敗例はあまり語られない傾向があります。そこで、実際に自分で徹底的に検証してみることにしました。

検証方法

今回の検証では、可能な限り厳密に条件を統一しました。商用VPNサービスを使用してムンバイのサーバに接続し、さらにGPS Fakeアプリも併用して位置情報も完全にインドに偽装しています。Google側には完全にインドからのアクセスとして認識させることに成功しました。

また、ブラウザのキャッシュやクッキーの影響を排除するため、日本からのアクセスとインドからのアクセスでは別々の端末を使用しました。これにより、純粋に接続元の地域による価格差だけを測定できるようにしています。

検索対象は成田から香港、香港から羽田への同一日時・同一便です。プラットフォームはGoogle Flightsを使用し、VPNなしの日本からのアクセスと、VPN経由のインドからのアクセスを比較しました。

検証結果:正直、ほとんど変わらない

結論から言うと、価格差はほとんどありませんでした。

往路便は、日本円換算で20,803円(日本アクセス)VS 21,241円(インド経由)という結果に

復路便は、日本円換算で19,566円(日本アクセス) VS 19,757円(インド経由)でVPNなしのほうが安くなりました

むしろ、今回の検索結果だと、いずれもインド経由で予約するほうが若干高くなりました。また、便によっては確かに安くなるケースもありますが、せいぜい数百円程度で、全体を通して一定の傾向は見られませんでした。

しかし、興味深い発見があった

価格自体はほぼ同じでしたが、表示されるOTA(オンライン旅行代理店)のバリエーションが大きく異なることに気づきました。

日本アクセスでの検索表示結果

日本からアクセスした場合は、AgodaやSky Ticketなど日本でおなじみのOTAが表示されます。一方、インドからアクセスした場合は、VilegwinkelやLastminute.comなど、日本では見たことのないOTAがずらりと並びます。

インド経由でアクセスすると、見たことないOTAが大量に表示されます

つまり、「VPNで安くなる」という噂の真相は、おそらくこういうことです。航空会社の価格設定自体はほぼ同じなのですが、地域によって表示されるOTAが異なります。たまたまそのOTAがその航空券を安く取り扱っていれば「安くなった!」となるわけですが、これは普遍的な法則ではありません。

ちなみに、同一のOTAについて日本とインドで比較した場合、価格差はほとんどありませんでした。為替誤差程度の差、つまり数十円から数百円安かったり高かったりする程度です。これは、OTA自体の価格設定が地域によって大きく変わるわけではないことを示しています。

検証の限界と注意点

ただし、今回の検証はあくまで東京から香港間のフライトのみを対象としています。インド人に需要の高い路線、たとえばデリーからドバイやムンバイからシンガポールなどでは、結果が異なる可能性があります。また、特定の時期やセール期間中、LCCなど特定の航空会社でも状況は変わるかもしれません。

しかし、少なくとも一般的な国際線において、「VPNでインド経由すれば必ず安くなる」という法則は成り立たないと言えますね。

費用対効果を考えると…

仮に300円安くなったとしても、VPNサービスの月額料金は500円から1,500円程度かかります。さらにVPN接続やGPS偽装などには手間や設定時間もかかりますし、必ず安くなるわけでもありません。これらを考えると、航空券を安くするためだけにVPNを契約するのは割に合わないというのが正直な感想です。

本当に航空券を安くする方法

VPNよりも確実に効果がある方法があります。それは、クーポンを配布しているOTAを賢く利用することです。

特におすすめなのがKiwi.comです。Kiwi.comは友達紹介クーポン制度があり、紹介リンクから登録すると初回予約で使える3000円割引クーポンがもらえます。VPNで数百円の差を追いかけるよりも、こうした確実な割引を利用する方がはるかに効率的です。

www.kosupatravel.com

もちろん、他にも基本的な節約術は有効です。複数の予約サイト・OTAを比較することで、GotoGate、Seishin Spirit、Kayak、各航空会社の公式サイトなど、それぞれで価格が異なることがあります。数千円から数万円の差が出ることも珍しくありません。

航空会社は定期的にセールを実施しているので、メールマガジンに登録しておくと情報が得られます。また、早期予約割引を利用するか、または直前の空席処分セールを狙うのも有効です。どちらも王道ですが、VPNよりはるかに効果的ではないでしょうか。

まとめ:VPNで航空券が安くなるのは都市伝説?

検証の結果、完全な嘘ではなく、わずかな価格差が出ることはあります。しかし、必ず安くなるわけではなく、普遍的な法則とは言えません。本質的には航空会社の価格設定自体がほぼ同じで、OTAの地域差が影響しているだけのようです。そして、VPN料金を考えると費用対効果は悪いと言わざるを得ませんでした。

もしすでにVPNサービスを契約しているなら、試してみるのも面白いかもしれませんね。


この記事は2025年10月の検証結果に基づいています。航空券の価格設定は常に変動するため、将来的には状況が変わる可能性があります。