2025年4月23日、日本とオマーンの航空当局間で合意された航空協定拡大のニュースが旅行業界をにぎわせました。この協定によって、羽田空港を除く日本の全空港からオマーンへの乗り入れが可能となり、さらにコードシェアの大幅な拡充も実現します。では、この歴史的な合意は私たち旅行者にとってどのようなメリットをもたらすのでしょうか。その詳細に迫っていきましょう。
現在、日本とオマーン間で定期便は運航されていません。しかし、今回の枠組み設定により、両国の航空会社がこれまで以上に自由度高く路線を展開できるようになります。これは単なる運航許可の拡大を超えて、私たちの旅行体験を根本から変える可能性を秘めているのです。
地方空港から中東へ アクセスの劇的な改善
最も注目すべき変化は、従来の関西国際空港に加え、羽田を除く日本の全空港からオマーンへの乗り入れが可能となったことです。これまで地方在住者が中東を訪れる際は、必ず大阪での乗り継ぎが前提でした。しかし今後は、新千歳、仙台、福岡、那覇など、全国の地方空港からオマーンへの直行便運航が可能となります。
旅行客にとって、この変化がもたらす経済効果は計り知れません。これまで関西経由で必要だった前泊費用、新幹線代、高速料金などが不要となり、総旅行費用を大幅に削減できる可能性があります。北海道から九州まで、どこに住んでいても中東への扉が等しく開かれたのです。
また、これまでドバイやカタールを経由していた中東旅行に新たな選択肢が加わることで、パッケージツアーの多様化が進むことが予想されます。特に、オマーンを起点とした周遊旅行の可能性が広がり、中東・アフリカ・インド洋諸国への新しいゲートウェイとしての役割が期待されます。
加えて、航空便の増便と競争激化により、中東方面の航空運賃の低下も見込まれます。地方空港からの直行便が実現すれば、これまで関西経由で必要だった乗り継ぎコストが削減され、より手頃な価格で中東旅行を楽しめるようになるかもしれません。
コードシェア拡充で旅程の自由度が飛躍的に向上
今回の協定でもう一つの重要な変化が、コードシェアの大幅な拡充です。日本・オマーン双方の航空会社が、第三国を含む全ての航空会社とのコードシェアが可能となり、国内線区間での相手国側航空会社とのコードシェアも認められました。
これにより、これまで個別に手配が必要だった複雑なルートが、一つの予約で完結できるようになります。例えば、札幌からオマーンを経由してドバイ、さらにヨーロッパへと向かうような複雑な旅程も、シームレスに予約・管理できるようになるのです。
オマーンという国の真の魅力
多くの日本人にとってオマーンは馴染みの薄い国かもしれませんが、実は中東地域で最も伝統的なアラビア文化を体験できる貴重な国です。首都マスカットの白い建物群と青い海のコントラスト、ワハイバ砂漠の満天の星空、サラーラのモンスーンシーズンの緑豊かな風景など、一つの国で多様な体験ができます。
オマーンの詳細な旅行体験については、以前のブログ記事で現地の魅力を詳しくレポートしていますので、ぜひそちらも合わせてご覧ください。実際に現地を訪れた際の生の声や、知られざる観光スポットの情報を多数紹介しています。
追い風となるアライアンス加盟
この協定拡大にさらなる追い風となっているのが、オマーン航空の2025年6月30日のワンワールド・アライアンス正式加盟です。これにより、JALと同一のアライアンスに属することになり、マイルの相互利用や上級会員特典の共有が実現します。
JALマイラーにとっては新たな特典航空券の選択肢が生まれ、中東方面への旅行がより身近になります。また、JGCなどの上級会員は、オマーン航空でもラウンジアクセスや優先搭乗などの特典を享受できるようになるでしょう。この相乗効果により、日本とオマーン間の交流がさらに活発化することが予想されます。
JAL・ANAの中東戦略にも変化
日本の航空業界において、JALは北米路線、ANAはアジア路線に強みを持つとされてきました。しかし、オマーン航空のワンワールド加盟により、JALは中東・アフリカ方面への戦略的優位性を獲得することになります。現在、羽田からの中東路線はJALのドーハ線とエミレーツのドバイ線が主力ですが、ここに成田~オマーン路線が加わると、中東へのアクセスオプションが大幅に拡充されます。
この動きはANAにとっても刺激となり、中東方面での路線拡充競争が激化する可能性があります。結果的に、消費者にとってはより多くの選択肢とサービス向上が期待できるでしょう。
今後5年間で予想される変化
専門家の分析によると、数年以内に成田-マスカット線が開設されることが有力視されています。その後、段階的に地方空港からの路線拡充が進むと予想され、2027年頃には関空・中部・福岡からの定期便、究極的には全国主要10空港からオマーンアクセスが可能になる可能性があります。
旅行者が今から準備できること
この歴史的な変化を最大限活用するために、今から準備できることがあります。JALマイラーの方は、ワンワールド加盟後のオマーン航空特典航空券に備えてマイルを積み立てることをお勧めします。GCCの一員であるオマーンの航空会社と言うだけあって、カタール航空同様に燃油サーチャージの掛からないお得なマイレージ特典制度が期待できます。
また、より充実した旅行体験のため、基本的なアラビア語フレーズを覚えたり、イスラム文化について理解を深めたりするのも良いでしょう。
まとめ-新しい旅の時代の到来
日本・オマーン航空協定の拡大は、単なる路線増加を超えた意味を持ちます。これまで遠い存在だった中東の国が身近になり、新しい文化体験や自然との出会いの機会が生まれます。地方在住者の旅行選択肢が大幅に拡がり、日本全国どこからでもアラビアンナイトの世界へアクセスできる時代がやってくるかもしれないのです。
砂漠の星空の下、アラビアコーヒーを飲みながら悠久の歴史に思いを馳せる。そんな体験が、今まで以上に身近な選択肢となる日が、もうすぐそこまで来ています。次の旅先として、神秘的なオマーン・スルタン国を候補に加えてみてはいかがでしょうか。
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