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【現地直伝】中国茶の本場、福建省の人たちはどうやってお茶を淹れてるの?マナー・作法や習慣、現地流のお茶の淹れ方について徹底解説【実態調査】

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烏龍茶や白茶など、世界的に有名な中国茶の多くが生まれた福建省。その福建省で、人々は実際にどのようにお茶を楽しんでいるのでしょうか。今回、厦門や福建土楼を訪れ、現地の家庭やお店でのお茶文化を観察し、地元民から直々に福建省流のお茶の入れ方を教わって来ました。そこで見えてきたのは、私たち日本人が想像する以上に、生活に深く根付いたお茶の文化でした。

福建省の家庭に必ずある茶器セット

福建省を訪れて最初に驚いたのは、訪れたすべての家庭やお店に立派な茶器セットが置かれていることでした。それも、ただ置いてあるだけではありません。テーブル自体が茶会に特化した造りになっており、お茶を楽しむための工夫が随所に見られます。

穴が開けられ、排水機構を備えたテーブル

例えば、多くのテーブルには排水機能が備え付けられています。茶器を洗う際の排水を受けるトレーや、より本格的な排水システムまで、その形態は様々です。中には、ホースとバケツを使ってDIY的に排水機能を施したテーブルもありました。これは、お茶を淹れる工程で出る大量の湯水を効率的に処理するための工夫なのです。

基本的な茶器セット

左手真ん中のフタつきの容器が蓋碗(がいわん)。左手前の注ぎ口のついたものが茶海で、右手のお茶が入ったカップが茶杯。

福建省の標準的な茶器セットの中心となるのが、蓋碗(がいわん)です。蓋のついた茶碗で、蓋は茶葉を蒸らす時には蓋として、お茶を飲む時は受け皿として使用する実用的な茶器です。この一つの道具で、お茶を淹れ、蒸らし、茶葉を漉し分けることができます。

その他の基本的な茶器には以下のようなものがあります:

公道杯(ゴンダオベイ)茶海(チャハイ)とも呼ばれる分配用の器で、蓋碗から注がれたお茶を一旦受け、均一な濃さのお茶を各席の茶杯に分配する役割を果たします。上部には専用の茶こしフィルターをセットでき、これによって茶葉を完全に取り除きながら注ぐことができます。また、茶の味を均一にするだけでなく、温度調整の役割も担っています。

茶杯は、実際にお茶を飲むための小さな杯です。一口で飲める程度の小さなサイズが一般的で、お茶が冷めないうちに飲み切れるよう工夫されています。

茶盤(茶托)は、これらの茶器を置くための大きな盆で、お茶を淹れる過程で出る湯水を受ける役割も果たします。

排水機能のないテーブルでお茶会をする場合は、茶托を使用する。

また、より本格的な茶器セットには、お茶の香りを楽しむための聞香杯(ウェンシャンベイ)という細長い杯が含まれることもあります。

福建省流のお茶の淹れ方

福建省の人々のお茶の淹れ方には、確立された手順があります。その過程を詳しく見ていきましょう。

準備段階

まず、すべての茶器を熱湯で洗いながら温めていきます。特に蓋碗は、お茶を直接淹れる器なので、念入りに温めます。これは、茶器が冷たいとお茶の温度が急激に下がってしまうのを防ぐためであり、また衛生面でも重要な工程です。

お茶を淹れる

茶葉は蓋碗に直接入れます。茶葉の量は、一般的に蓋碗の2~3割程度。これは、茶葉が湯を吸って膨らむことを考慮しているためです。

最初の湯は、茶葉を洗うために使用し、すぐに捨てます。これを「洗茶」と呼びます。この工程で茶葉の表面の埃を洗い流すと同時に、茶葉を蒸らして開かせる効果もあります。蓋を使って茶葉を押さえながらお湯を捨てる動作は、福建省の人々にとって自然な所作となっています。ただし、家庭によってはこの行程は省略することも。

お茶を淹れるテーブルには、必ずIHケトルが置かれています。これは100度近い熱湯を常に維持するためのもので、福建省の人々はこの沸騰直後の熱湯でお茶を淹れることにこだわります。実際に、ある家庭で冷めかけのお湯でお茶を淹れようとした際、地元のおばあちゃんに「そんなのおいしくないよ!」と即座に指摘されました。

再び熱湯を注ぎ、蓋をして30秒から1分程度蒸らします。蒸らし時間は茶の種類によって異なりますが、地元の方々は「蒸らし過ぎるとお茶が濃くなりすぎる」と言います。

お茶を周囲にこぼすことなく、かつ茶葉を落とさないように蓋碗から茶海へお茶を移す行程は、結構スキルが要ります。

蒸らしが終わったら、まず茶海に注ぎます。この時、茶海の上に茶こしフィルターをセットしておくのが重要です。蓋碗から注ぐ際に飛び出してきた茶葉はこのフィルターで受け止められ、茶海には濾された綺麗なお茶だけが溜まっていきます。茶海のなかで均一な濃さになったお茶を、最後に各席の茶杯に注いでいきます。

茶海に移したお茶を、今度は茶杯へ

この蓋碗を使った淹れ方は、一見シンプルですが、お茶の美味しさを最大限に引き出すための工夫が詰まっています。蓋を使って茶葉を押さえ、湯を注ぎ、蒸らし、注ぐ。この一連の動作を、福建省の人々は幼い頃から自然と身につけているのです。

香り高いお茶が完成。このケースでは、お茶の温度を奪わないように、とピンセットで茶杯をくれましたが、慣れない場合は直接手で渡しても問題ありません。

茶葉の使い方とその価値観

福建省の人々は、同じ茶葉を何度も使います。二番煎じどころか、十番煎じくらいまで楽しむのが一般的です。これは決して倹約のためではなく、むしろ茶葉の異なる表情を楽しむ文化と言えます。

実際、回数を重ねるごとに味や香りが変化していくのを楽しむ様子は、まるでワインのテイスティングのよう。特に烏龍茶は、淹れる回数によって異なる味わいを見せることで知られています。

「わんこ茶」のような独特の作法

福建省でのお茶の飲み方で特徴的なのは、ホストと客のやり取りです。まるで岩手県のわんこそばのように、客の茶杯が空になるや否や、ホスト側が新しいお茶を注ぎます。

老若男女問わず、繊細な手さばきでテンポ良くお茶を淹れられるのが福建省の人々

ホスト側は常に気を配り、お茶が切れることのないよう、次々とお茶を淹れ続けます。お湯を沸かし、茶葉を入れ、蒸らし、注ぐ。この一連の動作を、まるでプロのバーテンダーのように手際よくこなしていきます。

驚くべきことに、この手際の良さは福建省の人々にとって当たり前の技術のようです。子供の頃から家庭でお茶を淹れる習慣があるため、誰もが自然とこの技術を身につけているのです。

お茶を通じたコミュニケーション

田螺坑土楼にて、地元家族の茶会に混ぜていただいた。

福建省の人々にとって、お茶は単なる飲み物以上の存在です。朝から夜まで、カフェインの有無に関係なく、常にお茶を飲んでいます。特に印象的だったのは、土楼で見かけた家族の団らんの風景です。お茶を囲んで、世間話に花を咲かせる様子は、日本の茶の間での団らんを思わせます。

言うならば、お茶はコミュニケーションツールとして重要な役割を果たしています。日本でお酒を飲みながら語り合うように、福建省の人々はお茶を飲みながら様々な話題で盛り上がります。ビジネスの話し合いでも、友人との気軽な集まりでも、まずはお茶を淹れることから始まります。お茶を介して、人々の心が自然とほぐれていく様子は、とても印象的でした。

お茶の携帯文化

また、外出時も欠かさずお茶を持ち歩く習慣があります。熱々のお湯を入れた魔法瓶は、福建省の人々の必需品。街中の給水器からお湯を補充すれば、いつでも美味しいお茶を楽しむことができます。

最近では、茶葉が落ちてこないよう工夫された専用ボトルも人気です。中には内部が2つの空間に分かれており、2種類の茶葉を入れて異なるお茶を楽しめる、トリッキーな構造のボトルも見かけました。

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いかがでしたでしょうか?

本場の中国茶を気に入ったら、茶葉だけでなく茶器も物色を!

福建省のお茶文化は、単なる飲み物としてのお茶を超えた、生活様式そのものと言えます。茶器の準備から、お茶の淹れ方、もてなしの作法まで、すべてが長い歴史の中で洗練されてきました。

そして何より印象的だったのは、このような「本格的な」お茶の淹れ方や作法が、特別で仰々しいものではなく、日常生活に完全に溶け込んでいる点です。お茶は、福建省の人々の生活の中で、潤滑油のような、なくてはならない存在なのです。

このように、お茶を通じて見える福建省の人々の生活文化は、私たちに多くの示唆を与えてくれます。忙しい現代社会だからこそ、ゆっくりとお茶を淹れ、人々と語らう時間を大切にする。そんな福建省の人々の知恵は、現代の私たちにも十分に価値があるのではないでしょうか。

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